世界一を勝ち取ったFabulous SistersのRuuが過酷な練習内容を語る

ロサンゼルスで行われたダンス世界大会で、二連覇という快挙を成し遂げた女性ダンスチームFabulous Sisters。 同チームのメンバーであるRuuにインタビューを行った。 どのようにしてあの精鋭チームが作りあがるのか?Fabulous Sistersの全貌に迫る。

世界50都市以上で開催され、本戦はロサンゼルスで開催される大型ダンスコンペティション「WORLD OF DANCE」の決勝大会である「WORLD OF DANCE WORLD FINALS 2017」にて見事優勝を勝ち取り、二連覇という快挙を成し遂げた女性ダンスチームFabulous Sisters。
華と個性を兼ね備えたメンバーがショーケースとなると見事にシンクロし、見るものに感動と衝撃を与える。
そんなチームを率いるのは福島出身の女性ダンサーRuu。今回Dewsでは、同チームのメンバー育成から振り付け、構成、演出を手がけ世界一へと導いた彼女へインタビューを敢行。
彼女の大会に対する想いとは?そして凄まじいスキルを持った若手育成の秘訣とは?毎回誰かしらが涙を流していたという過酷な練習も暴露する内容となったインタビューは必見。

堂々の二連覇達成。その想いを語る


STAFF
まずは大型ダンスコンペティションの世界大会とも言える「WOD」を見事二連覇、おめでとうございます。
率直な感想をお願いします。

Ruu
ありがとうございます。
嬉しいっていうより、とにかく良かったという感じですね。

STAFF
安心感という感じですかね。

Ruu
はい。やっぱりアメリカ、ロサンゼルスに行くのって渡航費だけでもすごいお金かけてもらって行ってますからね。
夏休みだから料金も高いですし、練習もたくさんしてますし、そもそも優勝するくらいの確信が無かったら連れていけないんです。中途半端な気持ちでは絶対ダメですし、本当に自信があってこれならいけるっていうくらいまで作らないといけない。
「いけるかなー?」みたいな、そういう軽い気持ち、無責任な気持ちでは絶対いけないから、もう寝ないで作ってみたいなことをしてました。意外とマジメです(笑)。

STAFF
踊りのクオリティを観たら生半可ではないことは伝わってます。
確かにあの人数、総額でものすごい額になりそうですね。
キッズの子達もいましたが、ご両親もついてきてるんですか?

Ruu
小学生メンバーの親には、ついてきて欲しいという希望は言っていて、どうしても無理な子は私達で面倒をみています。
けどみんな結構行きたいっていってくれました。

だからそれに対するというか、自然とプレッシャーを感じますよね。
「DANCE ALIVE HERO’S 2017」の時もメインステージで踊らせてもらい、それをベースに色んなものを付け足して時間をかけて作りました。

一回大きなステージでやって、客観的にどう思われるか知ってからまた改善するというように、作ってぶっつけ本番で出しますなんて無責任なことは出来なかったです。
やっぱりいい作品を作るっていうのと、踊っている人たちもかなり踊りこんでくれていたので、自信はあったけど、とにかく安心したって感じです。

STAFF
そこまで作り上げて色んなプレッシャーを感じていたからこそ、嬉しい!より先に安堵の感情が先走ったのですね。
とにかく負けたくないという気持ちが強いんですね。

Ruu
やっぱり、「WOD」は大きな大会で日本のみなさんも注目してるじゃないですか。
そこで負ける悔しさを味わうなら、その前に苦しんだほうがいいっていう考え方です。

STAFF
そんなプレッシャーを感じてまで出場しようと思ったきっかけは?

Ruu
実は、今年「ShowStopper」というアメリカのダンスコンテストにも出る予定があって、「WOD」の決勝と「ShowStopper」の決勝の時期が近かったんですね。
「WOD」は元々、去年の優勝チームということで、ゲストショーケースとして決まっていたんですけど、ショーケースをみせる上で、かましたいし、気合を入れることには変わりないので、それだったら結果はあったほうがいいと思い、みんなに話したらみんなも同意してくれて出場を決めました。

世界大会二連覇を目論む女性ダンスチームFabulous Sisters。LA大会「ShowStopper」でも見事優勝!

STAFF
そんな経緯があったんですね。
その「ShowStopper」も優勝されていました。もしかすると今のところ海外で負けなしですか?

Ruu
はい。

STAFF
それは凄いことですね。
メンバー構成はViVid(Ruuが指導する福島のダンススタジオ)の子達がメインですか?

Ruu
今回34人いたのですが、ViVidの生徒と東京で教えているスタジオの生徒半々です。

STAFF
有名なチームでいうと?

Ruu
プリンセス、Primadonna、CLEVIOPATRA、Japaradのメンバーから2人が入ってて、あとはVIVA DIVAっていう小さい子達のチームですね。

STAFF
日本のダンスコンテストで功績を残しているチームばかりですね。
その他は普通に生徒で上手い子達ですか?そもそもどのようにメンバーを選定されるんですか?

