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世界のトップアーティストが求める才能「KENTO MORI」スペシャルインタビュー!

今やダンスを踊ったことが無い人間でも、KENTO MORIというダンサーの名前 は耳にした事はあるだろう。 あのマイケル・ジャクソンとマドンナがその才能を同時に取り合った世界でただ一人の日本人ダンスアーティストである。 今も尚世界のトップを独走するアメリカのショービジネスにおいて引く手数多の大活躍を続けている彼に、米歌手「Usher(アッシャー)」のワールドツアーの真っ最中、いつもとは違った角度でインタビューする事に成功した。 通常はSNS等では滅多に自身の意見を語る事は無い彼が、Dewsを通して遂にその口を開く。 テレビや他のメディアにおいてフィーチャーされる部分に、時に相対する本来 の自分。その戦いや葛藤、この先目指す物は何なのか? 2008年のMADONNA[ Sticky & Sweet ]ツアーに於いて「はむつんサーブ」として彼と苦楽を共にし、現在も親交の深いTRIQSTARのリーダーだーよしを インタビュアーに据え、彼らならではの観点で多いに語って頂いた。 本邦初公開の豪華な対談をご覧頂こう。

誰も過去にやっていない事をやりたい。

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だーよし(以下、D)
お久しぶりです。現在はどちらにいらっしゃるんですか?

KENTO MORI(以下、K)
今、それこそユウキ君(だーよし)とMADONNAの時に一緒に出演した MADISON SQUARE GARDENがあるNYに居ます。今回はUsherのツアーで来ていますが、世界で最も格式の高いと言えるこの会場にダンサーとしてまた立てると思うとワクワクしています。 世界中の様々な著名アーティストや評論家が観に来る、特に大切な公演 です。様々な世界的アーティストが「ここだけは外せない」という、世界のエンタ ーテイメントの中心とも言える場所です。

D
そうですよね。舞台裏の、世界に名だたるアーティスト達のサイン入りの写真や、何とも言えない歴史深い空気は今でも覚えています。

K
それこそ、会場に着いたら僕たちの2008年の「Sticky & Sweet Tour」の写真も探そうとも思っています。以前の物はかなり残っていたので僕達が出た時の物もきっとある筈です。 やはりNYは僕がこういう生活を始めるにあたった原点の一つなので、特別な想いがありますよね。ずっとリハーサルもNYでしたから。

D
マドンナとツアーを回った2008年から絶えず誰かしらのアーティストの専属ダンサーをやっているそうですね。専属ダンサーというのはある期間そのア ーティストが専属的に契約をしているお抱えのダンサーということですよね?

K
そうですね、そのアーティストの全てのプロジェクトを責任持って担当するという直属のダンサーを意味しています。だからそこにはプロジェクトの際に一時的に参加するダンサーとは一線を画すものだと定義したいです。以前にや っていたChris Brownの時は、関わったダンサーはある程度たくさん居ましたが、専属ダンサーとして契約を交わしていたのは僕を含めた4人のみでした。今年に入 ってクリスとアッシャーの両者から専属ダンサー契約オファーが来て、タイミングも重なりアッシャーを選びました。MadonnaやMichael Jacksonの最新アルバム(Xscape)プロジェクト、CiaraやNe-yo、Chaka Khanなど今まで関わ った他のアーティストの時も、僕は僕の持っている物をアーティスト本人と一つの作品を作り上げるチームとして存在していました。それと同じく、今までアーティストと専属の契約を結んで仕事をして来たダンサーは、もっともっと 脚光を浴びて良い筈です。専属では無いから大した事は無いという事ではな く、仕事の内容としてまるっきり内容と重みの違う事だと皆さんに知って頂きたいです。

D
今現在これだけの世界の名だたるアーティストと専属をつとめたダンサーって他に居るんですか?

K
僕の知る限り現役のプレイヤーでは世界中で僕一人だけだと思います。そして僕以前に上に挙げたアーティスト達(マドンナ、クリス ブラウン、アッシャー、チャカカーン)の専属ダンサーになった日本人は他にいません。
ニーヨやシアラにおいても僕は彼らにとっての初の日本人共演ダンサーでした。
たくさんの偉大なアーティストから求めて貰う事が出来て光栄に思っています。
ちなみに僕はMichael Jacksonの専属ダンサーになったことは無いので、それを日本人で唯一務めたユーコ・スミダ・ジャクソンさんは僕の永遠の憧れです。

D
それは日本人として本当に素晴らしい事ですね。誇らしく思います。今お聞きした通り、日本のTVでよく見るMichael Jackson、Madonnaの他にも様々なアーテ ィストの専属と、振り付けや出演をしていますが、印象に残った現場はありま すか?

