「ヒップホップにリアルもクソもない。」ラッパーANARCHY × ダンサーKEITAが対談

ラッパーANARCHY(アナーキー)とダンサーKEITAによる対談インタビュー。長きに渡りシーンの一線で活躍する彼らにとってのヒップホップとは。

オーディションについて

STAFF
先程オーディションの話しが出ましたが、
通常のオーディションとは違い、このようなチームオーディションという特殊な形式をとった経緯と想いは?

KEITA
ANARCHYと絡むのは、今回で2回目っていうのもあって、ちょっと違ったことをやりたいなというのが素直にありました。
あとはオーディションをしていく中で、ルーティーンはあんまり得意じゃないけど、自分の踊りやらせたらこの子いいんだろうなっていう子もたくさんいるんです。
けどやっぱりオーディションっていう性質上、振付師のルーティーンを踊ることを得意とするダンサーが合格しやすいんですね。
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前からそれにちょっと疑問を描く自分もいて。
ライブ全体を通して、ダンスをフィーチャーしていくんだったら、もっとキャラクターだったりを大切にしていくべきかなとも思っていていて。
とはいっても個人で強烈なキャラクターを持ってる人間っていうのそうは巡り会えないんです。けどチームとしていると強烈なキャラクターになって、絵になるっていう子たちは絶対いるなーと思って。
それで、チーム単位でこういったライブのオーディションってあんまりないだろうから、やってみたいなと思いました。
あとは人数集まることによって、カルチャーとかムーブメントの色がすごく強くなって、ここは自分たちでこういうファッションと、こういうみせ方でみたいなものを色々考えさせるっていうことによって個人でやるのとは全く別の熱量を生み出せるんじゃないかなーと思います。

STAFF
なるほど。チームというところに焦点をおいたオーディションなんですね。
ここ数年では、バトルなどが流行っていることもあり、ソロで活動するダンサーも多く、シーン全体としてチーム力が弱まっている印象があります。
今のKEITAさんが考えるダンスシーンにおいてチームの持つ魅力とは?

KEITA
チームの持つ魅力っていうのは、やっぱり自分単体ではなかなか出せない、もっと大きなフレーバーを出せるというところですね。
個人だとダンスが上手いとか、オシャレとか、そのぐらいなものに留まるところが例えばチーム全体でウエストサイドみたいな色を出したりとか、やっぱり人数感というのはすごく魅力です。

あと切磋琢磨してモノに向かうっていうのは団体ならではの魅力であって、
自分自身もチームを通して色んな事を学んできたけど、そのダンスシーンというのはかけがえのないひとつの形だなぁとは思うんですね。

STAFF
KEITAさんの所属していたBASE HEADSでいうと何年くらいやっていましたか?

KEITA
11年。そのあと、S+AKSになって、6年くらい。

STAFF
S+AKSはチームという認識でいいんですか?プロジェクト?

KEITA
非常にグレーな存在で、元々はただのS+AKSっていう表記で、俺ともう1人SHIGEっていうダンサーと2人でやり始めてからはカウントするともう12年なんだけど、元々はほんとにDREAMS COME TRUEのバックパフォーマーとして入って、それにただ名前が付けられたっていう感じだったのが、人数増えて、一番最大時で5人。
現在は4人なんだけど、それをチームとしてもっとブランディングしたりしていくってことが強くなったから、ダンスチームのように見えるんだけどあくまでもDREAMS COME TRUEさんの後ろで踊ってるダンサーとして使ってる名前です。

STAFF
となるとBASE HEADS以降、自分のクルー、チームというものは今持っていないと。

KEITA
そうですね。
ANARCHYもラップを仲間と始めたでしょ?

ANARCHY
もちろん。

KEITA
ダンスって今、環境が整ってきていて、一人でもダンススクールに行けばダンスできる。
けど誰かと遊びながら何かをしていく、切磋琢磨していく大事さを伝えたくて。

仲間と何かをやって学んだりすることの方が、俺は好きだし、みんなに再確認してもらえたらいいなーと思う。
ANARCHYのリリックの中にも仲間って言葉がめちゃくちゃ出てくるから、自然と理解するとは思うんだけど。

ANARCHY
いってる通りだと思うし、さっきの延長線上じゃないねんけど、ラップを鬼ごっこの続きやと思ってるじゃないですか俺。俺、友達やないやつと鬼ごっこしーひん。
遊びは友達とやりたいという。

STAFF
確かに遊びの延長って考えると尚更仲間とやるということの重要性がみえてきますね。
となるとチームオーディションで勝ち上がった人たちは、今回のプロジェクトだけに納まらず、その後も活動して欲しいなとかそういった想いはありますか?

KEITA
それはすごく強くて。
合格した子たちはもちろんチームとしてやっていくだろうけど、その子たちの更に下の世代のダンサーが憧れて欲しいなと思います。
そこでチームでやることの魅力っていうのにもう一度気付いてほしいなっていうのはすごくありますね。

STAFF
チームってオーディションで集まるチーム、いわゆるプロデュースされるチームと、自分たちで自然発生的に出来るチームがあるじゃないですか。
今回はどちらかというと前者ですが、その子たちが継続して欲しいからこそ自分の中で考えてる仕掛けとかって何かある?

