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神田 勘太朗
【カリスマコラム#10】『若きダンサーよ、尖れ!』

株式会社アノマリー,代表,カリスマカンタロ

時代は繰り返すが・・・

いつの時代も、『俺らが若かった頃は・・・』という話を先輩から聞くものだよね。僕ら世代ももちろんそうであり、先輩方のぶっ飛んだ話から、リアルな話など沢山聞いてきた。

僕ら世代って、まだギリギリのところでいわゆる怖いクラブの中で強烈な匂いを発するダンサーを見れた世代だったと思う。今ほどコンテスト、バトルはもちろんのこと、発表会、ナンバーのようなものは無く、とりあえずクラブに踊りに行くことが緊張感もありつつ最高にクールだと感じれていた。

何より先輩らのダンサーが持つ空気感が、近づいてはいけない何かを発していて、それでも懐に入りたいからこそギリギリまで切り込む!ような感じ。

僕ら世代でそれなので、先輩方の更に上となってくると次元が違うと思う(笑)。先日もイベントで一緒になった Sound Cream Steppersのお三方ともそういう話で盛り上がりました。
 
 
 

シーンは拡大したが薄れてきた

今の時代、クラブイベントも昔の匂いがあるイベントは正直あまり存在しないなと感じる。良い意味でみんな仲良くなったと思うし、今の子供達はSNSやイベントのおかげで全国に友達がいる(昔だと考えられないことだ)。

一方で、クラブでショーをすることが特別で、そのクラブイベントに出るためにめちゃめちゃコンセプトメイキングから音、服について考え、どうやってのし上がっていくかという所で他のチームを全員ぶっ飛ばす!みたいなチームだらけだった頃と比べると、今の時代はぬるい関係値とも言える。気づけばお互いの良い所自然と見てて仲良くなってることがあったが、そこに行くまではお互いのスタイルでバチバチで同世代はほぼ挨拶はしてなかったような(笑)。

シーンが大きくなると、濃い部分は当然薄れて広まっていくのは仕方がない流れだと思う。ダンスシーンはこの10年で大きく成長をし、今や子供が半数以上という市場でもある。カルチャーの色が薄くなっていくには十分な条件が揃っている。当然ダンスカルチャーにどっぷりハマっている人以外の人が沢山入ってくる為、カルチャー的には為無秩序にもなっていく。

それ自体は全く問題ではないし、シーンが広がるということはまさにこういうことだったりする。しかしながら他の業界でも稀な形でダンスシーンは大きくなってきたように感じる。例えば音楽業界では、上のアーティストがインストラクターとなって後輩に教えて育てていくということはあまり聞かない。

ダンスシーンはそもそも先輩から直接感じたものを自分のものにして行きながら、そのシーンに入っていく。
そういう同士が集まり、気が合う仲間とチーム(自分たちの好きなカラーを発していく苦楽を共にするクルー)を作ったりしていくのだが、今はちょっと勝手が違う。

スタジオが当たり前に存在し、レッスンを習うことからまずスタートする。とりあえずストリートで練習しだし、その流れで出会った仲間とSHOWに出て、っていう流れの方が珍しい。今やユニットやナンバーが主流であり当然となっているので、今回はこのメンバー、次回はこのメンバー、バトルはこのメンバーで、ナンバーは全然違うメンバー、という感じでコンセプトや目的に応じて踊るメンバーを変えていく。

別にこのこと自体は問題では無いし、まさに時代がそうなのだから若い世代にはここに疑問は生まれてないと感じる。上が何を言おうが自然にそうなってるのだから、この現象自体は今後も自然と形を変えていくだろうと予想ができる。
 
 
 

強烈な匂い

それらを踏まえて、表題にある通り『若きダンサーよ、尖れ!』と言いたい。というのもその根拠には、ダンスをやっているのは当然楽しいとか好きとかの感情があるからだろうが、その先に何を発信したいのか?という自己表現の部分をもっと見て見たいと僕自身が今の若手ダンサーを見て感じるからだ。自己表現、それは強烈な個性とも言い換えることができる。

マス化になればなるほど、その強烈な個性は薄くなっていき、ただの習い事、ただのダンスになってしまう。それだと見てる側は当然面白くなく、発表会やナンバーのように基本はでてる本人たちだけが楽しいということが量産されてしまうからだ。ここは賛否両論あると思うが、実際に発表会やナンバーイベントに呼ばれて見に行って見ても、知り合いが出てるという部分以外に正直心が踊ることは無いからだ。演出でオッて思うことがあっても見ていて面白くないというのが正直な本音。

強烈な匂いを放ち全国のダンスフリークが集った大型イベントや、その時代のクラブイベント。これらのイベントには強烈な個性がぶつかり、そして絶対信者を生み、その時代の芸能人が当然のように憧れてたダンスシーンが90年代には存在していた。(それ以前の70,80年代は僕の知らない世代なので先輩方にそれぞれで聞こう!)