K
それはやはりMichael Jacksonのオーディションに受かって本人と出会った時です。僕の人生において、一生忘れられない出来事です。恐らくこれは僕を知ってくれ ている方はご存知だと思うので、少し違った経験をお話すると、去年の夏に伊勢神宮で奉納の舞をさせて頂けた事です。これは僕に「日本、そして日本人とは 何か?」を考え、再認識させてくれる素晴らしい経験でした。「踊り」というのは本来、神様へ”平和”を願い捧げる物であり、人類への、そして宇宙に対する物であり、僕が踊る上でモットーとしている「ダンスで世界を繋ぐ」という事の理由に裏付けをくれました。そういう意味で本来の意味での「踊る」という事の全てが伊勢神宮にはありました。

D
なるほど。日本では特に神様への感謝、神様との対話という意味合いでの踊りがたくさんありますからね。

K
世界的に見ても「踊り」という物は本来そういう物ですよね。僕の本来のマインドとも言える物と本当に重なる物があって、本当に言葉だけでは言い表せない素晴らしい経験でした。そして、僕が踊った年は出雲大社と伊勢神宮の史上初の「同時遷宮」というミラクルイヤーでした。そして奉納始まって以来始めての現代ダンスとして僕を選んでくれた懐の深さ、この機会を与えてくれた全ての要素に感謝しています。お金の為だとか、商業的な要素は一切無く、ただ「心」だけで全てが行われるという、僕がマイケルに共感した部分と共通する物を感じさせてくれました。

D
本当に羨ましい経験です。僕も動画を見させて貰いましたが、言葉で言い表す事の出来ない空気、佇まいと雰囲気でしたよね。ところで今、お金の話が出てきましたが、実際の所は現在の収入はどうなんですか?予てよりKENTO君がお金の為に踊っている訳では無いと言い続けて来たのは聞いて来ましたが、ダンサーとしての一つの成功の形とも言えるべき存在がどの位の水準で生活しているのか?いやらしい意味で聞く訳では無くて、これだけ結果を出して来た人間への対価がどれ程の物であるのか、これを見ている人は知りたいと思います。

K
自分の口から言うのも少し憚られる話ですが、現役で踊っているプレイヤーとしては恐らく世界で最も対価を頂いているグループに入ると思います。もちろん具体的な金額を伝える事はしませんが、生活をするのに充分であり、将来の事もしっかりと考えていけるだけの対価を頂いています。ただ僕が伝えたいのは、お金を稼げる様になる為に踊りを始めたわけでは決してないという事です。本当に好きなエンターテインメントを見て、自分でもそのクオリティーで人に何かを与えられる様になりたいという一心で今迄やってきました。本当にその気持ちが強くて自分をそこに持って行こうとした結果、気付いたら周りの環境が変わっていました。物凄くありがたい事だと同時に、納得する感覚にもなりました。

D
それはお金の事を考えていないのに、結果的にお金が付いてくるという事にですか?

K
そうですね。そういう事だと思います。

D
マドンナのツアーのオーディションの時はどうでしたか?

K
同じく1ミリもお金の事、キャリアのことなど考えてませんでした。当時は、ほとんど右も左もわからずに受けたオーディションであれよあれよという間に最終まで残る事が出来て、「ここまで来たら最後まで突き抜けたい」という気持ちで挑みました。この仕事をする事によって人生が変わるとか、お金が貰えるという事よりも、ただ目の前にある物に対して自分のベストを出したいという気持ちでした。

D
この件に関して、最後ちょっと意地悪な質問かも知れませんが、その結果、向こうでのご自身の車はロールスロイスとベンツだとか…?ぱっと聞くと凄くバブリーな感じがしますよね。いくらアメリカのショービジネスが大きいものだと言ってもロールスロイスに乗るダンサーなんて居ないんじゃないですか?

