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今注目しておきたい東海HIPHOPシーンの熱量‼︎N.S.Y vol.15レポート

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開催日
2016年 10月 16日
場所
新栄clubMAGO
ジャンル
バトル

10月16日に、名古屋の新栄clubMAGOでN.S.Y vol.15が開催された。
先日DANCE LEAGUEのプレシーズンマッチが行われた名古屋だが、その1週間前に起きた「名古屋で一番ヒップホップが熱い日」についてレポートする。

このN.S.Yとは、名古屋を拠点に全国的に活動しているUC(daft)が8年前より仕掛けているHIPHOPの2on2バトルイベントであり、毎回幅広い年代や地域のエントリー者で盛り上がっている。

今回の参加者も、下は小学校低学年から、上は孫を持つ50代まで、まさに三世代にわたる幅広さでエントリー者が集まった。

さらには東海圏のみならず、関東、関西、北陸、沖縄など地域も幅広く、最終的に総勢95組190人のエントリーとなった。

また地域、年代の幅広さもさることながら、
HIPHOPバトルというカテゴライズに対して、
他ジャンルのダンサーも積極的に参加している点も、
N.S.Yの特徴であり、カタチ以上に自己表現としての精神性を重んじる名古屋ならではのカラーを感じさせる。

そして、会場のclubMAGOは、名古屋一との呼び声高い音響システムを備え、ハウスpartyを中心に30年に渡り名古屋のクラブシーンを支えている老舗。

そんなアングラシーンど真ん中の会場に、日曜の昼間からキッズダンサーから大人まで観客合わせ300人近い人数が集まる様子は時代を感じずにはいられなかった。

そんなN.S.Yのバトルで今回JUDGEを務めるのは、

東海HIPHOPの番人、entranceのTAKAOMI、
既成概念を壊し続ける“NEW”SKOOL、澄香樹のHirototti、
若手ながら岐阜から全国で活躍するフィメイルダンサー、スーパーYUKA、
愛知・岐阜・三重から東海を代表するダンサーが顔を揃えた。

さらに、N.S.Y特有のシステムとしてHIPHOP JUDGEなるシステムがあり、
そのHIPHOP JUDGEを、日本のHIPHOP第一号のHORIE HARUKI aka Harucallowayが務めることも、今回の大きな目玉となっていた。

HIPHOP JUDGEとは、バトルの勝敗に一切関与せず、HIPHOPを感じたやつに賞を授与していく特別JUDGEであり、賞の名前、数もHIPHOP JUDGEに一任されている。

唯一無二のJUDGE SYSTEMであり、日本のHIPHOP黎明期からシーンのど真ん中にい続けるHORIE HARUKI氏にこそうってつけと思えるJUDGEだ。

蛇足ではあるが、N.S.Y開設当初は、故KATSU(Beeper/DEGIL FIRE/MASH BRUSH)氏という東海シーンの父とも呼べる方がこのHIPHOP JUDGEを務めていたのだが、KATSU氏亡き後は、オーガナイザーUCは、

「音楽・ファッション・カルチャー・ダンスすべてに精通し、HIPHOPに人生を捧げたKATSUさんだからこそ、お願いできたことで、誰にでも出来るものではないから。」

として、HIPHOP JUDGEを不在としたままイベントを継続してきた。

そして、vol.15の節目にHORIE氏にHIPHOP JUDGEの復活要請を打診し、HORIE氏がその想いと、KATSU氏の遺志を引き継ぐカタチでHIPHOP JUDGEを引き受けたことで、東海ダンサー勢の心を熱くさせ、イベント開催前より異様な熱気を帯びていた。

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かくして、開催されたN.S.Y vol.15だが、開催直後から会場を盛り上げるのが、N.S.Yのこれまた名物のひとつであるMC ROKUDENASHI。

東海圏のみならず、SPROUT, ALL JAPAN SUPERKIDSなど、様々なイベントでマイクを持つ彼ではあるが、
実はこのN.S.Yで初めてマイクを握ったという彼としても運命的なイベント。

