東京ゲゲゲイ振付 歌舞伎×フィギュアスケート『氷艶 HYOEN 2017 ‐破沙羅‐』MARIEインタビュー

(写真左から YUYU、Miku、髙橋大輔、MARIE)

全6公演、大好評のうちに幕を閉じた歌舞伎×フィギュアスケートの氷上ステージ『氷艶』(レビューはこちら)。
ショーのサプライズとなっていた髙橋大輔の陸ダンスを担当した東京ゲゲゲイ(MARIE、Miku、YUYU)のMARIEに、コラボレーションを振り返ってもらった。

妥協なくゲゲゲイ節を注入

——-『氷艶』は、東京ゲゲゲイさんはもちろんのこと、チームラボ(プロジェクションマッピング)!DRUM TAO(演奏)!VOGUE JAPAN(ヴィジュアル)!とクールジャパンの豪速球がこれでもかと放たれていたのですが、どういう風に依頼が来たのでしょう?——-

MARIE
私達には、シークレットの見どころとして「東京ゲゲゲイの振付でソロを踊りたい」と、大輔さん本人がお声をかけて下さったんです。

——-大輔さんがゲゲゲイさんを御存知だったんですね!依頼が来た時はどう思われましたか?——-

MARIE
近いようで触れたことのない世界だったので、目に留めて頂けたのが嬉しかったのと、本人がやりたい意思があるかないかで全然違うと思うので、素直に本当に喜びましたね。本人が言ってくれてるなら「えー!ならばやりたい!」みたいな感じでした。

——-振付はどのように作られましたか?——-

MARIE
板張りの舞台の上で、歌舞伎の音楽で、ゲゲゲイの振りを大輔さんがたったひとりで踊るというのは決まっていました。音楽は歌舞伎の曲を3曲繋げたものです。
遊女を演じるシーンだったのですが、踊りの勢いが消えるのは嫌だったので、前半は首の角度、腕の動きのなめらかさに女性らしさを残しつつ、後半は激しいゲゲゲイ振りを当てはめていきました。
最後の決めポーズだけ悩んでいましたが、尾上菊之丞(振付・監修)さんに歌舞伎の締めのポーズを入れて頂き、ビシッと決められました。
日舞、太鼓の音で作るのは初めてだったので、新鮮で、何より日本舞踊のオーケストラってかっこいい!とずっと聴き入ってました。

——-大輔さんは現役時代にヒップホップの演目で滑るシーズンがあり、その時にスタジオで「Hip-Hop(ヒップホップダンスのジャンルのひとつ)」のレッスンを受けられていました。練習はどうでしたか?——-

MARIE
今回の私達のようなスタイル(※東京ゲゲゲイは、ヒップホップダンスの多種多様な技術、手と顔を激しく動かす独自の振付、唯一無二の「キテレツメンタルワールド」な芝居で魅せるフリースタイルのダンス)はまったく初めてということで、初日は基礎から入らなきゃいけないと考えていたんですけど、ものっすごく感覚が素晴らしい方で、習得の早さが異常でした(笑)。基礎の練習に充てようとしていた初日で、3曲構成の1曲半ぐらいは振りが入ったので。角度とかが難しいもの、ややこしい動きも多いので、どうかなと思ってたんですけど、何の心配も要らなかったです。(東京ゲゲゲイならではの)手の動きも、本人が「持って帰りたい」と言ったところが翌日には完璧になっていたり。熱意を踊りで見せてくれて感動しましたね。

——-ヒップホップダンスは技術が多くて難しいと思っているのですが、すぐ身についたのですね。——-

MARIE
そうですね。きっと、新しいものを取り入れる、吸収力が高いんだろうなと思いました。

髙橋大輔氏より東京ゲゲゲイへのメッセージ

髙橋大輔
東京ゲゲゲイさんのファンだったので、御一緒させて頂くことが出来てすごく嬉しかったです。最初に振付して頂いた時は、これで出来るのか?!?!と思うくらい難しく、練習時間が少ない中で本番に間に合って披露出来たことは身になりましたし、一つ財産が増えたかなと思います。本当に一生懸命教えて下さり、感謝しています!