K
これは以前、偶然出会ったディーラーの方が実はマイケルに20年以上も特注の車を作っていた方で、運命を感じて購入することを決めました。それと同時に、過去にダンサーで誰も乗っていないと思ったからこそ買いました。車を買おうと思った時にまず僕が思ったのは、自分が今一番乗りたい車を買おうと思いました。アメリカンドリームじゃないですけど、僕がこの車に乗る事によって、未来のダンサーを目指す子供達が夢を見れる様な存在になれるといいなという想いもありました。でも他の業界の方達へ、僕たち世界を舞台に活躍するダンサー達への正当な対価を見いだしてもらいたいという意味が一番大きかったと思います。ただもし誰かが他にロールスロイスを買っていたら僕は違う車を選んだと思います。僕がこの世界を最初に切り拓いて行きたいという明確な意図と、誰もやっていない事をやろうとして敢えて選んだ車です。物凄く想い出深い、大切な車です。

D
なるほど。答えにくい質問だったでしょうがありがとうございます。きっと皆さん納得すると思います。

質の高いエンターテインメントを求めて

KENTO MORI

D
話は変わって、KENTO君はダンスを始めて間もなくと言って良い程すぐに アメリカを拠点にしたと認識してますが、そもそもどうして自分の活動の場を 日本では無くアメリカにしようと思ったのですか?

K
僕はそもそも自分の中で最も心を動かす音楽、目にしているエンターテインメントが、ショービジネスの本場アメリカの物だったか らです。だからそれを生んだ国で勝負したいという極めてシンプルな物です。 歌舞伎をやりたいなら日本で学ぶしかないじゃないですか。外国で外国人の方に歌舞伎を習って、いざ日本に旅行に来てこれが本当の歌舞伎だと言われてもいまいちピンと来ない人が多いと思うんです。 僕はそうでは無いレベルで、純度100%の現場で僕が思う世界一質の高いエンターテインメントに触れて、そこで学びたい、活動する為に本場に渡りたいという、至ってシンプルな考えでアメリカに渡りました。

D
シンプルな答えに自分を持っていくのもやはり力ですね。みんな分かっていてもそれを本当に実行する人はごくごく僅かですからね、素晴らしい事だと思 います。今までどこかで答えた事があるかはわかりませんが、自分の何がそこまでたくさんのアーティストとの心を繋ぐ事になったんだと思いますか?ま た、その辺りの日本とアメリカで求められる物の違いはありますか?

K
何かがあるとしたら恐らく「感覚」や「感性」、「フィーリング」とか、言葉では言い表せない物だと思います。音楽に対してのアプローチや解釈の仕方、 アイデアは、感覚が違うと1時間、1日、1年話しても伝わらないですよね。 僕の、そういう言葉を介さずとも伝わる感覚が超一流である彼らと近いからだと思っています。だからこそ専属ダンサーとして一緒に彼らのショーを作る役割として成立するんだと思います。 なので物凄くわかりやすく言うと、アメリカではone and onlyのKENTO MORIを、日本ではマイケルの踊りを踊るKENTO MORI位の違いがあります。

D
そこまで違いがありますか…そうなると、言い方はちょっと直接的ですが、 一般の方や、仕事をふる人でさえ「本当のKENTO MORI」は見てないのかも知れませんね。

K
一般の方にはまず届いていないと思います。また、僕のプロジェクトに関わったことがない日本のダンサー達にも出会っていなければなかなか届いていないと思います。これは 何度も言っているように、これからの自分の戦いだと思っています。

