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舞台でダンスを拡張し続けた20年の集大成。DAZZLE20周年記念公演「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」レポート。

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開催日
2016年 10月 14日
場所
池袋 あうるすぽっと
ジャンル
公演

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DAZZLEの20周年記念の舞台、「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」が開演し、すでに舞台の期間も折り返しをすぎた。赤坂ACTシアターや国際フォーラムをはじめとした大きな舞台で実績を積み上げてきたDAZZLEが、今年は20周年のためか、あえてのホーム、池袋のあうるすぽっとで行われたことに古くからのファンも感激したことだろう。
LEGEND TOKYOをはじめ多くのビッグタイトルを獲得し、海外公演や坂東玉三郎をはじめとした大物クリエイターたちとのコラボレーションを通しても、なおブレないDAZZLE。今回「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」はその不易流行(普遍的なスタイルと、時代に合った表現)のバランス感覚が素晴らしいほど見て取れる良い舞台であり、著名なアーティストたちからも絶賛の声が上がっている。Dewsとしてレポートする前にまずは残り少なくなったチケットを予約して、確保してから読んでほしい。

キョードー東京 DAZZLE 20周年記念公演:http://kyodotokyo.com/dazzle20

結末がわかっていても泣ける強度。絆が輝くほど荒廃した世界で

もうすでに内容のネタバレもネットで拡散されている状態ではあるが、今回のストーリーを簡単におさらいしておこう。
環境汚染により海が干上がった世界で、水を求めて人々が水脈を探し回る中、主人公はその貴重な資源である水をめぐって親を殺されるなど多くの不幸に遭い、濡れ衣を着せられ海賊ならぬ砂賊となった。
ある日であった謎の青色の服の男は主人公に不幸が起きそうになるたびに助けるが、主人公は勘違いからその恩を何度も仇で返してしまう。物語が進むにつれて、干上がった原因が人魚にあるのではないかという噂が流れる。
実は謎の青い男は人魚の恋人であり、人魚を見つけてしまった主人公は同時にその青い男との絆に気づき、その人魚をどう扱ったらいいのか葛藤する。結果、観客にその指針を決定してもらう、というマルチエンディングの舞台である。
一つの映画を見ているような完成度の高さに加えて、観客とのインタラクティブを埋め込んだこの演出は見事に舞台という装置の長所を生かし、映像では味わえないワクワク感を用意してくれた。鮮やかなラストシーンの演出は涙が溢れるばかりだった。
荒廃した世界を表現する群舞、アクションシーンのようなダンス、青い男との友情、ストーリーのディティールが分かっていても期待の倍は楽しめる内容であった。
ロビーではDAZZLEの20年の歴史を語った対談が掲載されているパンフレットや舞台のキーアイテムまで、生産数限定で売られている。ファンとしては是非手に入れておきたい。
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クリエイターとしてのDAZZLEはダンサーに哲学を促す

