踊ることも飛ぶことも誰かのために〜Beat Buddy Boi「BBB SHOCK LIVE7」レビュー〜

今回のコラムは、11月24日(月)に開催された、BBB SHOCK LIVEについてです。


今回のコラムは、11月24日(月)に開催された、BBB SHOCK LIVEについてです。

■公演概要『BBB SHOCK LIVE7』
BSL7BBB SHOCK LIVE(以下:BSL)は、男性7人のストリートダンスチームBeat Buddy Boi(以下:BBB)が開催するダンスライブ。2012年から始まり、今回で7回目。秋ツアーのファイナルである東京公演が、11月24日(月)にZepp DiverCityにて開催されました。
毎回趣向の違うライブを提供するBSL。今回は多数のゲストを招いて、新しいコラボレーションを見せるステージになっていました。ラッパーのSHUNさんがツアーに同行、STUDIO APARTMENTによる新曲『FLY』の生演奏があり、サプライズゲストとして清水翔太さんが登場しました。

前説明ではストリートダンス界の名MCであるMC KENSAKUさんが登場し、使用された映像にはBBBメンバーと交流が深いB-BOYのTAISUKEさんも登場。ストリートダンスシーンで愛されるBBBらしさを感じました。

リーダーのakihic☆彡さんは、ツアー中に負った怪我のため、残念ながら一部のみの出演でした。

MCなし、怒濤の30分

オープニングから最初のMCまでは、約30分間ノンストップ。
ライブはRYOさんのマイクから始まります。
RYOさんが一人ずつ名前を呼ぶと、メンバーがステージに登場。定番のオープニング曲『Freestyle Jam II』が流れます。そして、音、光、ダンスの洪水がはじまります。
大量に突き刺すように降ってくるレーザーの光がなんとも贅沢。レーザーの動きが細かく制御されていて、音を拾って踊るように動きます。目から耳から伝わってくるものに圧倒され、ぼんやりとした頭の片隅で「そういえば、光も音も波だもんなぁ」と考えていました。

『Freestyle Jam II』の曲中に、シャッターの音に合わせてメンバーが集合写真を撮るようにポーズを決めるところがあります。私はあれは、記念写真を撮っているんだと解釈しています。今から始まるライブは特別な時間だから、ファンと一緒に記念写真を撮るんです。本日も、特別な時間の始まりです。
オープニングの後は、『Turn It Up』『B4LiFE』と盛り上がる定番曲が続きます。そしてSHUNさんが登場。『Clap your hands!Everyboy』で、会場のテンションはさらに上がります。

その後SHUNさんはステージに残り、YASSさんのソロが始まります。
今回のツアーのYASSさんのソロは、他のメンバーと違ってしかけのあるものになっていました。
地方会場では、ルーレットを回して当たったジャンル(あげあげ、さげさげ、FUNK 、EDM、J-RAP)からランダムで曲を選び、即興で踊るというもの。バトルに長けたYASSさんならでは。

一方、東京会場でのソロはルーレット方式ではなく、SHUNさんのラップ、RYOさんのMPCに合わせたセッション。これがとてもいい!
人の体が音に合わせて動くということが、どうしてこんなに脳に刺激を与えるんだと驚きました。
YASSさんのソロを見るといつも新鮮な感動があります。でもここでのソロはもっと感覚が巻き戻り、自分が生まれて初めてダンスを見た人間にでもなっちゃったくらい「なんだこれは」という衝撃を受けました。
YASSさんが踊れば時間が進み、YASSさんが止まれば時間も止まる。ダンスって、音楽を表現するもののはずなのに、音楽も、時間も、この世のすべてがYASSさんのダンスでコントロールされているような気がしました。

その後『CONNECTION』を披露し、SHUNさんは一旦舞台から去ります。そしてここで、本日初めてBBBのMCが入ります。
やはり「ノンストップで〇曲連続」はライブの華。開始から約30分、怒涛のスタートダッシュでした。

バラエティいっぱいの中盤戦

TOYOTAKAさんのヒューマンビートボックス、SHINSUKEさんとのセッション、RYOさんのMPCとメンバーの特技を活かした演目が続きます。
MPCを使った生演奏の『Make a shot!』は新鮮でした。今回のライブでは、MPCのブースがとても高いところに設置されていたので、MPCを叩くRYOさんが堂々として見え、男っぷりも一段と上がったように感じました。
その後にあったSHINTAROさんのソロがとても雰囲気があってかっこよかったです。使われていた曲が気に入り、iTunes Storeで購入しました。