D
そうですね。となると、向こうの仕事で得る報酬と、日本の仕事で得るそれと、少し重みが違ってきますね。

K
そうなんです。
僕にとって、憧れの場所であった本場アメリカで自分のダンスを通して得られた報酬は、未だに例え1ドルであっても他で得られた報酬より全く重みの違う気持ちになります。
アメリカという国はそう言う意味ではとても厳しい国です。良い物は受け入れられるけどそうではない物は切り捨てられる。そういう物を瞬間的に問われる世界です。だからこそあらゆる意味でのone and onlyである事が凄く大切です。その差を出せないと僕でなければならない理由が無くなってしまいますから。そこから来る矛盾を抱えたくなかったのは凄く大きいです。 具体的に言うと、アメリカの曲でアメリカ発祥のダンスを踊りたい訳ですか ら、この文化に触れたいのに日本に居る訳にはいかないなと。であるからこそ、現場の空気に触れた事がない人がこの文化の物を教える立場に居るのを見た時に、凄く違和感を感じる事があります。人によっては自分の物として進化させて、素晴らしい物を創っている方も居ます。それこそユウキ君(だーよし)のダブステップと和楽器とストリートダンスの融合とか。そうしてしまえる物を持っているならば僕は何も問題は無いと思います。 ですが、やはり現場を見ずして経験せずして語れない事は数多くあります。 先程の歌舞伎の話と一緒ですが、これを食べ物に例えるとアメリカの、日本で板前の修行をしたことのない寿司職人のお店に本格的な寿司を期待して食べに行くようなものですから。 技術が伝わっても、その精神性、ワビサビはなかなか理解出来ないでしょう。

「ダンスアーティスト」として

KENTO MORI

D
それだけの結果を出している訳ですから、僕から見れば独自のスタイルや考え方が無いとそのような結果は出ないと理解しているつもりですが、常にその立場であり続ける為に努力している事はありますか?

K
僕は自分の事を2008年からダンスアーティストと称しています。今ではちらほらいろんなダンサーがその言葉を使っているのを目にしますが、 元々そんな言葉は当時、世の中には無くて、僕が意識的にその言葉を創造し、 使い始めました。 敢えてダンスアーティストという言葉を作ったのは、体を目に見えるインストゥルメント(楽器)として感じた物を言葉で発するかのように世界中の人達が理解できる形で表現する表現者だからです。シンガーは当たり前のようにア ーティストと呼ばれますが、僕たちダンサーもまたアーティストなんです。基本、ダンサーは「アーティスト」という括りではなく、「ダンサー」としてしか呼ばれない事が悔しくて、その事を知らしめる為にわざわざ「アーティス ト」と付けています。自分の為というよりは、それを一般の人達に認知して頂きたいというのが実の所です。スポーツ選手はスポーツをする事によって社会的な人間として成立する様に、ダンサーもダンサーのままメディアに取り上げられたり、色々な所で活躍出来るべきなんです。 特に世界を舞台に活躍するダンサー達は。
僕はMichael JacksonやMADONNAという、誰にでもわかりやすい事例は 取り上げて貰いましたが、日本人として初めて、専属ダンサーとしてChris Brown、Usher、Chaka Khanと共演し、グラミー賞をはじめとする数々のアワード賞の舞台に立ったり、他にもNe-yoやCiara、Michael Jacksonの最新アルバムのプロジェクトをしたりした事は殆ど日本のメディアに取り上げて貰ってないし、多くの人がそれを知る術を持たないんです。そこは正直に言って凄く悔しい事です。 それを知らしめたい事をモチベーションに活動している部分も大きいので、取り立てて努力をしている所と問われればそこかも知れません。 僕の前に同じ事をやった人間が居ない道を歩いているので、そこを切り拓いて今よりももっと一般の方達に認知して貰えるようにしていきたいです。
また、僕の活動もそうですが、世界的なダンスバトルで優勝したりしてもニ ュースで大きく取り上げられる事は多くありません。ダンスをツールとして自分を表現する仲間として本当に言葉にならない気持ちです。そんな中、苦楽を共にした仲間がこういう発言が出来る場所をくれるというのは本当にありがたい事です。

D
とんでもないです。これは人に知って貰わなければいけない活動ですから。 それと同時に、受け取る側が情報をキャッチして自分で判断する能力も必要だと思います。そういう点においては、MADONNAのツアーの時も、周囲の海外ダンサーの本国からの反応と、我々のそれにも大きな開きがありましたね。

K
そうなんです。本当に彼らは世界的なアーティストと共演する事でヒーローになっています。僕が特にそれを感じたのはやはりユウキ君(だーよし)達と行った最初のツアーで、当時は日本のダンス界で「はむつんサーブ」は認知度が高くて、雑誌やテレビの取材がNYに来ていましたが、それでも全然足りないと思ったし、僕に関しては当時は取材は愚かそのメディアから声をかけて貰う事すらありませんで した。ですがその翌年、2009年のツアー内のマイケルの追悼パフォーマンスがきっかけで、周りの全ての反応が急激に変わっていったのを印象的に覚えてい ます。 それを考えると、世界の誰よりも早く僕を見出してくれたマドンナと、世間からの評価のスピードの差が日本の場合は凄く遅い様に感じます。