僕の地元長崎にはそのビデオが回ってくるのは半年後、それまでにあらゆる全国の行けなかったフリーク達がダビングを重ねていて、いくつも線が入っていた・・・。それでも食い入るように何度も見て、覚えて、服を真似て、レコード店に曲を探しに行った。そして、自分たちも同じように強烈な個性を出すことに憧れを抱き、それをエサに毎日練習、いや、練習という感覚ではなくひたすらに踊る。練習だとか、リハだとかいう表現より、今日も踊る!という感覚の方が強かった。

そして、次から次に出てくる若手が先輩らの色を自分たちに変えて、個性をぶつける場所がクラブであり、イベントのSHOWだった。クラブのオーガナイザーや先輩らに気に入られるまで、踊り続ける。踊りだけイケてても、服がダサけりゃ呼ばれない。先輩らがアディダスのタンクトップ着てればみんなそれを買う。DIESELという新しいブランド着てる先輩が出たら、一体どこのどんなブランドなのかディグる。

そして、それを身に纏いながらも自分たちのカラーを入れて、新しい形に変えていく。そんなことを繰り返し、若手は目立とうとしていた。当時クラブに出るには名前のないチーム(有名でないチーム)は、当然ノルマを抱えて出させてもらう。しかしオーガナイザーに名前を覚えてもらう為、そして自分たちのカラーにクラブを染める為にチーム全員一丸となってクラブに仲間や客を入れた。

そうして、たとえSHOWの出番1発目だとしてもめちゃ声があるから、『え!?こいつら何??』って気にさせる。そしてSHOWを見てもらって、自分たちのカラーをぶつけて、気に入られていくのだ。その方法しかクラブでポジションを勝ち取る方法がなかった(SNS無いしね)。

 
 
 

今の時代だからこそできること

コンテストで勝つ、バトルで勝つということが、有名になる為の手段では無かっただけに今の時代とは異なることも多い。だけど、この表題にある『尖れ!』というワードには今の若い世代にしか出せないカラーがあるはずで、その強烈なカラーをココ近年でまだ見たことが無いからだ。

キッズ時代は、ダンスが上手いだけで注目を受ける。だがしかし、中学校を卒業すると同時に一気に大人の世界に突入すると、そこには今までそれほど意識することが無かった自分というカラー、そしてチームとしてのカラーが重要になってくると思う。

自分は何のために踊り、どんなカラーが好きで、どんなファッションや音楽でそれを打ち出し、自分の信者を増やし魅了し続けていくのか・・・。

仕事として選択するにしろ、趣味として選択するにしろ、どのみちココがキーとなる。自分たちのカラーを強烈に打ち出せば、色々なところから問題が出たりもする。先輩らにツメられることもあれば、人間関係で失敗することもブツかることも多くある。

僕も24歳で会社を作り DANCE@LIVEを作りながらXyonで活動していたが、2年に一度は大先輩方に怒られたものだ・・・。その1つ1つを筋道を通して頭を下げることを学び、続けて、徐々にではあるが認めていただけ、今の自分が存在する。

今思い出しても、そのツメられた時のことを鮮明に覚えている(笑)。おそらく同世代でイキってた仲間達も多かれ少なかれそういうことは多くあっただろうし、僕たちの先輩方も更にあったにちがいない。

最近では先輩に怒られて消えるとか、あれ?あのダンサーは?ということも少なくない。しかしながら、それでただ大人しくしないといけないほど、このカルチャーはつまらないものではない。いつの時代もどの業界も新しいことを仕掛けて、新しい流れを作るのは若手だと俺は思う!

あっという間に20代は終わる。本当に瞬きしてたら終わるのだ!今のうちに、強烈な匂いを放ち、行動し、沢山失敗して、そして壁を乗り越えて欲しい。その結果、素敵な次のステップが出てくると俺は思う。イベント?ライブ?新しいタイプの仕掛け?若手全員でとんでもない箱を持つ?なんでもいい。面白いこと、心がザワつくことをやってほしい!

もっと、このダンスカルチャーにどっぷりハマって、ディグって、個性をそれらに上書きして欲しいと思う。これからのダンスシーンは若い世代がどう考えても中心になっていく。ダンス界が面白くならないと、今 やっていることも全て点になってしまうのだから・・・。

Author
神田 勘太朗 カリスマカンタロー (XYON )
Dance innovator / Anomaly代表取締役CEO(Founder•Dancer•Producer)/ Xyon /DANCE@LIVE / BeatBuddyBoi / CharimeloPictures / カリスマ理念「負ける気がしねぇ」/ 好きな言葉は「大丈夫だ、全部上手くいく
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