続いてソウルダンス。ここでは久し振りに『The Eyes』が披露されました。甘くしっとりとした曲ですがファンの歓声は大きく、人気の高さが伺えます。
曲2番のルームライトを消すように照明が暗くなるところは、想像がふくらみうっとりしますね。

その後は、パーティーチューンの『Catch A Girl!!!』。
この曲では、観客席に大量の大きな風船がばらまかれます。この風船よく見ると、どこか見覚えのある色をしています。
というのも、BSL6でSHINSUKEさんが風船芸で使用したものだったんですね。
曲中「まさか」と思いながら見ていたんですが、後のMCではっきりしました。
余ったものをうまく利用する合理性に感心し、無駄遣いをしない庶民感覚に好印象を持ち、「そこ使い回すところなのか」と呆気にとられました。発想が柔軟すぎます。
でもそこに、気取らないBBBらしさを感じました。
ここでSHINSUKEさんが頭に風船をかぶっていて、キノコの妖怪みたいでした。風船の中に入ったことのある人ならではの発想ですね。

その後は、MCでYASSさんによる鈴木福君のモノマネなどありつつ、『動物モノマネ』が始まります。
これは、RYOさんがMPCを叩き、出てきた動物の名前でSHINSUKEさんとgash!さんがモノマネで表現する演目。前回のライブから彗星のごとく現れました。今回はボキャブラリーも増え、ジェスチャーだけでなく言葉のおもしろさもありました。BBBはMCも巧みですが、言葉がうまく使えれば、コンテンツの幅を広げることができるんだと実感します。
例えば、「熊」「白熊」ときて、「悪魔」でオチをつけます。ここでSHINSUKEさんが「熊」と「白熊」の違いを、寒そうに身を縮めるジェスチャーで表現します。実際白熊はそんな動きしないのに、ついうなずいてしまいます。「悪魔」の時にgash!さんが、四角く口を開け、目を見開いた表情をしていたのが印象的。アニメ『 The World of GOLDEN EGGS』に出てきそうでした。

全員団結の終盤戦

この後は、全員で踊る曲を披露して、ライブはフィナーレに向かいます。
『90’s』に続いて『Rock The House』。今回の『Rock The House』は、ライブ用に新たにアレンジしたバージョンが披露されました。「ライブ用にアレンジ」というだけで、ライブ好きの心が盛り上がりました。
SHUNさんも加わり、TOYOTAKAさん、RYOさんもマイクを持つ、3本マイクの新しいスタイル。ここでのSHUNさんが、すごくいい味を出しています。
SHUNさんはすごいんですよ!
ラップのフリースタイルなど、自分が主役になる場面ではソロラッパーのオーラを発揮。『Rock The House』ではBBBと同じ衣装を着て、BBBの一員のようにチームに溶け込んで踊り、いぶし銀の輝きを見せます。
前に出て光ることもできれば、チームの中で役割を果たすこともできるSHUNさん。私も職場でそういう人間になりたい。

そしてサプライズゲストの清水翔太さんが登場。『今夜はブギー・バック』をファンと一緒に踊ります。前説の時にMC KENSAKUさんによる振付レクチャーがあり、それがここで生きてきます。

その後は、BBBだけになり『Electro Viorhythm』。今年8月31日のJAPAN DANCE DELIGHTで初披露されて以来、関東では1度しか披露されていなかった作品です。
この作品は次々に表情の変わっていくダンスが見どころ。
出だしは今までのBBBになかった雰囲気でスタートします。全員が手をつないだ状態で、腕をくぐりながら複雑にフォーメーションを変えていきます。ドミノのように一つ一つの動きが連動し、ヴァイオリンの音色とEDM調の音とのかけあいを表現しているようです。
中盤には派手な合体技があり、曲の盛り上がりのヴァイオリンがジャガジャガとトレモロを奏でる部分には、追い立てられるような激しいステップが入ります。
個人的なお気に入りは、音が高温から低音に一気に下がっていく部分。ここでは床を転がり音程の降下を表現します。「なるほど」と思いました。
振付がバイオリンの音色とビートのどちらを表現しているのかを考えながら見ると、毎回発見があります。ヴァイオリンの優美な音色を、あくまで男性的な力強いダンスで表現しているところがBBBらしい作品です。

続いて『Michael Jackson』。その後MCが入り、最後の曲『FLY』が披露されました。

東京会場では、今季の新曲である『FLY』のフルバージョンが初公開されました。
この曲はトラックメーカーSTUDIO APARTMENTとのコラボ。ハウス風の4つ打ちのビートに乗ったピアノのメロディが耳に心地良い1曲。風を切る音がところどころに入っていて、大空を飛ぶ開放的なイメージが、耳からつたわり体をくすぐります。
振付は、曲調に合わせてハウス。隊列を変えながら飛ぶブルーインパルスのように、白い衣装のBBBがフォーメーションを変えながら踊ります。飛躍への思いを込めた曲です。

