【あのダンサーは今vol.1】 後編:数々のアーティスト・アイドルの衣装やロゴデザインを作ったk-enのデザインへのこだわり

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ダンサーは食べていけるのか、というエントリーが一部のプロを目指すダンサーたちに反響を呼んだが、k-en[元錯乱武者/KAMUI]は現在もダンサーとしてだけではなく、「デザイナー」「スタジオ経営」「URSストリートダンス協会」の発案など、ダンスだけにおさまらないマルチな活躍を見せている。
「ダンスで食べていけるのか」、その答えの一つとして、ダンサーならではの感性を形にしてきたk-enが、若いダンサーたちのヒントに、と仕事へのこだわりや仕事術について教えてくれた。インタビューには入りきらなかった幾多のこだわりは、ぜひk-en本人を見かけたときに聞き出してほしい。

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「URSストリートダンス協会」の設立経緯

showgo
それこそDewsは東京のイベント情報が中心なんですが千葉県でもイベントもやられてましたよね?

k-en
はい。イベント運営の母体である協会は、2012年に設立しました。
長女が産まれて1年ほど経った頃で、子供が出来た事の影響もあったかも知れません。

当時、個人的に「地域でダンスイベントを開いたり、ダンサーをまとめてほしい」などの依頼があったりしまして、そこで自分の住んでいる地域の事を真面目に考えはじめました。
本籍も移した所でしたし、色々悩みましたね。

「ダンス」って単純に、「お金になる」とか、「流行ってる」「ミーハー気分」でイベントをやろうとする人達がたくさんいる事も事実です。
それでもシーンが大きくなって、ダンサーが活躍出来る場所が増えればいいんですけど、
「リアルなストリートダンサー達は幸せになれるのかな?」と疑問に思ったんです。
だったら、まず、長年ストリートダンスに携わってる地元のダンサーと何かを始めるのが一番良い事なんじゃないか思いました。
「協会」という名前を付けるのは堅苦しいかもだけど、地域の方々に、一緒に作っていくって理解してもらいたかった。そこはメンバーと一緒に悩みました。

名前は「URSストリートダンス協会」
地元のダンサーやDJなどが「浦安」を「URS」と呼んでたんですね。そこから名付けました。
当初、なんで「Y」が無いの??って市の方々から良く言われましたね(笑)
今は市民の人達に少しずつ知って頂けていますね。

最近は、自身の仕事・子育て等で忙しくなってしまい、手がまわらなくなってるので、後輩ダンサー達が頑張ってくれてます。
そんなダンサー達も売れっ子になっちゃったりと、なかなか進められてない事もありますが、これからも新しい人達ともどんどん関わって一緒にやっていけたらと思っています。
現役ダンサー・ダンサーになりたい人、動きたい・動ける人達が引っ張っていく活気ある団体になれると良いですね。

showgo
なるほど。ちなみにイベントの頻度はどれくらいなんですか?

k-en
「浦安ストリートダンスフェスタ」というイベントを2013年に開始しました。
2015年はUK B-BOY CHAMPION SHIP決勝大会×浦安のダンサー・スタジオ・団体等のコラボで「浦安ダンスサミット」を3日間行いました。そこまでは自分が「統括」役をしていました。
しかし、協会の仕事に没頭するあまり、私生活が疎かになっていたのも事実で、そこからはメンバーに任せています。
自身の性格上、風呂敷を広げるのが好きなんですね。けど、どうしよう~(汗)的な問題も多く(笑)
なので、様々なできる人に任せよう、って引き継いでいます。

