日米バックダンサー事情についてやシーンの違いについて語る!ジェシカ・レイボーン × SHOTA スペシャル対談

2013年 世界最大級のダンスバトル「Juste Debout 2016」NY大会での優勝を皮切りに、
全米で大人気のオーディション番組「アメリカン・ダンス・バトル( SO YOU THINK YOU CAN DANCE )」でトップ10入りを果たすなど様々な功績を残すダンサー「ジェシカ JJ レイボーン」。
現在「who’s that girl」や「 Let Me Blow Your Mind」などダンサーおなじみの楽曲を生み出したEveのツアーサポートダンサーに抜擢され各国で活躍をみせている。
今回Dewsでは、彼女の来日のタイミングを狙い、日本で活躍するダンサーとのスペシャル対談記事を敢行。
対談のお相手は、三浦大知のサポートダンサーをはじめイベントオーガナイズなど幅広い活動をみせるダンサーSHOTA!
日本とアメリカ、共にアーティストのサポートダンサーを務めているという共通点もあり、バックダンサーへの道のりについてや日米のシーンの違い、独自性など様々に展開されるトークはダンサー必見の内容!

二人の出会いについて

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ジェシカ
今回写真を持ってこようと思って忘れちゃったんですが、12,3年以上前に某フリーペーパーに出たときにご一緒したことあるんですよね!

SHOTA
うわー、懐かしいな。
代々木にあるBEATBOXというスタジオの発表会で最初に出会ったよね。
当時僕は、KUROMAさんのクラスを受けながら、レッスンを持たせてもらっていました。
まだAFROISM結成前の話ですね。

ジェシカ
私は、BEATBOXに17歳から21歳まで通っていて、発表会にも4回くらいでました。
当時は、FRANKさんと同じAGBというチームだったMaSaKoさんのレッスンやたくさんのレッスンを受けていました。

SHOTA
あの有名な武富士のCMを振り付けしていた方だよね。
その他にも、LAであったりとか、日本のイベントでもあったりはしたけど、こうやって面と向かって話すのは初めてだよね。
アメリカに行ったのはどのタイミング?

ジェシカ
21歳のときにSho-Tymeがアメリカから来てBEATBOXの発表会でナンバーを出すことになったんです。
オーディションに受かって、彼のリハーサルで、初めてダンスを見たときに本当に衝撃的でした。
そこで、海外に行くことを決意しました。

現在の活動内容

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ジェシカ
アメリカのダンス番組「アメリカンダンスバトル(so you think you can dance)」っていうオーディション形式の勝ち残っていく番組でトップ10に残れたのがここ数年の中で一番大きかった出来事です。
この番組、渡米してすぐにオーディションを受けたのですが、10時間待たされた挙句、即落とされてしまったんですね。
それが心残りでまた挑戦したいと思っていたのですが、なかなか勇気が出ず時間がたっていました。
けどそのオーディションが18歳から30歳限定のものだったので、ラストチャンスとして受けたら選ばれました。

「アメリカンダンスバトル(so you think you can dance)」は、毎週様々なジャンルの振付師の方による振り付けを踊りこなさなきゃいけないというもので、毎週生放送で投票があるんです。
トップ10に入ると半年間のツアーに行くことが出来るんですが、番組収録中に怪我をしてしまって7週間のドクターストップで、ドクターから許可がおりた3,4日後には本番という状況の中で、ツアーをまわり始めました。

SHOTA
怪我の原因は?

ジェシカ
右と左の肋骨を両方やってしまったのですが、片方は疲労でヒビ、片方はリフトで持ち上げられた際に折れてしまいました。
朝6時から夜までスタジオに篭りきりで踊っているので、自分の中では感じていなかったですけど、疲労が溜まっていたんでしょうね。
その後はオーディションに受かって、今はEveのツアーをバックダンサーとして回っています。
SHOTAさんも三浦大知さんのツアー中?

SHOTA
そうですね。三浦大知のツアー中で11月くらいまで続きます。
その他では現場をコーディネイトしたりダンサーの手配をしたり、現場をディレクションするようなことをしてます。

ジェシカ
教えはやってないんですか?

