白くまぶしいダンスの未来 〜The90sASIA『A Frame』レビュー〜

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今回のコラムでは、11月23日に開催された、The90sASIAによる舞台公演『A Frame』を取り上げます。

【最新SPOT公開!】舞台公演『A Frame』の最新スポット映像が公開されました!CHECK!!月曜日の本番に向けて稽古はまさに大詰め!作品もどんどん完成に近づいています。本日は稽古場に、ダンサーのYOSHIEさんが激励に来てくれました!そんな注目の舞台公演『A Frame』のチケットは、ただいま絶賛発売中です。ぜひこの機会をお見逃し無く!***********国内外のバトル・コンテストで総獲得タイトル200冠以上!!90年代生まれのアジアのスーパーダンサーたちによる新感覚の舞台公演『A Frame』■開催日時2015年11月23日(月・祝)第1回:開演 14:00(開場13:30)第2回:開演 18:00(開場17:30)■会場渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール渋谷区桜丘町23-21■入場料一般:3,000円 (税込)学生:2,000円 (税込)※全席指定※学生券引き換えは開場の30分前(当日、適切な学生証の提示がない場合には、受付で一般価格との差額を追加料金としてお支払いただきます。)※未就学児入場不可※当日券は各回開演1時間前(開場30分前)より会場受付にて販売いたします。・チケットぴあ http://goo.gl/Dy1XUC0570-02-9999 (Pコード:630-815)・ローソンチケット http://goo.gl/sCcdM80570-084-003 (Lコード:73363)・イープラス http://eplus.jphttp://goo.gl/MxQSFn※チケットぴあとローソンチケットは一部携帯電話・全社PHSからはご利用できません。■出演者The90sASIA(ザナインティーズアジア)・IBUKI (日本)・KATSUYA (日本)・KAZANE (日本)・KTR (日本)・KYOKA (日本)・Maitinhvi (ベトナム)・MAMiQ (インドネシア)・Peach Pauline (マレーシア)・Ruu (日本)・SAKI (日本)・Salt (インドネシア)・TAISUKE (日本)・TE DOUBLE D Y_TEDDY (マレーシア)・youki (日本)・YU-YA (日本)・Zyro Santos (フィリピン)■パーカッションはたけやま裕 (日本)■演出oguri from s**t kingz (日本)Jillian Meyers (アメリカ)スズキ拓朗 (日本)・SSDW内詳細ページhttp://www.streetdanceweek.jp/a-frame・特設サイトhttp://dancedanceasia.com/the90sasia/■Shibuya StreetDance Weekhttp://www.streetdanceweek.jp/『Shibuya StreetDance Week 2015』は、国際交流基金アジアセンター、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、株式会社パルコの主催で、2015年11月22日(日)、23日(月・祝)の2日間、渋谷を舞台に様々なストリートダンスイベントを開催する国内最大規模のストリートダンスの祭典です。#SSDW #aframe #the90sasia #dancedanceasia

Posted by DANCE DANCE ASIA on 2015年11月19日

The90sASIA『A Frame』とは?
The90sASIAは、日本とアジアの90年代生まれダンサーによるユニット。
はじまりは、日本の90年代生まれのダンサーが集まったユニット90’s。彼らは2014年8月に青山DDDにて旗揚げ公演を上演しました。キッズの頃から注目され、今では世界で活躍する人気若手ダンサーたちの自主公演とあって注目を浴びました。
その後も彼らはユニット活動を継続。2014年から始まった、国際交流基金アジアセンターと株式会社パルコが主催するストリートダンスによるアジア交流プロジェクト「DANCE DANCE ASIA」にて海外公演も行っています。

今回の舞台『A Frame』は、上記のDANCE DANCE ASIA発の公演です。90’sがユニット名を「The90sJPN」に改名し、アジアの90年代生まれのダンサーを加わえて「The90sASIA」を結成。演出としてoguri さん(s**t kingz)、Jillian Meyersさん、スズキ拓朗さんといった日米の若手クリエイターが参加。
さまざまなフィールドから集まったダンサーやクリエイターが、14日間で舞台を作り上げます。