もっともっとストリートダンスも何でもアリで、ジャンルレスで出来たら

——-違うカルチャーの中で得られた気付きやインスピレーションはありますか?——-

MARIE
『氷艶』は歌舞伎とフィギュアスケートの新しいコラボレーションということで、「何でもアリ」なんだなっていう(笑)。というか「何でも出来る」んだなと。脚を踏ん張る必要がある歌舞伎の振りを、スケートシューズを履いて氷上で踊られていたので(笑)。まさに「見せつけられた」という感じで、もっともっとストリートダンスも何でもアリで、ジャンルレスで出来たらいいなと。
あとは、歌舞伎の方に「振付する際に、歌舞伎の動画を何か参考にしたんですか?」と聞かれました。私達はいつも通り、音を聴きながら想像して作っただけだったんですけど、「歌舞伎に似た動きが既存の部分とリンクしていたので」と言われました。例えば、頭を回したりブンブン振る動きを入れた部分が、歌舞伎でも獅子舞が牡丹を食べるシーンだったりとか。
MIKEY(東京ゲゲゲイ)さん自体がお囃子を小さい時にされていた方なので、そのスピリットを知らず知らずに私達も受け継いでいたんだなと気付きました。
ダンサーはイマジネーションが高い方が多いと思うので、潜在的な感覚の部分で別のものとも繋げられる力があると思います。もっともっといろんなものとコラボレーション出来るんじゃないかと感じました。

——-今度はフィギュアスケートの振付をお願いします!——-

MARIE
そうですね!私は今回初めてフィギュアスケートをしっかりと観たので、あんなに滑っている中で腕を使うのはきっと難しいと思いつつ…何かスパイスを入れられたらいいかなって思います。

——-氷上でヒップホップダンスの技術を入れようとしても、滑っているだけで重心を取られているので… “流れながら留める”のが難しいんです。——-

MARIE
そうですよね!

——-“留めたまま流れる”のはフィギュアスケートならではの踊りだと思います!ゲゲゲイさんの『ゲゲゲイの鬼太郎』の、クラブステップでサークルを描くのも、フィギュアスケートではクラブステップを使わずに出来ます。——-

MARIE
なるほど。

——-是非是非ゲゲゲイさんのフィギュアスケートプログラムを見たい一心です(笑)。——-

MARIE
また今後も何かで出来たらいいなと思います(笑)。

——-東京ゲゲゲイさんとしてのこれからの予定をお聞かせ下さい。——-

MARIE

今夏より私達の単独公演『東京ゲゲゲイ歌劇団』の地方公演が始まります。さらっと言いましたが、公表するのはこれが初めてです(笑)。後日詳細を公開しますので、楽しみにしていて下さい!
秋冬には、舞台『リチャード・オブライエン’s「ロッキー・ホラー・ショー」』(MIKEY振付・PARCO STAGE主催)に出演させて頂きます。そちらも楽しみにして頂けたら。

——-お待ちしております!——-


取材・文:島津愛子(フィギュアスケート記者チーム Pigeon Post ピジョンポスト)

■『氷艶 HYOEN 2017 ‐破沙羅‐』
HP:http://hyoen.jp/
会期:2017年5月20日(土)~5月22日(月)
会場:国立代々木競技場第一体育館(東京都渋谷区神南2-1-1)
時間:5月20日(土)12:00〜/17:00〜、21日(日)12:00〜/17:00〜、22日(月)13:30〜/18:30〜
出演:市川染五郎、髙橋大輔、荒川静香、市川笑也、澤村宗之助、大谷廣太郎、中村亀鶴、
鈴木明子、織田信成、浅田舞、村上佳菜子、大島淳、鈴木誠一、蝦名秀太、佐々木彰生 ほか

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