Ruu
とにかくレッスンの頑張り。レッスンでめっちゃもう負けたくないって発信してくる子ですね。
うちのレッスンがすごいんですよ(笑)。レッスンがある種のコンテストみたいになってます。
だからそこで安定してピックアップされたりとか、絶対集中力切らないとか、泣きながらやる子とか、そういう子を見ていると、「この子入れたい!」って思うんです。それで「次のネタから入る?」って。

STAFF
え?突然声をかけるんですか?

Ruu
そう、いきなり。
それで作品を作らなきゃっていう期間になってきたら、構成とかも全部作るので、海外の「WOD」に行ける人で作ることになるんです。中には海外にいけなく断念した子もいて、新メンバーで計算しなおして作るみたいな感じでした。

STAFF
すごいですね。今回、初めて声をかけられたメンバーもいるってことですよね?

Ruu
はい、いきなり決勝みたいな子もいました。
けど普段から心が鍛えられてるから、いきなり出しても全然大丈夫です。
「一人でやって」って言ったら人前でもその場で出来る子だから、失敗とかはないなっていうのはあります。

STAFF
当然意識の低い子はいないですもんね。

Ruu
いないです。でも、今回34人いたんですけど、その中ではモチベーションの差はあります。

STAFF
高いレベルの中でですね。

Ruu
やっぱり時期によって2、3人は少し落ちてる子、気持ちが弱い子とかいて、もうクッソ怒られまくってます(笑)。

STAFF
Ruuさんが怒るんですか(笑)?

Ruu
注意してくれる子もいるし、私も言うし、あとはもう一人ボスがいるので・・・(笑)。

STAFF
あ、ママ・・・(笑)。

一同
(笑)。

STAFF
昨年に引き続き「WOD」で優勝して得られるものはなんですか?

Ruu
やっぱり動画が世界に配信されるっていうことが一番大きいと思います。
いろんな人が見ててコメントくれたりとか、オーガナイザーみたいな人がみてることもありますし、それでオファーを頂いた話とかもあったし、日本でも沢山のオファーを頂きました。
あとこれは去年なのですが、AKB48紅白対抗歌合戦でFabulous Sistersで出させてもらいコラボしたりもしました。
その他にもTVだったりのメディアも取材していただいたり、今年4月には、 三浦大知さんやw-inds.さんなどが出演する「musicるTV×BREAK OUT presents LOVE BOX 2017」にネクストジェネレーションのアーティストとして出させていただいたりもしました。

STAFF
さすがに世界大会優勝となるとメジャーシーンの食いつきもよさそうですよね。
Ruuさんといえば、元々はDEVILからはじまり、MODE MODEなど少人数のチームでコンテストに挑戦していましたが、大人数のコンペティションに生徒たちを引き連れて出場しようと思ったきっかけはどこにあるんですか?

Ruu
私が18歳のときに、「MASTER PIECE(現DANCE@PIECE)」があってそこでコレオグラフコンテストがあったんですよね。
それまでにナンバーとかは作ってたけど、そのコレオグラフコンテストみたいなのが初めてでした。
そこで優勝したのがきっかけで、「Unity」や「LEGEND TOKYO」などにも出場しました。
中学生くらいから、自分の振り付けとか、チームの振り付けとかを作っていて、曲編もそうだし、元々作品を作るのが大好きなんです。

STAFF
なるほど。
海外のコンテストに出だしたのは最近ですよね?

Ruu
去年からですね。本当は「WOD」と「BODY ROCK」とかずっと出たかったんですが、自分の作品力とか生徒のスキルとかもそうだし、やっぱりそれなりにいろんなものがかかってくるし。
あとはいつも行きたいと思って調べても違うコンテストと被るんですよ。だから時期も合わなくて。ずっと見てたんです。
ずっと見てたけど3年くらいそれが叶わなくて、やっと「WOD」日本予選があって出れました。

STAFF
それで日本代表になって、念願の海外デビューだったわけですね。
海外に行って良かったなって思うことは?

Ruu
いっぱいあるけど、やっぱりすごい頑張って練習して、それで踊った時後の歓声とか、あの舞台に立って踊ってるっていうのだけでもう相当な経験だと思うんですよ。私も含めてメンバーも。
今回の「ShowStopper」も踊り終わったときの歓声が日本で感じないくらい「ワーッ!」って。
そのあとに舞台降りて控室に戻るときに見つけて、「あっ!おめでとう!」みたいなので拍手を送ってくれるんです。
それもほとんど全員の人たちが。
結果ももちろんだけど、「おめでとう」って言われることが嬉しくて、来てよかったね、頑張ってよかったねってやりがいを感じます。

世界最高峰のクオリティを作る、超過酷な練習とは

STAFF
それは気持ちいいですね。
確かに海外の動画とかをみてると凄いリアクションですもんね。
けどそれは作品あってこそだと思います。あそこまでのクオリティに仕上げるまではどんな練習をしてるんですか?

Ruu
うちらの練習は本当に地味です。すごい面白い子が沢山いるので、爆笑することもあるんですが、練習自体は本当につらいと思います。
それに作品自体、1回踊ったら死ぬくらいの作品なので、かなり過酷な練習をしています。

STAFF
頻度はどのくらいですか?