彼の持ち味は圧倒的なハイテンションと、滑っても転んでも前に出て行く折れないハート、人呼んで情熱のプロ!(笑)

そんな彼のMC MOVEからイベントが始まるのが8年前からのお約束。

毎回時事ネタも取り込みつつ、実はJAPAN DANCE DELIGHT FINALISTという経歴を持つダンサーとしての本領をちょっとだけ散りばめるMC MOVEは意外とファンが多く、それを楽しみに遠方からエントリーする人もいるほどだ。

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今回もそんなお約束のMC MOVEで盛り上げ、N.S.Yがスタートするわけだが、N.S.Y最大の特徴は、そのバトル数とチャンスの多さ!

予選は1ブロック8チームに分かれての勝ち抜きトーナメント。
各ブロック1チームが予選通過となり、それ以外は全員敗者復活バトルへと回る。

敗者復活バトルは、
1回戦負け、2回戦負け、3回戦負けにそれぞれ分けた上でオーディションバトルを行い、
1回戦負けから4チーム、2回戦負けから4チーム、3回戦負けから4チームをpick upした後に、
敗者復活決定バトルを実施して、
最終4チームが決勝トーナメントへと進めるというもの。

こうして予選から実に100を越えるバトルが繰り広げられるのがN.S.Yである。

ここまで長ければ中だるみしそうなものだが、
MC ROKUDENASHIの休憩を許さないハイテンションで、一定の熱気を保ったまま、イベントは進行していく。

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そして、前述した敗者復活バトルであるが、
ここにもひとつ工夫が散りばめられている。
それは、敗者復活バトルのバトル音源はその日のJUDGEが事前にセレクトした音源で行われるというセレクト音源システム。
バトルの定番曲という、変な枠を取っ払いたい、良い曲は良い、というオーガナイザーの意向があり、
JUDGE陣がある意味で突っ込み、偏り、好み全開でダンサーとしてのセンスを懸けて選んできた選曲で踊るバトルは、
敗者復活という後がない状態から、開き直ったダンサーたちによって、通常のバトルにはないミラクルが産まれている。

余談ではあるが、このセレクト音源は、
エントリー者が音楽の幅を広げて、今後音楽を掘るきっかけにしてほしい。

という想いが込められており、イベント終了後にはトラックリストが無料配布されている。

さて、N.S.Yのイベント説明が長くなりすぎたが、
vol.15のバトルを振り返っていきたいと思う。

今回の注目バトラーとしては、
東京からジャスタブーブー/関西ユニットのTaichiと、GemainshaftのO-NOが組んだ『Taichi&O-NO』や、
関西の若手ヒップホップの雄『GRIMREAPERZ』に加え、今勢いのある『LyonStyle』,『MIKA&AIAI』などの県外勢に加え、
BEAT SOLDIERのルイスとRiffChaseのYUUSHINの『木野と平野』
名古屋のMOMOC@と大阪のコーヒーの『GCord』
名古屋のRINKAと富山のkotoriの『Burst』
といった、DANCE@LIVE KIDSでも大活躍している10代のスターダンサーも集まっていた。

地元名古屋からは、
C-HAISとして名古屋発HIPHOPを全国に広めたLUPINと、BIOBLOO/FREEDAYとして全国で活躍するMORIARCHが手を組んだ『ブルースブラザーズ』
フィメトラ初代優勝者であり、今でもSAM×2/RAJAH BROOKSとして名古屋、神戸のクラブシーンを牽引するSOMEKAと、ARROGANT/龍五娘として東海シーンの中心的存在であるMAKOOが組んだ『未定』
名古屋KIDSダンスシーン総本山といえるダンススタジオFORCEのオーナーKITOHと、JDD FINALISTであるbaanintatsuyaからなる『バニキト』
など普段バトルに積極的ではないベテラン勢の参戦も目立った。

予選では、1回戦から有力チームが敗退するなどの番狂わせも度々見られ、
会場は盛り上がりを見せ、その分敗者復活バトルも熾烈なものとなっていった。

予選のピックアップとしては、
全国トップクラスの高校生バトラー対決である『G-CORD』×『Burst』、
一触即発の乱闘ギリギリ(アウトw)バトルとなった『A.R.E.S』×『GRIMREAPERZ』
この日唯一の延長戦へともつれ込んだ『木野と平野』×『Taichi&O-NO』、
筋金入りのHIPHOPダンサーたちがホリエさんセレクトのJBでバトルした『yasu+masahiro』×『GRIMREAPERZ』×『Taichi&O-NO』
などが特に好バトルで会場を盛り上げた!