今回も作・演出の長谷川達也と脚本の飯塚浩一郎のゴールデンコンビで行われた。舞台には椅子、花、机、窓、マネキンといったシンプルな大道具と、かばんやキーとなるアイテムなどの小道具しか使われていないが、使い方一つ一つ、ダンサーが考えるよりも一つ上手の使い方を提示してくるため、観劇中それを発見するごとに喜びたくなるのを抑えるのに必死であった。またプロジェクションマッピングなどを効果的に使い、同じ舞台装置で全然違う場面を見事に表現していた。思い出してみればマスクやかぶり物から始まり、移動式のドアや襖、傘やぬいぐるみ、机や椅子、様々な舞台装置をDAZZLEは再発明してきた。Re:dで見せた舞台全体を覆い尽くすような布とそれを使ったスピード感溢れる彩りあざやかな舞台もも未だに記憶に残っている。その集大成とも言える20周年の舞台。ロビーには歴代の小道具たちが展示されていてDAZZLEを長く応援してきた人たちが喜べる内容となっていた。
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ロビーには他にも青い男の指名手配写真がいくつも張り出されている。全てを見つけられるか探してみるのも良いだろう。
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そしてDAZZLEの舞台の特徴として、タイトルに伏線や世界観のキーとなるワードをちりばめる傾向があるが、今回は人魚をモチーフとして取り上げていた。タイトルにも入っている言葉「鱗」は小道具として舞台上にたびたび登場し、何かを象徴するものとして描かれており、鱗は本来、魚の表皮や鎧として身を守るためのものであるが、物語の中では何を意味しているのか、そうした視点で舞台を楽しむという作品は、ほかのダンサーの舞台ではなかなか見ることができない。
昔から核のような環境問題や人の心の弱さ、着ぐるみや狐の嫁入りなど日本的なもの、様々なテーマや表現に挑戦してきたDAZZLEだからこその、一度見ただけでは処理しきれないほどの情報の濃密さが舞台にちりばめられている。
舞台「ASTERISK」の時も感じたが、ダンスの舞台では珍しく、映像、声、歌などを用い、各キャラクターたちのレゾンデートル(存在理由)を、名前のない登場人物たちですら明確に描きだしており、腕の上げ下げから表情の一つ一つまでがしっかりとダンスとなって表れている。
また、男性だけのダンスカンパニーであるからこそ表現しにくいはずの色恋や耽美さを、性別の垣根を越えてこれでもかという具合に見せてくる妖艶な表情と振り付け、小道具は我々の頭の中の表現の概念を何度も何度も上書きしてくれる。

技巧派ダンサーというDAZZLEの本懐

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個人的にダンサーの眼から見てDAZZLEといえば「あの何度も出てくるけど何度も見てられるルーティーンだよね。」と、一言でいえばそこに尽きるのであるが、足腰の強さと裸足で踊ることで発現する独自の接地感、舞台装置と一緒に動いても何ら違和感のない無機質さ、何百回もコンタクトインプロビゼーションの改善を繰り返したことがうかがえるコンビネーションに、装置や舞台を使った高低差や空間演出のうまさは「ダンサーならでは」という言葉以上の創造性の高さを感じる。
DAZZLEのコンセプトである「すべてのカテゴリーに属し、属さない曖昧な眩さ」という言葉は、個人的にすべてを吸収しオリジナルを創る、といった意味合いが含まれていると解釈したい。TRFのSAMはパンフレットでのコメントで、DAZZLEのRAVE2001出演時について「当時彼等のスタイルはHiphopともJAZZともコンテとも言えない独特なもので賛否両論だった。」とコメントしているが、ここ数年のDAZZLEの舞台を見るたびに感じるのはその貪欲な吸収力と、すべてのダンスや舞台のジャンルへのリスペクトだ。20周年を迎えたDAZZLEはもはやHiphopであるしJAZZであるしコンテンポラリーであるしダンスと呼べるすべての領域の追及の結果なのである。
クランプのようなダイナミックな振り付け。その場で足を何度も蹴り上げリズムを取るジャッキングや、コンテンポラリーやパントマイムのような無から有を作り出す所作、そしてDAZZLEのダンス一番の持ち味でもあるギミカルなタットやヒールなどの動きの応酬にも、しっかりとディジットやボーギングなどの流行を取り入れ続け、神を細部に宿らせようというこだわりが、舞台に近い席であれば一つ一つ見えてくる。そしてまだまだアイデアだけでなくダンスも進化していくのだなと感じさせる勢いを見せてくる。
舞台の千秋楽はAbemaTVでも放送が決定している。一度見た人はもう一度ぜひ見直してほしいし、見ていない人はぜひ舞台に足を運び、生でその真価を確認してほしい。

(舞台写真提供:ヒダキトモコ)

関連リンク
DAZZLE 公式H.P. http://www.dazzle-net.jp/
キョードー東京 DAZZLE 20周年記念公演:http://kyodotokyo.com/dazzle20
DAZZLE 20周年記念公演「鱗人輪舞 (リンド・ロンド)」独占生中継SP | FRESH! by AbemaTV(フレッシュ バイ アベマティーヴィー) – 無料で生放送が見放題 https://abemafresh.tv/official/42469