showgo
いいですねえ、後輩に引き継いでもやってくれるっていうのは。

k-en
逆に、「また広げやがって」って思われてるかも(笑)いや、思われてる(笑)
でも、何かあれば自分が出て行って責任は俺がとるよ、って気持ちでいます。

showgo
頼もしいです。それにしても若手からベテランまで活躍できる場所を作るって相当大変じゃないですか。

k-en
イベントを開く立場になると、様々な物事を見れないとですし、、大変さを知る事も出来ますね。
若いダンサー・プレイヤーの現役の時間は本当に貴重です。その時期は「100%出してきってほしい!」って思ってます。けど、少しずつでも裏に絡んで、ディレクションだったりプロデュースだったりに関わる事でよりイベントはリアルなものが出来る。各々の経験・勉強にもなる。
だけど、現役で花開きたい人達に「裏方もやれ」って言っても、そのダンサーにとっては幸せじゃないでしょうから、、葛藤はありますね。

だから「僕がやればいいじゃん」って思ってやると、仕事量が増大過ぎて手が回らなくなりましたね(笑)

今はデザインがしたくて仕方ない

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showgo
デザインはいつ頃始めたんですか?

k-en
「いつ?」と言うのは凄く曖昧なんですよね。
もう幼少の頃から描くのは大好きでした(笑)

vo.1で少し話しましたが、10代はデザインの専門学校に通ってて、そのままデザイナーになろうと思ってたんですけどね。20代も、ダンスの傍ら色々と創作活動はしていましたね。
Tシャツのデザインしたり、ロゴ作ったり、メッシュCAPにグラフィティ描いたり、キャンバスに絵を描いたり等々、、自由にやってましたね。
30才の頃、そろそろイラストレータ(デザインソフト)を使わないと創作活動に限界がくると思ったので、独学で覚えました。

「KAMUI」の活動を休止するという頃、これから何をやろうかと自分を見つめなおした時に、「あ、デザイン活動おろそかにしてたな。」と気づきました。
2007年には自分が着る為のTシャツを作ったんですが、周囲が思いのほか欲しがってくれたのをきっかけに、本格的にデザイン活動を始めました。リスタート的な感覚で。

それが今、自身のサイト[ILOILUBOX](イロイルBOX)に繋がっています。
http://iloilubox.com/

Tシャツだけでも現在までに100種類くらい出しました。他にも色々なモノを作ってます。

並行して、当時「海外も全然行ってないな」と思ってて、時間を見つけてはLA、NY等に行ったりもしてました。当時はまだ独身でしたので、ホント自由奔放に(笑)
アーティストのサポートダンサー・振付等の仕事で海外に行かせて頂く事も多く、良い感じで刺激を受ける事も出来ましたね。創作活動にはとても良い環境が整い始めてました。

思い返せば、三重県にいた時から、上京して錯乱武者に入り、KAMUI、振付師・サポートダンサー、デザイン活動。今まで本当に運が良くて、自分の周りの人達が、僕の目の前に「目標」を置いてくれてた感じがします。それをがんばる、またがんばる、みたいな。環境に恵まれてるのを実感します。

…しかしデザインの話は止まらないですよ、興味ある方は、直接聞いて下さいね(笑)

showgo
アーティストや有名アイドルの衣装、ロゴデザイン等も作ったりしていますよね!TVでも見ましたよ!

k-en
本当にありがたい事です。
サイトに問い合わせを頂いたり、少しづつ自分の活動が広まってくれてます。
「どこどこのお笑い芸人さんがファンで着てくれている」とかを耳にしたり、街で自分の作った物を着てくれてる人を偶然見つけた時は、お礼を言おうかと悩んだりします(笑)
これも「ダンスをしてきた事」のおかげです。
今後も、それら全ての活動を集積して自身の「個性・表現」にしていけれたらと思います。

毎朝、「今日の仕事と目標」を立てて効率よく動く

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showgo
仕事をする上で1日の生活サイクルみたいなものはありますか?

k-en
常にやりたい事が溜まってます。
その目標の為にやる事が何倍も必要になる状態。なので1日のサイクルというのは無いに等しいかも。
まだ小さい子供達(姉妹)がいるので、1日の中で強制的に仕事が出来なくなる時間はありますが(笑)