ハウスダンスはステップが多いから、走っているように見えます。音と一緒にひたすら走り続ける姿に、人生とか、生き様とか、そういったものと重ね合わせてしまいます。
よく、日本人は咲いて散る桜の花に人生を重ねると言いますが、ハウスダンスを見ている時も、それに通じる物が心の中に生まれます。

そこでこの、ライブのラスト『FLY』です。
冒頭はソロで始まり、徐々に踊る人数が増え、最後は7人で踊ります。1人だった人間がだんだん仲間を増やていくようで、胸が熱くなります。(ドラクエ4みたいですね)
7人になったらそこで「めでたしめでたし」ではなく、曲の終盤は全員で前を向き、激しく踊ります。
その姿に、ものすごく感情を揺さぶられました。
曲中にakihic☆彡さんの「すごくしんどいんですけど、みんなのためにいっつもいっつも試行錯誤しながら頑張っています」というあいさつがあったので、なおのこと。
仲間内で「しんどい」と言うことは簡単なことですが、目の前にいる会場いっぱいのファンを前にして本音を出せるのは、akihic☆彡さんの強さであり、魅力である気がします。

首をキョロキョロと左右に振る動作があり、未知の場所をとにかく前に進むんだという強い覚悟を感じるようでした。
そして、右手を3回を前に差し出します。これが何か私たちに与えようとしているようにも、求めるようにも見えて、ただ客席で見ていることしかできないのがもどかしい気持ちになりました。
彼らが差し出した手を握ってくれる、神様がいることを祈りました。


この曲でBSL7は終了しました。
7回目なのでマンネリ化しそうなものですが、ゲスト出演などもあり、新鮮さを感じながら楽しめました。毎回「今後こういう路線でやっていくのか」と思うのに、次回また新しいものを見せてくれる、まだまだ底の見えないBeat Buddy Boiです。ダンスももちろん妥協無し!

11月24日にBSLが開催され、その約10日後、akihic☆彡さんがDANCE@LIVE HIPHOP KANTO vol.4で優勝しました。怪我が良くなったということですね。

これは私が当事者でないから無責任に言えることですが、akihic☆彡さんを見ていると「運命」の存在について意識します。
以前は、誰にだって運命のようなものがあって、人は真っ暗闇の中を光の差す方に歩くように生きるのだと思っていました。でも実際には、光の見えない真っ暗闇を、自分が前だと思う方向に向かって歩くようなものじゃないかと、近ごろは思います。

毎日の暮らしの中で、いいことも、悪いことも、どうでもいいことも、いろんな出来事が脈絡なく起こります。
起こった出来事の点と点をつないで線を引いても、まっすぐな線にはなりません。
脈絡がないからこそ、偶然ラッキーな出来事も起こりますが、なかなかそうもいかず、「今までやってきたことは何だったんだろう」「もう何をやっても無駄じゃないか」「生きている意味ってなんだろう」と虚しい気持ちになることも、たまにあります。
真っすぐ線を描くように生きていけたらどんなにすてきなことでしょう。せめて真っすぐな線を描けるこということを、信じたいです。

akihic☆彡さんを見ていると、真っすぐな線を描いて生きているように見えます。
例えば今回怪我をしたことも、akihic☆彡さんの人生のプラスになるように、何かしらの意味があって必要なことだったのではないかという気になります。その直後DANCE@LIVEで優勝したこともそうです。
運命に導かれて、この人は真っすぐに進んでるのではないか。そう思ってしまいます。
実際は人の人生は物語ではないので、そんな易しいものでも、他人に理解できるものでもありません。akihic☆彡さんが自分の身に起こった出来事を、着々とチャンスに変えているからそう見えるんでしょう。
だけど、そういう人がいると知っているだけで、努力することの意味や、人生の意味を信じることができ、勇気がもらえます。

『FLY』中のakihic☆彡さんのあいさつにあった「みんなのために」という言葉は、来場したファンへの感謝を込めた、心からの言葉だと感じます。
BBBには目標があります。ストリートダンスをエンターテインメントとして確立すること、下の世代に背中を見せること。まずは武道館公演という目標があるので、これからもファンのために踊り続けるでしょう。
いつか、目標が全て叶って「自分のために踊りました」という言葉を聞くことができるまで、BBBを見続けたいです。

DANCE@TV #37 でライブの様子が紹介されています。

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