私がこの公演で一番興味を惹かれたのは「14日間で舞台を作る」という点でした。
短い期間で初めて出会う人達が1つのものを作りあげるのならば、おそらく爆発的な集中力で取り組むだろうし、それによって今までにない特別なものが生まれるんじゃないか。そんな期待がありました。

盛大なオープニング
公演はオーケストラの音楽で始まりました。まず舞台上に日本のダンサー(IBUKI 、KATSUYA、KAZANE、KTR、KYOKA、Ruu、SAKI、TAISUKE、youki、YU-YA)が登場し、ソロを交えて踊ります。全員グレイのコートに身を包み、フードで顔を隠しています。
日本のダンサーが一度はけ、続いて同じ衣装のアジアダンサー(Maitinhvi、MAMiQ、Peach Pauline、Salt、TE DOUBLE D Y_TEDDY、Zyro Santos)が登場し、踊ります。
オープニングの後半、日本のダンサーが再登場。出演者が全員舞台上に揃ったところで一斉にフードを外します。その瞬間に大歓声!

オープニングの段階で、私は気持ちは相当高ぶっていました。
だって彼らの14日間が濃縮されているみたいじゃないですか。まずThe90sJPNがあって、そこにアジアダンサーが加わって東京に集まり、稽古を重ねて行くにつれお互いのことを知り合い、今日この舞台で全員団結し、自分達のダンスを見せる!というストーリーがあるみたいじゃないですか。

さて、この舞台ではタイトル通り木製の枠である「フレーム」が大活躍します。ステージ上にはドアくらいの大きさのフレームが置かれています。6つはグレーのフレーム、1つは白いフレームと黒いフレームが重なった白黒のフレームです。この舞台の主役は白黒のフレーム。白い部分と黒い部分を縦や横に付け替えることで、扉や黒板や鏡などさまざまなものを表現します。
それを踏まえて、ここからは印象に残ったシーンをご紹介します。

Classroom
公演の前半、一番長い時間をしめていたのが教室をテーマにした作品です。これは2014年のThe90sJPN旗揚げ公演で披露された作品が元になっています。
始まるとすぐに歓声が聞こえたので、ファンの多い作品なのだと思いました。

TAISUKEさんが先生役、その他のダンサーが生徒役を演じます。
ステージ上にはフレームと、グレイの机と椅子が置かれています。これらの配置を変えることで観客から見える教室のアングルが変えたり、教室にランウェイ作ったりとステージの見え方がくるくる変わりおもしろかったです。出演ダンサーが皆若いので、教室という空間がとても似合い、楽しく見ることができました。

特に印象に残っているのが、先生に4人の生徒が廊下に出るように命じられたシーン。廊下に出された4人は最初は大人しくしているものの、KYOKAさんの持つ音楽プレーヤーから流れる音楽で、つい踊り出してしまいます。
これが何というか、とてもかわいいんですね。
ここはヒップホップダンスを見せるシーンなので、かわいいと表現するべきではないのかもしれませんが、かわいいんです。
ダンスはもちろんかっこいいのですが、その前後のストーリーやアクティングから感じられるキャラクターがとても楽しくてかわいい。
廊下に出されたのに悪びれず音楽を聞き始めるKYOKAさんや、最初は躊躇していたのに結局踊ってしまう残りの3人。このクラスの生徒はみんな音楽とダンスが好きなんですね。いい生徒達じゃないですか。

中盤
教室をテーマにした作品が終わると、少人数のユニットでの作品が続きます。この中で特に印象に残っているダンスを2つご紹介します。

1つ目は、B-BOYのYU-YAさんとジャズダンサーのRuuさんが踊る、恋愛をテーマにしたペアダンス。
この作品はRuuさんが待ちぼうけくう場面から始まります。YU-YAさんが現れるも、待ちくたびれたRuuさんは不機嫌。YU-YAさんは機嫌を取ろうとしますがうまくいきません。一度去るYU-YAさん、寂しさがこみ上げるRuuさん。再びYU-YAさんが現れ、2人は愛情は高まっていく…というロマンチックな作品です。