Ruu
他のチームと比べたことないですが、練習期間とかも他のチームに比べたら短いと思うんですよ。
毎週土日を一ヶ月前からやる感じですかね。

STAFF
週二回、確かに頻度で言うとそこまで多くない気もします。
一日の練習時間は?

Ruu
土日だったら一日6時間とかですかね。
なのでラストに詰めるみたいな感じです。個人的にはそうしないとあんまり意味ないとも思っていて。
振りの完成は早いですが、踊り込みになると本当に辛いですね。それに出来てない子がいたら集中攻撃が始まるんですよ。

STAFF
集中攻撃!聞いただけで恐ろしいです。

Ruu
映像を見て、「この子のこれ違くない?」みたいにみつけたりして、出来なかったらみんなの前で出来るまで何回でもやってもらいます。
もう一回!もう一回!みたいな。出来てる子を踊らせて、これ見てもう一回!って何回もやらせます。
立ち位置とかもすごい細かくやるので、作品の中の自分のバミリは全部覚えなきゃいけない。だから番号を聞くと「5番です!」みたいに即答できます。

STAFF
スパルタな部活のようですね。
やっぱり小さな子もいますし泣いてしまったりはしないですか?

Ruu
毎回1、2人絶対泣く。

STAFF
すごい(笑)!!
でも「辛いからついていけないです。」みたいなのはないんですね。

Ruu
そうですね。
それが習慣っていうか当たり前になってて、みんなが助け合ってます。みんなそういう気持ちで、一個に向かってやるってこういうことだよっていうのを教えています。

STAFF
あのクオリティの謎が解けました。
毎回の練習への気持ちの込め方がすごいんですね。

Ruu
基本的にはそんな厳しくないんですけど、やっぱりコンテストでみんなお金もかけていくし、そこはもう愛だと思って、その子のためにも、みんなのためにも。
コンテストではない普段のレッスンの時は、あんまり怒ったりはしないし楽しくやったりします。

STAFF
育成するために心がけてることってあります?
こういう言い方が正しいかわからないですが、ViVidの子供たちの上手さとかあの感じって、異常ですよね。

Ruu
異常!本当にやばいですよ。

STAFF
プリンセスは言わずともがな、ですがその他にもとにかくスキルとキャラクターがすごいです。

Ruu
なんかプリンセスだったり、活躍している子たちを素直にすごいなって思ってる子はいるけど、そこを思ってるプラス負けたくないっていう気持ちが強いというか、むしろ早く抜かしたいとか、「つくしちゃんに負けたくない」みたいなのがあると思います。

STAFF
そこまでモチベーションを持っていくのが大変ですよね。

Ruu
私、月火水、一応レッスンやってるんですけど、火曜が小学生のクラスなんですよ。だからもう年長から6年生までのクラスがあって、そのクラスがエグいんですよ。
40人くらいいるんですけど、出来ない子がまずいない。みんな上手いんです。

STAFF
40人、1クラス分みんな上手いってことですね。

Ruu
はい。
まだコンテストには出れないかなーって子も10人くらいいるけど、20人くらいはいつでも出せるみたいな。
本当にみんなに見てほしいくらいすごい。スキルもそうですが意識。なんでこんなに頑張るんだろうみたいな。
絶対レッスンで誰か泣くから。

STAFF
レッスンもですか!?

Ruu
そうです。一番うまい子でも泣くし。
「毎週泣いて、ダンス辞めたくならないの?辛くない?」みたいに聞くと「無理!やめない!」みたいな感じです。

STAFF
いわゆる嫌な習い事ではないんでしょうね。

Ruu
むしろ休憩時でも水飲まないでやる子ととか、休憩っていった瞬間、違う鏡の方に行って自分で出来てないところを練習します。いつも自分の出来てないところを探した分だけうまくなるって言ってるので。
プリンセスは今ユニクロに飾られてるし、テレビとかも出たりとか、頑張ったらこうなれるんだよっていう見本がたくさんあるのでモチベーションにもなるんだと思います。

STAFF
確かにあの活躍っぷりは憧れますよね。
逆に育成してて一番大変なことは?いっぱいあると思うのですが。

Ruu
無いですね。

STAFF
それはそれで面白いです(笑)。

Ruu
楽しいです!

STAFF
作品作りも大変じゃないですか?

Ruu
「WOD」までいくとかなり苦労もありますが、発表会とかは本当に楽しいです。
作品ラブ。作るのラブ。もうウキウキしちゃいます。

STAFF
根本作品作りが好きということは素敵ですね。

Ruu
あんまりつらくなるタイプじゃないんです。全部楽しく出来るタイプだから。
でも今回の「WOD」は結構・・・。
去年は一切苦じゃなかったんですよ。でも今年は二連覇しなかったら、去年の優勝も潰れてしまう気もして、余計プレッシャーでした。
だからラストの土日の練習の前の金曜日、寝れなくて、自分でも驚きました。
大体明日やるプランは出来てるんだけど、振りをただ作って教えればいいわけじゃないし、いざそその場に立って人数いないと何がウケるか、何をするか、っていうのが出てこないので緊張して眠れませんでした。

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