Legend TOKYO chapter.5 優勝のSeishiroスペシャルインタビュー

去る9月23日、大盛況の内に幕を閉じた、振り付け師にフォーカスを当てた超大型ダンス振付コンテスト「Legend TOKYO」。chapter.5(第五回目)となるチャンピオンはJAZZ、VOGUEを中心としたオリジナルスタイルで一躍時の人となったSeishiro。そんな彼へのインタビューを試みた。如何にしてこの道のりを越え、優勝の栄冠に輝いたのか?大注目のインタビューをお届けする。

去る9月23日、大盛況の内に幕を閉じた、振り付け師にフォーカスを当てた超大型ダンス振付コンテスト「Legend TOKYO」。chapter.5(第五回目)となるチャンピオンはJAZZ、VOGUEを中心としたオリジナルスタイルで一躍時の人となったSeishiro。そんな彼へのインタビューを試みた。如何にしてこの道のりを越え、優勝の栄冠に輝いたのか?大注目のインタビューをお届けする。

今回の道のりを振り返ってみて

2014年の東日本予選から始まって、そこで優勝を満場一致の状態で勝ち取り、その時大々的に取り上げて頂きました。私たちもこの勢いにのりチャプター4も優勝を狙っていたんですけれども、Legendって特殊なコンテストなのでダンサーだけでなく一般の人の心も掴むような作品が評価されるので、その点で2014年の自分の作品は重いテーマだったのと、コンテンポラリー要素が強い作品だったので、本戦では大トリだったんですけど賞1つすらかすりもせず、とてもとても悔しい思いをしました。負けた後はコンテストに挑戦するという意欲もなくなってしまって、去年の東日本予選優勝でいただいたシード権があったためオファーはいただいてたんですけど、ずっと断っていました。最後に大会側から電話をいただいて、じゃあ出るか!って、出すからには必ず勝たなきゃって思いました。出場を決めたきっかけには「思い」があって、コレオグラファーからしたら信じてついてきてくれて、たくさんの労力を使ってくれた生徒に対して結果が出せずに申し訳ないって気持ちがずっとあって、逆に生徒たちはコレオグラファーに対して申し訳ないって気持ちがあったと思うんですね。その両者の思いを今年で絶対果たしたいって思って、去年負けたのは今回勝つための負けだったって自分で言い聞かせてやりましたね。あと、自分たちは純粋にダンスで勝負をしたかったので、オーディション等もかなり厳しく見ました。選ばれたメンバーは全部で41名、ベストメンバーです。作品を作る上でスキルもだけど、環境も大事だと思っているので舞台に立つ意味をきちんと理解している子達を選びました。また、「お客さんはお金を払って自分達を見に来てる」という重みをしっかりと感じて舞台に立ちなさい。と生徒達にいつも言っているので、中身もストイックな子達を選びました。

小芥子(こけし)というテーマについて

昔から正解のない都市伝説が好きで、「かごめかごめ」っていくつかの都市伝説があるんですけど、その中でもおなかの中にいる赤ちゃんが流産してしまうという都市伝説にフォーカスをあてて、「かごめかごめ」と自分の得意な「エレクトロミュージック」が合うだろうなというのは昔から想い描いてたので確信的なものがありました。まず「かごめかごめ」から話をひろげていって、流産というワードから「小芥子」に繋げました。「小芥子」にも都市伝説がいくつかあり、当時は、子供を自由に産める時代ではなくて、稚児がいては仕事ができなくなる。お金がない。という理由でこの世に産まれて来れなかった子がたくさんいました。その供養も込めて小芥子をつくったという説をもとにして、かごめかごめ、小芥子、この2つをストーリーとしてわたしなりに命を吹き込みました。

この2つの話をどうやって繋げていくかというと、どちらもこの世に産まれてきたかった子達なはずだから、その子達の悲しい思いとか、子供っておなかから出てくるときは希望に満ちあふれてると思うから、ただ抱きしめて欲しかった。ただ遊んで欲しかった。そうゆう子供なりの想いをこの作品にぶつけました。これは、周りの子達も全員小芥子で全員この世には居ない子達の作品です。そして今回は、ストーリーの展開の度に常に真ん中いる子にフォーカスを置いていて、展開的には

1曲目は母親が絶望に満ち、自分の手で稚児を殺める事を決めた母親の狂気と、この世に産まれて来れなかったという子供なりの恐怖と絶望が渦巻くシーン。

2曲目は鬼と化するシーン。その中でお経が入ったり供養も兼ねてます。

3曲目は、邪念は消えたが、子供なりにこういう風にして遊んで欲しかったな。という悲しいシーン。1人の子が縄跳びを辞め途中で赤ちゃんの叫び声で嘆くシーンがあるのですが、それでも周りの小芥子達は笑顔で遊んでます。周りの小芥子は既に悟っているシーン。

4曲目は、周りの小芥子達に気付かされ自分がいくらもがいても、その感情というのは誰にも届かずどうしようもなく諦めにも似た行末を悟るシーン。

最後の「後ろの正面だーれ」で、その子がまた鬼と化するシーンがあるんですけど、自分の理想像があり、そこにはたくさんの希望があったはずだったが、結局鬼となる道を選んだという私にとってはすごく悲しいストーリーで作りました。

seishiro
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この作品をつくるにあたって苦労したことや嬉しかったことなど、印象に残ったことは?