教室のシーンに対して「かわいい」と書きましたが、このペアダンスは「かっこいい」と思いました。
Ruuさんの演じる女性が、ステレオタイプの女性らしい女性ではなく、パンツルックの凜とした佇まいで、まなざしも強く前向き。恋愛にのめり込むというより、自律して自分の目標に向かっていくタイプの強い女性に感じました。だからこそ、YU-YAさん演じる男性に対して「この人なしでは生きていけない」という受動的な思いではなく、「この人と一緒に生きていきたい」という能動的な思いを持っている人物像を想像しました。
そんな2人の関係がとても現代的な恋人像に見えて、「かっこいいな」と思ったんです。

この作品では2人がそれぞれ自分の得意ジャンルのダンスを踊ります。ジャンルが違うから、より心のすれ違いの深さを感じるし、心が通い合った時の喜びも強く感じることができました。
アジアダンサーとのコラボにチャレンジした『A Frame』なので、恋愛についてだけではなく、自分と異なるバックグラウンドを持つ他人とつき合っていく難しさや、違うからこそ得られるものの価値の大きさについて考えさせられました。

続いてご紹介するのは、動画をモチーフにした作品。こちらはコメディです。
舞台やや奥にフレームが置かれ、その向こうでは部屋着姿のMAMiQさんがフレームの方を向いてくつろいでいます。舞台手前では4人のダンサーが観客席を向いてエキゾチックな音楽で踊っています。
つまり、MAMiQさんが見ているフレームはテレビを表していて、テレビではダンス練習用のDVDが再生され、その映像の中で踊っているのが4人のダンサーというわけです。

多くの観客にとって、動画を繰り返し見てダンスを練習するのは「あるある」的な題材だったのではないかと思います。
MAMiQさんは巻き戻しやスロー再生の操作を何度も何度も行います。ダンサーもそれに合わせて巻戻ったりゆっくりと踊ったりしなければいけないので、どんどん疲れが見えてきます。
ダンサー達の表情がおもしろくて、小柄でかわいらしい雰囲気のPeach Paulineさんがこの時ばかりはすごく嫌そうな顔をしていたのが印象的でした。
MAMiQさんが停止やスロー再生した時に、偶然生まれた崩れた表情を笑うシーンがあります。私は後方の席で見ていたので表情そのものははっきりと見えなかったのですが、それでも全力で笑いを演じるダンサーの雰囲気がよく伝わってきて、声を出して笑いました。顔を崩しながらも、正確な動きでスロー再生を演じるミスマッチがおもしろかったです。

この作品はコメディですが、MAMiQさん自身も非常にユーモアのある方のようです。公演中舞台の端でゴリラのモノマネをしたり、デッキブラシで背中を掻こうとしていたりと、しばしばおもしろい動きをしていて、目が離せない存在でした。

カホンとセッション
公演も後半になると、はたけやま裕さんが演奏するカホンとのセッションがあります。
カホンとは木製の箱のような形をしたペルー発祥の楽器。一見ただの箱なのですが、叩く場所によって音色がかわり、箱1つでドラムスのような音を奏でることができます。今回カホンを初めて見ましたが、あまりにも多彩な音が出せるので、電子楽器の一種かと思っていまいました。
街を歩くダンサー達が、フレームの前を通るとカホンの音で踊り出すというシーンで登場します。

ストリートダンスと楽器のセッションは、過去にもさまざまな公演で試みられたことかと思います。そんな中カホンは初めて知る楽器だったし、音もストリートダンスによく合っていて、カホンという楽器を知ることができただけでもよかったです。
その上ダンスもとてもいい!
各人のソロを見せるこのシーン。バトラーが多いThe90sASIAなので、水を得た魚のように生き生きと踊ります。踊りながらはたけやまさんとアイコンタクトをとるダンサーもいて、それがよりセッション気分を盛り上げます。会場はもちろん大歓声でした。