仕事の事だけにまとめると、時期によって忙しかったり、少し落ち着いて動ける時があったり。
ライブツアーの仕事が来ると一気に忙しくなりますね。時間との戦いもあるし、自身の経験も大切になります。
デザインに関しては、作りたい物が常に頭の中にストックされてます。時間が取れる時は逃さずに詰め込んでやります。ウェブサイトで売れていくものの発注作業をしたりもありますね。

毎朝、「今日の仕事と目標」を立てて効率よく動く事を心掛けてますね。
そうする事で、貴重な時間がより多く出来るので。
他にもスタジオの管理もありますね。
休みって感覚は1日もないです(笑)

showgo
レンタルスタジオの管理は夫婦で行われてるんですか?

k-en
はい。うちの奥さんもダンサーで振付師なんですが、パソコンに強いので、ネット経由での管理は基本お任せしてます。掃除とか物が壊れた等々、管理も色々とやる事が多いですね。
夫婦お互い、支え合いながらやってます。人は雇ってません。
使って頂く人たちとは、仲良くなったり、その中で信頼関係も築けますし、お客さんも自分も安心してやりとりしながらやってます。なのでかなり融通も利きます(笑)
地元密着ですね。

showgo
ダンススタジオみたいに固定のレッスンはあるんですか?

k-en
レンタルスタジオの経営なので、自身の固定レッスンは行っていません。
自分も奥さんもたまにWSを行ったりはしてます。

レンタルして頂いてるフリーランスのダンスインストラクターさんが、固定でレッスンは行っていますね。
ジャンルは様々です。ダンスだけじゃなく格闘技の方とかもいらっしゃいます。

話はずれますが、スタジオを作るのは結構大変だと思うんですね。
音の問題とか内装の問題とか。ここは元々、ダンススタジオだったんです。
良い環境が整った状態で、「音の問題・ハードに動いても大丈夫な床」だったりが用意されてました。
下の階は塾なんですが、苦情がきた事は全くないです。
あと、スタジオオーナーが元々友人で、「引き継いでくれないか」と。

自身の活動上、常にスタジオは必要だし、「練習やリハーサルに使えるんじゃないか」と。
けど、ダンススタジオを経営するとなると「デザインやダンスの活動が制限されちゃうんじゃないか」という葛藤があったんですね。そこで「レンタルスタジオだったら可能だな」と思って、やる事を決めたんです。

しかし、最初は結構お金は掛かりますよ(笑)なんでもそうですが、覚悟は必要ですね。

showgo
すごい巡り合わせですね。この運営だけで食べていけたりするんですか?

k-en
なぜか運がいいんですよね(笑)
しかも立地が良くて。スタジオは駅から徒歩0分。20歩位です(笑)

でも、スタジオをはじめて2〜3年間はトントンでした。毎日、大変でしたよ(笑)
若いダンサー達の事を考えて、価格をギリギリまで落として設定しましたし、、そうなると儲からないですよね(笑)

けど自身、外で仕事に出ているし、リハーサルで使いたい時は使えるし、「赤字にならなければいいや」と覚悟しました(笑)
使いたいって人達とのネットワークもあるので、大きな赤字は出ないだろうと思ってましたし。
お金以外のメリットもありますからね。ダンサーはリハーサルで「突然場所がいる!」って事がよくあるんです。

結果、これだけで食べていけるという事はないです。ただ、レンタルスタジオは儲からないけど(景気などによる)変動は少ないかもですね。

堀江 治喜 a.k.a. Harucalloway (ハルキャロウェイ)[Sound Cream Steppers]との出会い

showgo
デザインの仕事の話に戻りますが、堀江さん[Sound Cream Steppers]ともコラボされてますよね。

k-en
去年、堀江さんとお会いさせて頂く機会がありました。
ダンサーとして常に第一線で活躍、それだけに収まらず「表現者」として一流の方です。
日本の HIP HOP 第一号を語れる方ですから、自分からの説明は不要かと思います。

