IT企業がダンサーをサポートする意味とは?SHADE(ARIYA) × ネットビジョンシステムズ株式会社インタビュー
今年の2月に開催された「UK B-Boy Championships Japan Finals 2017」のB-Boy Crew Battleにて見事優勝を勝ち取りイギリス行きを決めたARIYAのメンバーSHADE。
彼は、個人で、ネットワーク、サーバー、データベースの設計、構築及び運営などのサービスを行うネットビジョンシステムズ株式会社からスポンサードを受けている。
ITとBBOY。一見全く繋がりのないこの2つがスポンサードするまでに至った経緯とは。
そしてIT企業はBBOYに何を求めているのか。今後ダンサーが職業として確立していくために必ずキーになるであろう企業からのサポート。
今回DewsではBBOY SHADE、ネットビジョンシステムズ株式会社の代表取締役社長 中塚敏明氏、そしてスポンサードのきっかけとなったSHADEの群馬ダンスサークル時代の先輩にあたるIT事業部兼広報部の神澤 嘉昭氏を招き、話を伺った。
企業からサポートされる為にダンサーが何をしていくべきか、もしかしたらヒントが隠されているかもしれない。
IT企業がBBOYをスポンサードすることになった経緯とは
STAFF
本日は、ダンサーをIT企業がスポンサードしているということで、関係がはじまったキッカケやそこからサポートしていくまでの流れをお聞きしたいな思います。
まずはじめに、サポートがスタートしたキッカケからお願いします。
中塚
一昨年の11月くらいにスポンサー契約させてもらったんですけども、その話が来たのが、その一、二ヶ月前の9月くらいですかね。
当時、弊社の方で広報部というのを立ち上げたんですね。
弊社の認知度を向上して採用に向けてアピールしていこうとしていたのですが、どうしたら認知度が上がっていくかっていう話の中で出た一つのアイデアだったんです。
世界大会(Freestyle Session World Finals 2015)に出るすごいダンサーがいると。
ITとは、全然関係ないですけどすごい面白いなーって、単純ですよ。
自分の中で直感的に面白い感じがあったんで 正直それが一つのキッカケですかね。
あとは、SHADEさんの人柄っていうのも聞いてですね、ウチの社風とすごい合うなっていう。
社風ていうのはやっぱり和を大切にしながら未経験者がITプロフェッショナルに成長していくっていう“成長”がテーマの会社なので、SHADEさんがすごく前向きに頑張っている方だって聞いたし、非常にうちの社風にもあってるんじゃないかって思いました。
直感的に面白そうというのと、成長って意味でお互い切磋琢磨できるんじゃないかという二つですね。
STAFF
実際にスポンサードするにあたって面接などはしたんですか?
SHADE
面接はなく食事会でしたよね。
中塚
会う前にスポンサーが決まって、その後の食事会で初めてお会いしました。
STAFF
え?会う前にスポンサードが決まったんですか?
中塚
神澤君が一緒に同じサークルでやってきて、人柄も聞いてたので、非常にそういう意味ではある程度のイメージがあって決めたんですけども、会ってみてそのイメージ通りすごく謙虚な方でした。
ごめんなさい。ストリートダンサーというと昔はダンス甲子園みたいなイケイケな感じの人が多いイメージがありまして。
でもイメージとか全然違って、うちの社員と共通するところ多いなっていう。会ってみて、本当に応援したいなって思いましたよね。
STAFF
すばらしいですね。逆にSHADEは話が来た時にどう思いましたか?
SHADE
単純にめちゃくちゃうれしかったですね。
大学の先輩がいる企業からアプローチを受けたので、契約をする際にもこっちからの要望も聞いてくれて、安心して契約の方もさせていただきました。
神澤
一か月かそれくらいで、すぐ実現しちゃいましたね。
STAFF
とんとん過ぎません?一か月って。
一同
(笑)。
神澤
おめでとう!からの内容の話が進むという。
「Freestyle Session Japan 2015 BREAKIN’ solo」で優勝してアメリカ行くってなって、もう時間がないからって、それを部長にご相談して、その企画を社長に出してみてって背中押していただいて、実際に社長にお話し通してみたら、面白いからやってみなよって、ポンポンと契約まで進みました。
STAFF
そもそもの信頼関係と言うかお二人はどういった繋がりだったんですか?
神澤
元々は大学のストリートダンスサークルの一個違いで、各学年の代表もやってましたし、群馬県大学生ダンス連盟 「Make A Chain」の代表も、我々は務めてたってのがあったので、学生時代から連携していて、繋がりは深かったですね。
卒業してからも繋がりはずっとあったので、その報告を受けて何かできることはないかなってところで考えたのが、スポンサー契約でした。
中塚
同じサークル出身の人が社員に数名いまして、みんな頑張っていて、結果出していたんで、そういうのもあってその出身の人だっていうので、ご縁だし感謝しなくちゃいけないなってのはありましたね。
STAFF
ではサークル出身の社員の信頼感がつながったっていう感じですね。
中塚
ダンスサークル出身の社員5名ともコミュニケーション能力高くてですね。
やっぱりチーム意識っていうのも高くて、エンジニアっていうのもチームワークとかコミュニケーション能力とか対お客さんとの仕事なので非常に経験が役に立っていると思います。
神澤
ダンサーって普通のスポーツと比べると和の広がり方が違うので、他県の人ともコミュニケーションをとりますし、海外の人ともコミュニケーションをとるっていう、実際SHADEと海外に行ってそっから出来た繋がりってのも結構あると思うので。
スポンサードされてから
STAFF
たしかにそうですね。実際サポートされて環境的に変わったっていうのは?