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さらに、『ファイティング20』×『AYLAH』のバトルでは終盤音響トラブルで音が止まってしまうものの、
間髪入れずにMC ROKUDENASHIが何ちゃってヒューマンビートでダンサーを躍らせたバトルも勃発し、
彼の機転と、その盛り上げ方、声の質にて、
ホリエさんに「バスタがいたかと思ったよ!」と言わせ、それまでのMCの自由奔放な奮闘ぶりにも、「お前は本当にヒップホップだ!」と絶賛し、周りを騒然とさせた。

決勝トーナメント前には、JUDGE DEMOがセッション形式で行われ、
Hirotottiの規格外の自由奔放さに、スーパーYUKAの安定感、そしてTAKAOMIの深みが絶妙なに絡み合い、
予定をオーバーする3moveで会場を盛り上げると、
そのあとにライブを控えていたHORIE HARUKIが急きょセッションに乱入!
会場は割れんばかりの歓声で盛り上がった。

そのまま、HORIE HARUKI aka HarucallowayのHIPHOP story LIVEへとなだれこみ、
そのエンターテイメント性、HIPHOP spiritに会場は完全にひとつとなり、なかには涙腺が崩壊するものも見られるほどだった。

JUDGE DEMOのテンションをそのまま引き継ぐかのように決勝トーナメントはさらに盛り上がり、
ベスト16でも、ベスト8でも好バトル連発となり、
会場は盛り上がり、JUDGEを悩み、幾度となく割れた結果にその都度会場は沸き、異様な空気へとなっていった。

中でも、
POP×BREAKというHIPHOP以外のジャンルを基調とした異ジャンル対決となった『琉球爆弾』×『WEST-O』では、お互いのパッションの高さとファンキーさで会場を盛り上げ、
『バニキト』×『AYLAH』では、
47歳Mr.KITOH×20歳ハルナインティーという実の親子バトルも実現し、ストリートダンスシーンが新時代へと突入していることを感じさせられた。

また、ベスト8では、
『Burst』×『WEST-O』という10代×30代の世代間バトルとなったが、
10代とは思えない深いHIPHOPを見せた『Burst』に対し、
ロービートにもバッチリ乗っかったリズムブレイキンとミラクル的な音への反応を見せた『WEST-O』が競り勝ち30代の意地を見せた。
また、『バニキト』×『A.R.E.S』で繰り広げられたルーティーン対決は、観る者のインスピレーションを大いに掻き立て、
『木野と平野』×『ブルースブラザーズ』も、またもや10代のバトルモンスターと、30代の生き様ダンサーという世代間バトルとなったが、
互いの良さが存分に出ており、またそれを会場全体が受け入れるまさにスタイルウォーズながら理想的な高め合いが行われた。

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準決勝では、
『A.R.E.S』×『WEST-O』の愛知の若手×ベテランの構図となり、男同士バチバチの気迫のバトルが繰り広げられたが、HIPHOPの意地を見せたA.R.E.Sが競り勝つと会場は大きなどよめきに包まれた。

準決勝のもうひとカードは、『木野と平野』×『G-Cord』の10代対決は、全国的に見てもレベルの高いHIPHOPバトルとなり、会場を驚愕させるが、チームワークを見せたG-Cordが僅差で決勝進出を果たした。