特に印象に残っているのはIBUKIさん。
IBUKIさんは本を読みながら舞台を横切ろうとします。フレームの前にさしかかると、カホンの音が聞こえます。おもむろに音を確かめるような表情をした次の瞬間、持っていた本を地面にバチンと置き、ダンスが始まります。
本を持っている時のアクティングモードから、ダンスモードに切り替わった瞬間、射るような気迫を感じて寒気がしました。


カホンとのセッションが終わると、公演はエンディングへと進すみます。
ステージ後ろには7つのフレームが並び、ダンサーは真っ白な衣装で踊ります。
空高くへと上がっていくフレームと、それを見上げる若いダンサー達。非常にすがすがしく、すばらしい終わり方でした。ここから何か新しい物が始まっていく、そんな未来への予感で溢れていました。

公演を観る前は、タイトルに「Frame」とあるので、ストリートダンスにおけるアジアという枠組みを確立させるような内容なのかな?と思いました。しかし公演を観てみると、枠はあってもその中に納めようとすものではありませんでした。
公演に登場した枠は、いろんなものを表現できる可能性に満ちていました。ダンサー達は、枠で表現されたテレビや鏡の内側の世界と、外の世界を自由に行きすることができます。枠は出会いと交流のきっかけを作る存在にもなっていました。
枠があることによって、逆に「枠なんてないんだ」ということに気づかされます。

この公演の内容だけにとどまらず、誰だって心の中に「常識の枠」とか「既成概念の枠」とか、いろいろな枠を持っていて、それを壊すために戦っていると思います。
でもそうではなくて、枠というのはそこにあるけど、それだけの存在。戦う必要など無く、ただくぐり抜ければいいだけの物なのかもしれません。心の中に限界を作らず、自由にくぐり抜ければいいんでしょう。この公演のダンサー達のように。

『A Frame』は「よく知らないけど、ダンスを生で見てみたい」という人にオススメしたいと思いました。
私はダンサーでは無いので、周りにダンスを見に行く習慣のある人間がいなくて、基本的にいつも自分が誘う側です。たまに身近に「ダンスを見てみたい」という人間が現れた時には、これはもう逃したくないし、この世界へ引き込みたい。だから「何を見てもらうか」のチョイスに慎重になります。
ストリートダンスって、見るものとしては公演やショーやバトルなどの形があるわけですが、さらにその中にダンスのジャンルもいろいろあります。そんな中で「まずこれを見れば概要が分かる」とうまく網羅されているものが無いと感じていました。
単独公演などは制作したカンパニーのスタイルに特化しているので、それだけで「これがストリートダンスだ!」と言うのは心苦しいし、スタイルが好みに合わなかったら…という不安があります。
スタイルの多様さを知ってもらうにはコンテストやバトルを見てもらうのがいいと思いますが、開始から終了まで見ていると結構時間がかかるし、昼に始まっても終わるのが夜10時とかだったりするので、初めての人は誘いづらい。

そこでこの『A Frame』ですよ。
さまざまなジャンルのダンサーがいて、振付作品の要素もバトルっぽい要素もあり。それらをコメディいっぱいのアクティングを交えながら、楽しい気分で見ることができます。
ビジュアルはシンプル、使用楽曲もダンスミュージックだけではないので、趣味趣向問わず楽しめるでしょう。会場も一般層が足を運びやすい、劇場という快適空間。
「今のストリートダンスを知るならこれだ」という、新しい1つのスタンダードが生まれたような気がします。
今後もこういう、幅広い層が楽しめる公演が増えるといいなと思いました。

【公演情報】
2015年11月23日(月・祝)
第1公演 : 14:00〜 第2公演 : 18:00〜
渋谷区文化総合センター大和田さくらホール
上映時間約90分

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ストリートダンスと女性アイドルの熱いファン。
サークル・KAFLY(http://kafly48.minibird.jp/)で女性アイドルのミニコミ誌を定期発行しています。今一推しのアイドルは東京パフォーマンスドールの橘二葉ちゃん。
苦手な食べ物はなすびとマンゴー。

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