SHOTA
固定のレッスンはしていないのですが、たまに学校の先生方やレコード会社の方から頼まれてプライベートレッスンをしたりとか、会社の人たちに向けてのレッスンなどを人づてで頼まれたりしてやっています。
ジェシカはレッスンをやっているの?

ジェシカ
私もスタジオではなく、個人でスタジオを借りてレッスンをしたりします。
好きなときに入って好きなときにやめられてしまうと愛情注いで教える分、悲しくなってしまうので、本気でやるかを見極めて、自分のクルーに入りたかったらちゃんとジョインしてもらってダンスを教えています。

SHOTA
あとはダンスのイベントをやったりとか、ダンスとは関係ないパーティ的なものもやっています。
交流会と題した飲み会なだけですが(笑)。

プロダンサーになろうと思ったきっかけ

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ジェシカ
最初は様子見てみようくらいの感覚で、21歳でアメリカに観光ビザで行って、2週間で「これは住まなきゃ」と思って、日本に戻ってすぐに学生ビザをとって再渡米しました。
けど、エージェントに入ってもビザがなければ、オーディション情報がもらえなかったり、合格してもビザがないので白紙になったりと、なんだかんだ働けるとあまく考えていたのですが、全然だめでしたね。
そこからビザを取るように必死に動いて、学生ビザから一年後にワーキングビザがとれました。
その後は、ワーキングビザを3年× 3回とってから、グリーンカード(永住権)申請をしたのですが、まだ証明が足りないといわれていて、昨年出たアメリカンダンスバトルの結果をもってやっとグリーンカードを得ることができました。

SHOTA
海外で仕事をするとなるとまずビザの問題があるんだね。
いつからプロダンサーという感覚になった?
僕も、仕事は若い頃からやらせてもらったほうだけど「プロです。」って感覚が最初はなかった気がするので、ジェシカはいつからなんだろうなって。

ジェシカ
日本でもモデルとかファッションショーとかバックダンサーとかやらせてもらっていたので一応プロという感覚ではいたけど、ちゃんとそれだけでは食べていけてなかったから、人に聞かれてもプロとは言いづらかったですね。

SHOTA
例えばアメリカだとエージェントというものが存在するけど、それに入ってもプロダンサーというわけではないの?

ジェシカ
ぶっちゃけた話、誰でも所属することは出来ると思うし、例えば300人いる人の中で、ちゃんとしたオーディションに受かって、定期的に仕事が出来ているかっていわれたら本当に一握りですね。
華やかには見えるけどそんな甘くはないですよね。

STAFF
エージェントって日本ではそこまで馴染みがないのですが、どういうものですか?

ジェシカ
アメリカでは、ダンサー専用のエージェントっていうプロダクションのようなものが、大きなもので3,4つくらい存在して、大きいところに入ると、たくさんのオーディション情報や、ビッグアーティストのオーディション情報が入ってきます。

SHOTA
日本でも芸能プロダクションというのはたくさんあるけど、ダンスだけのものってなると存在しないかもしれないですね。
今までそれを試みた人はいたけど中々上手くいかず、難しいって話を聞きました。

ジェシカ
私も日本にそういうのないなーって思ってました。
日本はアメリカほどダンサーが守られていないイメージですね。
金額もそうですし、そういう団体もないですし。

エージェントでは、ダンサー用のリストがあって、現場に行って雨が降っていたら、滑りやすいということでプラス、火を使う演出だったら危ないのでプラスだったりっていうの状況報告をするとエージェント側が請求してくれるんですよ。
時間もそれごとに料金が決まっているから、時間をこえたら撮影終了するか、又は延長料金が発生します。
このようにしっかり団体が守ってくれて業界がちゃんとしているので安心して仕事が出来ますよね。
日本はアメリカほどダンスが仕事として認められてないですよね。

SHOTA
昔よりかは全然よくなってきましたが、アメリカと比較するとそうかもしれないですね。
それを変えたい、変えていこうっていう人たちが増えているからいい傾向にあると思います。
けどこっちがいくらそれを訴えても雇う側の理解がそこにないと、難しい部分もありますよね。

ジェシカ
あと日本は、オーディションを受けることに料金が発生するところもすごいですよね。
アメリカではないです!