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ムーブ数が増加した決勝も、疲労を見せずお互いにかましあいの好バトルとなったが、
最後はルーティーンとソロのバランスの良さ、そしてオリジナルチームであるチームワークの強みで『A.R.E.S』が15代目チャンピオンの座を勝ち取った。

A.R.E.Sとは愛知の5人組(総メンバーは10人近い)のHIPHOPチームであり、
今回はリーダーであるSUSUMUと、OMIは2人で参戦していた。
SUSUMUは元KoRockとしてキッズ時代から活躍してきたダンサーであり、現在はA.R.E.Sの他にUC,HirotottiらとContrology circleとしても活躍している愛知の次世代を担うHIPHOPダンサーの1人である。
また、OMIはラッパー、トラックメイカー、VJなどで構成される今ストリートで話題の個性派集団PITCH ODD MANSIONにダンサーとして所属しているなど、個性的な活動をしている若手ダンサーである。

実にバトル開始から11時間、総バトル数145という長丁場となった過酷バトルイベントを最後まで勝ち抜いたA.R.E.Sには惜しみない賞賛が送られた。

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また、この長丁場のイベントをたった2人のDJで盛り上げ続け、
幅広い選曲でHIPHOPの格好良さを改めて提示してくれた、
DJ MATSUとT2もN.S.Yを長く支え続けているゴールデンコンビであり、
毎回ダンサー、JUDGE、ゲスト、観客の首を大いに振らしてくれた。

そして、最も奮闘したと言えるのがMC ROKUDENASHIであり、
オープニングのMC MOVEから、常に誰よりもハイテンションでイベントを仕切り続け、ハプニングにも対応し、自らもバトラーとしてエントリーもし、さらには前日iTunes配信された彼のデビュー曲“TOOFIYMAN”のライヴまで行うというまさに大車輪の活躍と言えた。

表彰式の最後にはHORIE氏から、
今回の目玉企画のひとつであったHIPHOP賞が理由もふまえて10組発表され、
直筆のHIPHOP賞色紙が与えられた。
HORIE氏のメッセージに、会場の多くが勇気をもらい、HIPHOPにストリートダンスに出逢えた喜び、そこで繋がれた奇跡を改めて噛み締めていた。
HORIE氏の熱さに呼応するように、最後まで多くの人が会場に残っており、
また名古屋シーンを築いてきたいわゆる大御所と呼ばれる人たちも多くいたことも、
この日の濃密さを象徴しているようだった。

このように簡単に振り返るだけでも長丁場となる過酷なイベントN.S.Y。
しかし、その裏には数多くの想いと仕掛けが散りばめられており、
参加者それぞれが何かの刺激、きっかけをもらえるようなイベントでもある。

次回の開催はまだ未定であるが、次回もまた盛り上がることは間違いないであろう。
今回も開催1ヶ月半前には定員までエントリーがあったことからも、周りからの注目度は高い。

自由で、個性も強いが、良いものは良いと受け入れる懐の深さを見せる東海地区でのバトルイベント、気になった方はぜひ足を運んでその目と身体で感じていただきたい。

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=N.S.Y vol.15 結果=
【優勝】
A.R.E.S(SUSUMU/OMI)

【準優勝】
G-Cord(MOMOC@/コーヒー)

【Top4】
WEST-O(YU-YA/YOKO-YOU)
木野と平野(YUUSHIN/ルイス)

【HIPHOP賞】
・AMI-KO(待ってる時までHIPHOPしてたで賞)
・G-Cord(なぜそこまでして踊るのか?理由なんてない!賞)
・木野と平野(ダンスの神様からギフトをもらっているで賞)
・A.R.E.S(君たちは漢だったで賞)
・グレーゾーン(面白いチームワークだったで賞)
・SOMEKA&MAKOO(ファッションリーダー賞)
・UC+ROKUDENASHI(みんなの兄貴分だったで賞)
・Coyote(自分たちの好きなものを貫いていたで賞)
・おかめ納豆(45秒の使い方がめちゃくちゃ濃密だったで賞)
・WEST-O(かっこいいBREAK野郎賞)
・no-ri-(入り込み度no.1だったで賞)