去年若くして亡くなった自分のダンスの師匠EAZYさん[CO-IN LOCKERS]がつないでくれたんです。
堀江さんとEAZYさんは一緒に「ストリートの掟」という本も制作していました。
EAZYさんから、堀江さんの活動の話を聞いているうちに「紹介してくれる」という話になったんです。
しかし、当日、EAZYさんが緊急入院してしまい、堀江さんと二人で会うことになりました。
その時に、堀江さんが一枚の絵をくれたんです。
その絵を見た時に、「ストリートやHIP HOP」に携わる物として、「デザイン」をしている者として、、
「この絵を(世に)出さなきゃダメだ!」!と強い衝撃を受けました。
その後、少し強引だったんですが、堀江さんに「ブランド作りましょう!僕ができる限りお手伝いしたいんで、やりませんか!?」と言ったら快く承諾してくれて。
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showgo
堀江さん、色々と調べれば調べるほど、本当に凄い方ですよね。

k-en
僕が約20年前、はじめてチャレンジしたコンテストのゲストが堀江さんでした。まさに「雲の上の存在」でしたね。
「HIP HOP創世記」から活躍されてる方ですので、ダンスだけではなく様々な形での表現が出来る「アーティスト」だと思います。
僕自身がデザインを発信する事も大切なんですが、そういう方と関わっていく事も嬉しいと思っています。

「シーンで一周二周と経験した人達が、ノスタルジーも踏まえてよりポップな物を身につけたくなるようなものができたら」

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showgo
今回僕が買った靴もデザインされたんですよね?

k-en
はい。結構、コアなダンサーが購入してくれてます。
この商品に関しては、かなり狙いを絞ってます。遊び心、それしか無い(笑)
「シーンで一周二周と経験した人達が、ノスタルジーも踏まえてよりポップな物を身につけたくなるようなものができたら」をコンセプトに、世にあるBRANDさんでこれを作る人はいないだろうと思って制作しました。
試作から作り始め、刺繍にもこだわって様々な所に電話してこういうの作れますか?って問い合わせたり、結果、断られたり(笑)
古い付き合いの会社にも冗談で「いい加減にしてくれ」とか言われたりね~(笑)

showgo
でもそれほどこだわっているということですよね(笑)僕も昔からILOILU BOXのシャツを買ったりしてるんですが写真ではわからない細かなこだわりがありますもんね。

k-en
ありがとうございます。
こだわりはなかなか譲れないですよね。誰でもそうだと思いますが。

デザインにも、一つ一つ思い入れがありますね。
ILOILU BOXも色々と展開はしていきたいけど、自身だけではプロモーションまで手が回らないという状況もあるので、協力者が現れて欲しいと思ってます。

showgo
是非、靴も量産してください。クラブで履いてる人がいたら仲間だと思えますから。

k-en
したいですね。
自分が履いてると欲しい!と言ってくれる人もいるので。今日、自分が着ているシャツも新作サンプルですよ。

showgo
やっぱりオリジナルなんですね。後ろの可愛い絵はなんだろうと思ってました。
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背中の刺繍はThe Notorious B.I.Gと2PACを描きました。
イメージのみで、利き手じゃない方で描いてみました。意外とイイ味がでるんですよね。
僕が描く時のこだわりは沢山ありすぎるので、長くなっちゃうから。
本当は、今まであったデザインのエピソードをたくさん話したいのですが(笑)

こんな自分でも読んで頂いてる読者の方々のダンス人生の参考に少しでもなれましたら幸いです。

関連リンク:
【k-enポートフォリオ】 http://www.elantech.co.jp/k-en_design/index.html#/home

【URSストリートダンス協会】  http://urs-streetdance.com/member.html

レンタルスタジオ【agend】 http://agend.net/

オリジナルTシャツ・スウェット【ILOILU BOX】 http://iloilubox.com/