SHADE
沢山声をかけてもらえますね。契約おめでとうとか。
自分は元々、クラシックバレーとかやっていてそこの先生がそのことで久しぶりに連絡くれたりとか。
「スポンサー契約したんでしょ?おめでとう」と言ってくれました。
中塚
Facebook投稿したものだけ異常にアクセスが多くてですね、3万ビューとか、シェアでも100件行くような形で。
いいね!も300件超えてましたね。
SNSの記事はいつも「10いいね」いかないくらいのだったんですけども、みるみる100超えてるよって。
神澤
普段の30倍くらいですね。
想定外。みるみる「いいね」が増えていって、逆に焦りましたよね。
SHADE
あれは焦りましたね(笑)。
中塚
一発目でそんな感じだったので、会社の認知度向上みたいなところにすごく貢献していただきましたし、早速やってよかったなって思いました。
神澤
他のSNSでも拡散されたのが強かったです。
DANCE ALIVEさんとかDewsさんとかにもリンクで張っていただいて、Twitterが情報拡散能力が一番高いと思うので狙ったわけではないですけど、そこに食い込めたのかなって思っています。
中塚
最近の就活もSNSで社風をみたりとか変わってきているので、神澤はそういう所を狙っていたんでしょうね。
実際にお客さん所に話題にあがります。ホームページを事前に見てくれている会社とか「ダンサーをサポートしてる会社ですよね」みたいな。
STAFF
関連性がないからこそ、インパクト強いですもんね。
中塚
いろんなIT会社がある中で、ダンスをやっているってだけですごく覚えていただけるので、お声がけいただいたり、そういった嬉しい部分もありましたね。あとF1のスポンサーやりませんかとかなんか言われたり。
一同
(笑)。
STAFF
それはやる方向ですか?
中塚
車は1000万ぐらいあってどうのこうのって、金額がすごいんで今回は見送りました。
STAFF
じゃあその分をSHADEに。
中塚
そうですね(笑)。
一点集中ですね。
ダンサーとエンジニア、意外な共通点。シーンの印象とは
STAFF
契約して一年経ちました?
SHADE
そうですね、一年と少し経ちました。
STAFF
実際契約して、SHADEともコミュニケーションをとって、ダンスに触れ始めて、いろいろ感じたと思いますが、ダンスシーンはどうですか?
中塚
SHADEさんがFacebookに練習風景とかをよくあげていて、すごくまじめでストイック、成長に対する貪欲さを感じました。
業界が違っても根底に通じるものは一緒なのかな。ちょっとチャラかったイメージが本当に変わって、すごく興味を持てるようにもなりましたし。
SHADE
突き詰めるっていうのはありますね。
中塚
そういう所はITと繋がってますよね。
神澤
ダンサーは性格的にまじめな人が多いと思います。まじめに練習しないとうまくならないっていうか。
エンジニアもしばらく機械に触れてないとどんどん新しい技術が出てきて、昔の知識はなくなるし。常に最新の技術に触れていないとだめですね。
中塚
意外とダンサーはエンジニアと共通する部分があるかもしれないです。
STAFF
確かに職人気質な部分とか近いのかもしれないですね。
神澤さんは、ダンスシーンについてどう思いますか?
神澤
「DANCE ALIVE」を例にしても、両国国技館という権威ある大きい会場で十年もやられているし、学校教育にも入ってきて、社会的地位も上がってきていますよね。
けどその反面、以前の社長のようにストリート文化にまだマイナスイメージは残っているなっていうのはどうしてもありますよね。
ダンス本来のアンダーグラウンドな部分もなくなっちゃいけない文化だと思っていて、我々普通の企業がスポンサーとして展開することで、一般の人に現代社会のダンスの姿っていうのを、伝えられるきっかけになればいいかなって思います。
中塚
そうですね、その文化の定義って形がありますから、私もこれから学んで触れてみなきゃなって思ってて。だから今回両国絶対行きたいなって思ってて。
STAFF
是非来てください。バトル以外にも沢山コンテンツがありますので。
スポンサードしてからSHADEの成績はどうでしたか?
中塚
今年は例年以上にすごい結果でしたよね。
SHADE
日本の大会で優勝は結構ありましたね。
海外に行くことが増えたんで経験値としては今まで以上についてきてると思うので、その感覚で日本でバトルができて、まあ悪い時もあるんですけど、いい方向に向いてくれてますね。
日本の大会で勝ってても海外行くと全然予選落ちなんかもあるんで、海外基準の目線でいられれば、日本ではいいところまでは絶対に行けるかなって。
今年も海外に行って、チームとしても個人としても成績を残したいです。
海外では全然名前が売れてないんで、世界一を決める大会でもしっかり結果残して、インパクト残せればいいかなって。
まずは「UK B-Boy Championships」ですね。
STAFF
そうですね。では「UK B-Boy Championships」の意気込みをお願いします。
SHADE
やっぱり自分たちが優勝して行けたのがうれしいっていうのもあるんですけど、メンバーが積み上げてきたものがしっかりあって、そこの繋がりや、サポートがあって、俺らだけど俺らだけのものじゃないんだなっていう感覚になってきまして、続けてて良かったなって感じる部分です。
すごい感謝してます。そのためにもしっかり、大会で優勝して、皆さんに還元できたらなって思います。