D
そのスピード感の差も共感出来ますが、日本のメディアはそもそも海外のそれとは少し見ている物、取り上げる場所が違うのかも知れませんね。内容よりも話題性を重視する傾向にあると思います。けど、KENTO君はそのスピード感で結果を出し続けている訳ですから、感じる物は尚更ですね。

K
そうですね。例えばこれがサッカー程注目度の高い物だったら、日本から海外に出た選手が今日の試合でゴールを決めた。ひいてはゴールを決められず不調だった所まで注目されるじゃないですか。そこの認知度、注目度の差に本当に嘆いてしまう事もありますし、単純に羨ましく思います。
反面、その裏には、先人達が作って来た歴史の長さも影響していると思うんです。ストリートダンスはそれに比べるとまだ歴史の浅い物ですから、今まさにネクストレベルに向かうプロセスの真っただ中に居るんだと思います。 ダンサーは皆ここで本当に大変な思いをして文化を育てています。 だからこそこういった事をもっともっと取り上げて欲しいし、知って欲しいで す。 僕が日本で今テレビに出られたりする事によって、その橋渡しの役になれたらと思っています。
ですが現状、本来のKENTO MORIのスタイルをテレビ等のメディアで取り上げて貰う事はあまりありません。大抵はマイケルの曲でマイケルのダンスを踊って欲しいという強い依頼で、本来の自分のスタイルの部分はカットされてしまったりします。口癖のように言われるのは「一般の方に解りやすいから」とか、「視聴率を取れなければ本人の為に良くないから」と言われたりします。 ダンスアーティストがこの世に存在している事を知って貰う為にそこに合わせていくのか、自分自身のスタイルのみで突っ切るのか、本当の自分とメディアに求められる自分の中から何を選択して何を自分の姿としてアウトプットすれば良いのか?本当に暗中模索ですね。

D
なるほど。その「一般の方に解りやすいから」という所には落とし穴がありますよね。最終的な答えをハナから提示する様な事は、時に受け取る側の思考能力を低下させてしまうと思います。例え入りはそれで良くても、もっと裏側の本質まで知って貰える場所が無いと一過性の物になってしまう危険性がありますよね。

K
本当にそれは僕たちのフィールドに限らず、色々な場所で起こっていると思います。そこで戦っていく事は本当に簡単ではありませんね。僕は自分のキャリアにおいて、日本以外のオフィシャルな場でマイケルのダンスを踊ったのはマドンナのツアーのマイケルトリビュートの部分だけなんです。もしテレビ等で僕の事を知ってくれた方が「マイケルのダンスを踊る人」という認識で僕を見ているならば、是非その裏やその先に僕が実際どういうダンサーなのか、どんな事をやろうとしているのかをもっと知って貰いたいです。

D
そうですよね。それだけで全ての仕事をブックして来たと思われては、正直たまったもんじゃないですよね(笑)?そういう意味で言うと僕のKENTO君に対する「マイケルのダンスを踊る人」度は世間のそれよりも8割減ですね。 僕は最初から「KENTO MORI」のダンスをする人として出会いましたから。 向こうではどういう扱いなんですか?日本との差は?

K
そうですね。正直にざっくり言うと、当然そんなに甘い世界ではありません。 僕はマイケルのモノマネ師ではありませんから。メディアへの出方として、日本とアメリカで考えた時に本当にその差が現れます。僕の戦いとして、そこでエゴを通しすぎて日本での露出が無くなったら、正直に言って僕と同じ立場でメディアに出演出来る一個人のダンサーは現状では他に居ないと思います。 それは日本において一個人で活躍するダンサーを世間に知ってもらう事において非常にマイナスというか、遠回りになってしまうので、本当にそのバランスにおいての葛藤と、どうやってその道を切り拓いて行こうかと日々考えています。

D
そうですよね。所謂キャッチーと「されているもの」に自分を乗せなければならない部分はきっとどの種類のアーティストにもあるんだと思います。 アーティストと言えば、KENTO君はSONY MUSICとアーティスト契約をしていますよね?これも僕の知る限り、ダンサーとしてはとても珍しいですよね?

