ダンサーがセリフをいうだけじゃない、名作「蜘蛛の糸」の斬新な新解釈!ライフワークス主催「蜘蛛の糸」再演レポート&インタビュー

全国青春ダンスカップ By GENERATIONS高校TV_シングル

開催日
2017年 05月 22日
場所
渋谷区文化総合センター大和田
時間
OPEN : 19:00 / CLOSE :
ジャンル
公演

2017年もダンス界は試行錯誤と挑戦の年になりそうだ。2017.5.22-23、舞台「蜘蛛の糸」が渋谷区文化総合センター大和田で行われた。経験者専門のダンススタジオ、ダンスワークスが主催、SHUNこと大村俊介が脚本・構成・演出・振付を行った。20399151_1397831383632846_2026731195_o
今回の舞台の見どころは何と言っても複数の主人公を演じるダンサーたちが、踊るだけでなくセリフを喋ることである。その妖艶なスタイルで日本を中心に世界的な人気を誇るJuNGLEや、ジャズだけでなくコンテンポラリーダンスの世界など様々な舞台で活躍しBIG4でも活動している松田尚子、世界的なB-BOY TAISUKEを育成したCool Crew Jr.のパパMARやBlue Printとしてダンサーだけでなく舞台俳優としても活躍するATSUSHIなど、豪華な顔ぶれのダンサーたちが声を発し、ダンスを踊り、物語を構成していった。

物語の舞台は走馬灯の世界。或る日突然迷い込んだ生と死の間の空間で、登場人物たちが、自分の記憶や後悔を取り戻していくというあらすじだ。不思議な世界で毎日、BARで踊ったり歌ったり、牧歌的な日常を過ごしながらも、過去の記憶や過ちを思い出し、どう前に進んでいくかという葛藤をダンスとセリフ、照明などの演出で表現した群像劇だ。20446264_1397831400299511_279109778_o
例えば、主人公の一人であるATSUSHIは、MARとともにお笑いのショーレースで勝ち上がることを夢見て出場するのだが、MARはたびたび漫才の最中に失敗を繰り返してしまう。20424588_1397831436966174_89028241_o
その失敗を原因に二人は喧嘩別れしてしまう。しかし、その失敗の原因はMARが内緒にしていた病気のためであり、その上余命が少ないということが発覚し、ATSUSHIはひどく後悔する。20446155_1397831346966183_295482098_o
MARの入院する病院にいくためにATSUSHIは走り出すのだが、運悪く車に衝突してしまう。その結果迷い込んだのが走馬灯の世界であった。

他にも数名の主人公たちそれぞれの過去や後悔が、舞台が進むにつれて浮かび上がってくる演出は、最後まで観客を飽きさせない。ダンスもジャズをベースとしたユニゾン、舞台ダンスとしてもハイレベルで、サポートコレオグラファーには黒須洋壬や原田薫、櫛田祥光など、豪華な振付師が集まった。ASAKI やBeBeなど、実力派ダンサーたちの高いスキルも見逃せなかった。20447101_1397831386966179_107734349_o
表題通りに取るのであれば、「蜘蛛の糸」は芥川龍之介の作品である。地獄に落ちた男が釈迦の慈悲により蜘蛛の糸を垂らされ、それをのぼり助かろうとするが、下を見ると多くの罪人たちが地獄から逃げようと群がっており、蹴落とそうとしたら糸ごとちぎれてしまったという話だ。20424660_1397831440299507_1958651150_o
しかし今回の作品は逆の解釈を提示する。彼らは地獄から逃げたいのではない。この世に未練を残しているからこそ戻りたいと願っているのではないか。
蜘蛛の糸は希望でもあり未練の象徴でもある。自分が助かりたいからでなく、助けなければならない人や謝らなければいけない人たちがいるからこそみな地獄から這い上がりたいのではないか、そういう問いかけをしてくるのだ。そうした哲学を提示する大村俊介の感性は、ストリートダンス業界では随一といえよう。20424635_1397831350299516_1125219950_o
客席からはダンスがわからなくてもこれはすごいと分かるし面白いね、と客同士が話している声が聞こえてきた。ダンサーだけでなくダンスフリークやダンスファンにもしっかりと届く舞台であった。

公演後、主役の一人を演じたATSUSHIがインタビューに答えてくれた。

STAFF
とても面白い舞台でした。ダンスの表現の可能性や幅を再確認できた気がします。ダンサーや、表現者としてのダンサーが舞台などでダンス以外のことをする、たとえばセリフを喋ることなどについて、今はどう考えていますか?また、舞台をしてみて手応えなどは感じていますか?

ATSUSHI
昔から「観てる人を楽しませる」ことと「人の真似をしたくない」という2つの想いがありました。
なので、ダンサーとして舞台で芝居をすることは長くダンスをやってきて巡り逢えた最高の表現だと思っています。

今回の公演や、Blue Printの公演では毎回お客様の笑い声が会場に響いていて楽しんでもらってるんだなという実感はあります。もっと勉強して人の心に残る芝居ができたらと思います。

でも芝居ばかりやっていても、ダンスが下手くそになってしまう。
逆も然りです。
これからも、もっと色んなことに挑戦したいので少しずつ自分を高めていきたいと思っています。

STAFF
なるほど、ジレンマがあるのですね。これからどういう舞台や試みを行っていきたいかなど、ファンへのメッセージをいただけますか?

ATSUSHI
まだやってないことのひとつとして、映像があります。
ドラマや映画に挑戦してみたいですが、なかなかそういう機会はないので自主制作で面白い映像を撮ってYOUTUBEで配信したいなと思っています。

またLIVEもやりたいですね。アイデア次第でどんなチャンスが巡ってくるか分からない時代ですが、人の真似ではなく人を楽しませられる事を考えていけたらなと思います。

 

8月2日から6日にかけてATSUSHIの所属するBlue Printの公演が行われる。FBページが毎日更新されているが、非常に刺激的な公演となりそうだ。こちらもチケットが残り少ないとのこと。

Blue Print vol.7 『父親参観日』

ダンスワークス
http://danceworks.jp/

写真提供 DANCE WORKS