SHOTA
それはぶっちゃけおかしいよね(笑)。

ジェシカ
振りも踊れるしレッスンを受けているみたいなものと言われてしまったら確かにそうなんだけど、やっぱり違うなって。
とにかく日本でダンスをするのってお金がかかるなって印象です。

SHOTA
どの業界でもオーディションを受けるのにお金を払うってパターンは珍しいんじゃないですかね?
バックダンサーオーディションって募集していて、オーディションに参加するだけでお金かかるパターンは不思議だよね。

ジェシカ
確かにそうかも。
日本のオーディションでたまに見かけるチケットのノルマとかもアメリカにはほとんどないんですよね。
昔から発表会でノルマとかはありましたが、日本に帰ってくる度にそれが増えている気もして、日本のダンスシーンはお金がかかるなって印象が強まってきました。
プロのダンサーの話を聞くと、時間もかけてるし、少ない金額の中でやってるしっていう意見も聞くので仕方のないことだと思う反面、一見華やかに見えてみんな大変だなと思いました。
アメリカでもそういうことって、あることはあるんですが、全体的に日本は多いイメージ。

SHOTA
アメリカのシーンもみて、日本のシーンもみているジェシカからすると、それはなんでだと思いますか?

ジェシカ
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お金をみんなが払うだろうってわかってるからなのかな、、、。
過去にアメリカでビヨンセのバックダンサーのオーディションがあったときに、バックダンサーとしてのギャランティは出るけど、当日会場のラスベガスまでの移動費は自己負担というとときがあって。
もちろん経歴にも書けるのでそれでも受けに行く人がいましたが、「それはおかしい」とはっきりと主張する人も多くいました。

アメリカだとレッスンの値段も安いし、コーヒーを飲みに行く感覚でサクッと受けれちゃうんですよね。
それこそレッスン靴とかもなくてそのまま受けれちゃうし。
その分、その辺にガムがくっついてたり、ダイエットだったり趣味だったりで来る人も多く、ゆるいところもありますけどね(笑)。

SHOTA
けど逆に言うと、レッスン代が少ない=インストラクターのギャラも少なくなるだろうし、アメリカはレッスンをする人が少ないよね。

ジェシカ
そうですね。そういう意味ではインストラクターとして食べていく人にとっては、日本は良い文化なのかもしれませんね。

SHOTA
ダンサーのインストラクター業は、日本だから成り立つものかもね。
話は戻るけど、日本の場合どこでプロダンサーになれたのかみたいな問題もあるよね。

ジェシカ
アメリカはオープンコールで、アーティストが一般のダンサーを見つけてコールすることもあるし、本当に人を探してくれていることがあるから、コネクションだけよりチャンスは多いですかね。
その分何もなくて終わることもたくさんありますが、アメリカンドリームは確実に存在しますよね。

SHOTA
アメリカで活躍している有名ダンサーは生活は成り立っているの?

ジェシカ
内容にもよりますけど、基本的には成り立ちますね。
他の仕事をやっている人もたくさんいますが、そこも日本とは違くて、高めのレストランとかで働いたりして、毎回チップをもらえてそれだけでも生活できるんです。
あとは、給料が二週間ごとにもらえるんですよね。
チョロチョロお金が入ってくるから日本みたいにしっかり一ヶ月で計算しなくていいっていうのもゆるいところですよね。

SHOTA
日本でも、もちろん生活出来ている人もいるけど、どうやってそこにいけばいいかわかららないという人は多いかもね。
コネクションがほとんどな部分もあるし。日本はオーディションも少ないし、もっと実力で評価されるべきだよね。
あとは同じダンサーでいろんなアーティストがぐるぐる回っているという印象もある。

ジェシカ
もちろんアメリカでも振付師で、同じダンサーが起用されることはありますけど、オーディションの数は圧倒的に違いますよね。

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