K
SONYMUSICがストリートダンサーと契約するのはこれまでほとんど例がなかったようですが、今の日本のチームは本当に僕が頭に思い描く物を具現化しようと、 可能な限り動いて頂いてます。これは本当に恵まれた環境であると思います。 その中で僕が僕のスタイルを世に提示していける一つの手段として、当初から称して来た「ダンスアーティスト」としての一歩になる物を来年の早い段階で 皆さんにお届け出来ると思います。楽しみにしていて下さい。

D
なるほど。これこそが「KENTO MORI」だという物を是非皆さんに知ってもらいたいですね。自分も微力ながら何かお手伝い出来ればと思います。楽しみにしてます。さて、いよいよインタビューも終わりに近づいてきましたが、他に何か伝えたい事はありますか?

K
僕は自分の好きな事を好きな場所でやる為にアメリカに行きました。本当にシンプルな事です。ですが日本人として、日本のダンス界に何かをフィードバ ック出来ればと思っています。世界でトップレベルの物を判断する力を付けないと日本の物は今後どんどん遅れていってしまうかもしれません。僕はそれを伝える事が出来ると思っています。 それと日本で僕の活動に共感してアメリカに来たYusuke Nakaiは、今僕と同じくUsherの専属ダンサーとして一緒に世界を回っています。日本からこのようなワールドクラスのダンサーがまた生まれてくるという事は本当に素晴らしい事です。身近で僕を見ていた人が僕の表面的な物では無く、本質的に何を思って活動しているのかを理解してくれて、同じ場所まで来てくれたという事 が、僕の活動を一つ形にしてくれたと思って非常に嬉しく思います。

D
一番自分の伝えたい事をキャッチしたのが一番身近な人間だったという事ですね?それはこの上なく素晴らしい事だと思います。

K
はい。ダンスのスタイルや服装等では無く、僕が何よりもマイケルから貰った物である「スピリット(精神)」を僕からまた他の人にパスする事が出来て、彼がそれをキャッチしてくれた結果だと思います。

D
なるほど。それもまた、言葉だけでは伝わらない事ですからね。 ではそろそろ終わりに近づいて来たのですが、これを見ている方達に何かメッセージをお願いします。

K
本物を見極める力。 自分が良いと思った事に嘘偽り無く全てを捧げて来て今の僕があるように、自分にとって一番心を揺さぶる物が何なのかを掴む力を付けて欲しいと思いま す。本物を見極めてそこに突っ走る勇気があれば結果は後から付いてくる筈です。 良かったら今後の僕の活動にも注目していて下さい。今年は僕が活動を初めて 10周年という区切りの年、そして来年は次の10年へ向けてのスタートの年な ので、今まで以上に過去に達成されていない色々な事に挑戦して行きたいと思 っています。

D
今日はありがとうございました。またツアーを終えて日本に帰って来たら是非会いましょう。


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KENTO MORI(写真左)
(ケント モリ、1985年3月3日生)愛知県出身。世界的ダンサー・アーティスト・振付師。2006年に単身渡米、アメリカを拠点に活動。これまでにマドンナ、アッシャー、クリス・ブラウン、チャカ・カーンといった世界のトップアーティストの専属ダンサーを務め、グラミー賞はじめ数々のアワード賞でのパフォーマンス、マイケル ジャクソン最新プロジェクト、他にもニーヨやシアラ等と共演を果たし、これまで世界約50カ国を回る。現在は、アッシャー ワールドツアー “UR Experience2014,2015” に出演中。日本公演の予定は現在無し。
OFFICIAL HP : http://kentomori-dance.com/

だーよし(写真右)
(よしだ ゆうき、1981年2月15日生)宮城県出身。はむつんサーブのメンバーとして2010年迄世界各国で自身のショーケースを展開。また、日本では多数のメディアへの出演で人気を博し、国内外問わず多くのダンサーに影響を与える。2008年にマドンナのワールドツアーを周り、現在では様々なアーティストの振り付けや自身のダンスチーム「TRIQSTAR」のショーケース等で活動中。
プロフィール : http://www.dancealive.tv/dictionary/dayoshi-triq