音作りに関しては、色んな方に協力して頂きました。色んな人に協力してもらったから自分の編集技術だけでは出来ないことを可能にできました。あとは、道具作りですね。以前出したときは映像を使ったんですけど、今回は映像が全く使えず、よりこの状況をリアルに伝えたいとなった時に、「かごめかごめ」の中に神社の階段から突き落とされるシーンがあって、それで子供が流産してしまったという説。なので、神社の参道に見立てて、横浜アリーナの奥の真ん中な階段だけにフォーカスを絞って鳥居、灯籠、欄干をつくって、神社の参道に見立てる。ストーリーはそこが常に中心にあるから、そこにフォーカスを当てた作品にしようと思ったので、道具作りに関して、生徒の御両親や色んな人の力が必要でした。鳥居の設置もダンサーでしなければいけないのですが、鳥居が当日のリハにできたので、25分っていう限られた場当たりで速攻で固定用の箱を置いて、そこに蓄光テープを貼って、30秒くらいでセット出来なきゃ行けないので、鳥居に関しては本当に怖かったです。

構成作りとかに関しては、どう伝わるんだろうか。ということをメインに考えていて、そこには芝居というのを視野に入れず踊りだけでみせるストーリー展開に知恵を使ったのかな。と思います。Legendは特に狙い過ぎて、みんな伝えようと伝えようとしお芝居をしたがるんですよ。その気持ちもすごく分かりますし、大事だと思います。
でも、ダンスだけでも、ひしひしと伝わってくる世界観っていうのは、ダンサーの技術であったり、ダンサーの心や目。その人の人生の経験値。また、体から発する波動やシリアスな音の展開であったり、照明の使い方、空間の埋め方だと思いこれらを徹底しました。

今回日本に焦点をあてていて、日本人の良さって几帳面だったり、器用だったり、日本のホラー映画とかも大げさなことしないで、静かに驚かせてくるじゃないですか。だから、ダンサーの表現とかも波動をどう感じさせるか。で、やっぱり波動を感じさせるのって心だと思うから心の中で感じてることをそのまま目と気とオーラで出せば絶対大丈夫。って思っていました。あとは、先ほども言いましたが、照明の埋め方ですね。横浜アリーナという場所で、人数で埋める人達が沢山いたと思うんだけど、標準的な人数でどれほど勝負ができるか。って思ったので、人の配置、道具の配置、照明の埋め方だと思うんです。今回大階段というでかくて長い階段があったので、そこに照明をいっぱいあてちゃうと舞台が広くなり過ぎて、ダンサーが散らばって見えちゃうから、敢えて真ん中だけの階段に絞って、上手く照明で空間をうめれるような照明を考えました。そうすればステージをまた別物に変えれる。
照明の方との相性は良かったなと思いました。感謝しています。

あとは今回は特に生徒達が、大変だったと思うんですけど、今回は鏡がある場所でのリハーサルっていうのを7回くらいしかやらなくて、あとは自主練習に任せて、他は実寸サイズでずーっとリハーサルをしていたので、常に生徒達には、実寸で感じろ。ということを言っていました。私の人生で一番の苦労をぶつけた子達で、私の思いを知ってたから、嫌な顔一つせずついてきてくれたことは、私にとって一番かけがえのないものですね。人と人が踊るから、空気感を大切にしなきゃいけない。鏡ばっかり観ると自分だけの踊りになっちゃうから、集団でかつ大きな舞台でやるときは仲間を信用しておどることを伝えてきました。

seishiro
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今後の展望は

自主公演は来年にやると決めていたので絶対にやりたい。そして、世界にもっともっと自分の作品を知ってもらいたい。っていうのも視野に入れています。世界に知って頂きたい。っていうのは、日本の良さって、日本人が案外一番気づいていないと思っているので、細かいテクニックや、技術だったり、日本の人が日本をもうちょっと愛して欲しいな。というのがあるので、和をテーマにした作品で世界にぶつけるとかではなくて、日本人の繊細さっていうのは、どのジャンルでも評価されているからこそ、大人数の作品が世界にも、もっともっと認められるようになっていってほしいな。と思います。自分自身も海外のコンテストにこの作品で出したいという思いもあります。

私もダンサーなので、ダンサーに評価されるダンサーでありたいっていうこと、これだけは忘れたくないと思っていて、どうしてもマーケットを重視してビジネスに繋げていく、もちろんそれも大切なことだけれども、私はもっと泥臭く生きていきたい。ダンサーにも、一般の人にも、評価されるような人材でいたい。身体が動く限りは、プレイヤーでもいたいし、今後はプレイヤー兼振付家としてビジョンを広げて行きたいと思います。チームはあまり興味が無くて、踊りたい人と踊る。個人的には、ソロで活動をしていきたいと思います。作品を作るときはソロ活動、自分がプレイヤーとして踊るときは好きな人と踊りたいなと思います。

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