KEITA
これが今の質問の回答に当てはまるかどうか分からないんだけど、チームとして合格して、もちろん他の振り付けもルーティーンとして、ゲストダンサーと一緒に踊るところもあると思うんだけど、やっぱりその子たちだけが輝くピンポイントパート、ANARCHYとその子たちというようなシーンを作りたいというのは考えてます。
それっていうのは、俺らがもちろんディレクションでは入るけど、基本その子たちのクリエイティビティでANARCHYを解釈して、大きなステージで解き放ってみてくれっていうような見せ方をしたいなと。

オーディションを通して、ANARCHYの曲に向かい合って、楽曲への思いも強くなってくるだろうし、その最終形態っていうのをお客さんに見せられたらきっといろいろな人が心を動かされるんじゃないかなーっていうのを思っています。

STAFF
自分たちのパートがあればモチベーションもあがりそうですよね。
ではこの記事を見て、オーディションに興味をもった子たちに対してのアドバイスがあればお願いします。

KEITA
今回は僕の振りを踊るわけでもないから、自分たちでその曲に向かい合う時間がたくさんある。
普段は、海外のヒップホップでやることの方が多いだろうけど、今回は日本語だからかっこいい振り付けはもちろんの事、リリックの内容までに向かい合ってほしい。

それで、自分のダンス人生と照らし合わせて共有する部分とかがたくさん出て、その中で初めてダンスっていうフィルターを通してヒップホップと綿密に向かい合う時間になると思うし、それが色濃くオーディションに見えてくると思うから、ぜひアーティストがなぜこういうリリックを放つのかなというところまで踏み込んで欲しいです。
今どきのファッションももちろん大歓迎だけど、カルチャーとしてのヒップホップを表すために色々Digって、練習ももちろんだけどそういう時間もたくさん取って、理解、解釈してもらえると、多分素敵なパフォーマンスができるんじゃないかなーと思います。

STAFF
確かに、そうですね。
ズバリどんな作品になると思いますか??

ANARCHY
色んなチームとか集まってきて、どんな人たちとどんな事が出来るかっていうのはこれから練っていくと思うけど、こうやって一緒にやるなら、最高のショー、エンターテイメント創るっていうのは絶対ですね。
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俺らが一番楽しいもの、で、その楽しんでるものを見せて、観客を楽しませたい。

KEITA
僕自体は、やっぱりANARCHYのライブなんで、ANARCHYっていうものをどういう風に見せたら一番エンターテイメントとして、面白い形になるかなっていう方向で自分は考えたいなと思っていて、現在はそれにまつわる色んなものを集めてる段階なんです。
あとは、前回ANARCHYとやったとき、ダンサーが初めて見るANARCHYにパンチ食らいまくっちゃってて、ANARCHY本人が来た後、みんなのテンションが一段階あがった瞬間があったんですね。
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その前までにダンスとしてやれることはやっていて、テンションはマックスになってはずなのに、こうやって本人と数時間過ごすだけでさらにテンションがあがって全然違う景色になるんだなっていうのをすごく感じて。
それをもう一段階あげてやろうと思ってます。
オーディションもそうだし、今日この後ダンサーが来るんですけど、「痛みの作文(著:ANARCHY)」を全員に配って、1回読ませて、まずお前らANARCHYとやるっていう事への心構えの準備をしとけよと。

ANARCHY
プレッシャー半端ないっすよ!

一同
(笑)!

KEITA
けど本の中でもハードル上がるの好きだっていってたし、規模感とかじゃなくてやっぱりパッションから前回を大きく超えるような。
リハーサル1回1回がほんとに奇跡の連発だったねって言えるようなものを創っていきたいなと思います。
すべての段取りと準備を出来る限りしていきたいなっていうのが今言える範囲です。

STAFF
ありがとうございます。
では最後に、オーディションを受ける、受けようと思ってる子たちに対して一言。

ANARCHY
人生はね、やっぱりチャレンジしてなんぼじゃないですか。
コケてもいいし、コケたらまた次のチャレンジが待ってると思うし、目の前にあるチャレンジはだれにでも回ってくるわけじゃないねんから。
それにチャレンジ出来たり、俺と一緒にやりたいとか、面白い事したいと思う人たちにみんな参加してほしい。
そこで自分と共に勝負ができたらその人たちともこれから繋がっていけると思うから、興味があったりこれに参加したいなと思ったみなさん、もし受かったら一緒にいいショーしましょう。

KEITA
俺からは特にないな。

一同
(笑)。

STAFF
プロデューサーですよ!(笑)

KEITA
一生のうちで多分ANARCHYと一緒にやれるのってもしかしたら1回限りかも知れない。俺もこれだけダンスやってきてANARCHYとやるのは2回目だから。
だからもう巡ってこないチャンスかもしれないから、逃す手はないんじゃないかなと思います。
ダンサーはみんな目立ちたがりだと思うけど、それ以上にANARCHYが目立ちたがりだから。相当なパンチ力があると思うから、飛び込んできてほしいなと思いますね。

STAFF
どんなメンバー、作品になるのか楽しみです。
今日はありがとうございました。

「DANCE HOLIC」
-ANARCHY BACK DANCER-オーディションの詳細はこちら
https://m.facebook.com/danceholic11/

CCW_0292 ANARCHY

京都・向島団地出身。母子家庭で育ち、荒れた少年時代を経て逆境に打ち勝つ精神を培い、成功への渇望を実現するため、ラッパーとして活動することを決意。2005年のデビュー以降、異例のスピードで台頭し、京都のみならず日本を代表するラッパーの地位を確立。2014年にはメジャー・デビューを果たし、更にスケールアップした存在感でリスナーを魅了している。

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100731_Keita-1-209 KEITA (S+AKS / ex.BASE HEADS)

2000年から2011年まで日本のダンスシーンを変えたと言われるモンスターチームのBASE HEADSのキーマンとして活動。
2011年より参加しているDREAMS COME TRUEのパフォーマーとして結成されたAKS(現在はS+AKS)のメンバーとして活動しつつけ、コンサート、ライブ、TVのみならず、全国へのワークショップや海外でのジャッジ等幅広く活動している。

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