雄として格好良く生きるための1分1秒の選択。ラッパーAK-69 × ダンサーMASAKI スペシャル対談

オーディションで求めるダンサーとは

STAFF
そんな中、武道館のライヴでダンサーオーディションをするということで、すでに募集ははじまっていますが、オーディションで求めるダンサーとはなんですか?

MASAKI
もちろんダンスが上手いのは大前提として、あとはやっぱりさっきAK君が言ったアティテュードをちゃんと持っている人、日本中に俺より上手い人はたくさんいるし、それこそキッズからやって上手い人っていっぱいいるけど、信念を持って何かを伝えようとしている人ってそんなにいないと俺は思っていて。できたらそういう人を見つけたいし、これきっかけでそういう気持ちになる人が出て来たらそれはそれで楽しみだし。
俺がやってきたダンス人生って、週の半分以上は記憶をなくしていつも女の子を探してるってことしかしてなかった時期ももちろんあったんだけど(笑)。
dews_masaki_9
色々経験していく中で自分に子供ができたりとかあって、何か自分に変な使命感を持つようになり、楽しいシーンを今後も残すためにちゃんと確固たるものを築いていかないといけないって感じるのよ。
今のままじゃ、ただ単に自分も歳とってシーンに居場所なくなって終わるなって危機感もあるのよ。
未だにこの歳になっても現役でクラブのショーにも出るし、今までの常識を超越していくっていう意味で自分のためでもあるんだけど、やっぱり確固たるシーンや基盤ができていないから、そこを作るまでは現役を引退することをしたくないんだよね。
ダンスシーンって華やかな部分がメディアに取り扱われるから夢があるように映るけど、実はまだまだ夢がなくて。
若いうちはチヤホヤされていろんなアーティストのバックに立ったりできるけど、ある程度年齢行ったらそこから振付師にまわれたり演出にまわれる人って本当一握りしかいないし。
でも、それはもっとアピールしていくと、きっと変わってくると思う。
あとオーディションに求める一番のポイントは普段はヒップホップとかUSのかっこいい音源でショーやレッスン踊ってるのに、自分の仕事は手を振るだけっていうギャップにモヤモヤしてる皆んなのハートをみたいかな。
今はレールが少ないけど、ヒップホップの現場で勝負出来る様にしてあげたいから未だに一生懸命やってるし、そこに賛同して力を貸してくれる人っていうのはこのオーディションに来てくれると俺は勝手に信じてて。
いつもはやりたくないけどそういうことを仕事としてやっている人も、本当はこれがやりたいんだっていう気持ちをぶつけに来てくれるって俺は思ってて。
その意思確認じゃないけど、そういう人にちゃんと出会いたいし、もっとそういう気持ちを持っているみんなと一緒にシーンを開拓して作っていきたいなっていう思いでいます。
いつまでたってもジジィになってもできるまではこの気持ちで熱くいたいなと思っています。

STAFF
逆に言ったら、有名だから武道館だからバックダンサーやりたいくらいのテンションだったら見抜かれちゃいますかね(笑)。

AK-69
いや、そういうテンションでもいいよ!
俺が偉そうに言うことでもないけど、ただ有名だからってやるってのも一個のアティテュードだって思うから。
そこで勝ち取れるなら勝ち取ろうって俺的には思う。
別に動機なんてどうでもいい。ただその人のそういう部分がちゃんと見えればいいんだから。

STAFF
気持ちが強いってことが大事かもしれませんね。
AK-69さんはどういうところを見ますか?

AK-69
アーティストも歌い手もそうなんですけど、上手い人って沢山いて。
MASAKI君もさっき言ってたんですけど俺よりラップ上手い人なんて巨万といるわけで、歌も歌いますけど歌も上手いやつなんてめちゃくちゃいっぱいいるんですよね。
フロントマンと違ってバックコーラスとかでも引くくらい上手い人っていっぱいいるんで。
だから売れてんのかとか、だから人に伝わってんのかっていうとそれはまた別の問題で、良いか悪いかだと思うんですよね。その良いか悪いかってのは何かって言ったら、やっぱり滲み出るものがすごく大きいと思うんですよ。
ダンスもそれが言えてて、俺も細かいスキルのことに関しては分からないんですけど、見ててすごい綺麗だなとか上手だな。って分かっても何にも思わないダンサーもいれば、なんか荒々しいけどすっげぇ野生的な何かを感じるな。っていう、大きく分けるとその2種類がいると思ってて、後者は何か感じますね。そういう人たちと一緒にやりたいっていうのもあるし。
俺は自分の生き様だったり感情を歌に乗せてラップしてますけど、やっぱりダンサーも自分の生き様だったりをダンスに投影できるタイプとできないタイプがいて、できるタイプの人はやっぱり人に何かを伝える力が強いんじゃないかな。と思いますね。

STAFF
なるほど。
ダンスもラップも夢半ばで諦めた人が大半であって、同世代でも沢山やめている人もいるかと思います。
そんな中お二人が熱くいられ続ける理由はなんですか?

AK-69
例えば、ヒップホップやってるのってオシャレだなとかそれくらいの感じだったりとか、自分の趣味の延長上でヒップホップが音楽的に好きだからとかでやってたらこんなにやってないと思うんですよね。
何でこんなに頑張ってんだろうって、ふと思う時があるんですけど、結局はやっぱり男として生まれてきて、もっと言うと雄として生まれてきて、自分が格好良いか良くないかっていうところですよね。
俺はずっとこれをやってきたし、これが好きで俺は格好良い男になりたいと思ってずっとやってきたんで。
今ここで「まぁいいや」と思ってイモ引くのか、この先の壁を突破するのって難しいから「まぁいいかな」って思うことも一つですけど。
でも、そこを無理かもしれないけどまだ突破しようとすることの方が、俺は男として雄として格好良いと思うし、くたばるまで格好良い男でいたいなって思うので、日々1分1秒の選択をしてます。
逃げたくなったり、やめたくなったり、休憩したくなることももちろん人間だとあるんですけど、でもそれをすることが男として格好良いのかっていうのをいつも自分に問いかけた結果が今です。

STAFF
1分1秒の選択。
自分から見るとすごく華やかにも映るのですが、メンタル的に達成感や休息はないものなんですか?

AK-69
先日、慰安旅行でサイパンに行ったりはしましたけど、といっても、本当に何も考えないことなんて絶対にない。
俺は、ラップが誰よりも上手いとか誰よりも歌上手いとか言えないんですけど、1つ1番自信を持って言えるのは、俺は日本のラッパーとかシンガーの中で自分のプロジェクトについて真剣に考えている時間が誰よりも長いっていうのは自信があるんですよね。夢の中でもこのことをずっと考えてたりとかするんすよ。
だから起きた時から疲れてたりとかもあります(笑)。

STAFF
全然休まってないですね。

AK-69
そう。どこに行っても結局考えちゃうんで。
1回目の武道館が終わった時に2週間くらい休んでくださいって言われて、俺も休みたかったんで「それくらい休ませろ」って言って。本当に1日たりとも休みのない状態が続いてたんで。
で、さぁ休みだってなって3日くらいたったらもう速攻マネージャーに電話して、「おいなんかやることねぇんか!?」って(笑)。

STAFF
休ませろって言ったのに(笑)。

AK-69
だから動いてないと安心しねぇんだなって今は思います。

MASAKI
俺はやっぱりまだまだ悔しさというか、上手くいかないもどかしさっていうのが大きくて。
もちろん誰かのせいではなくて自分が足りないからってことが多いんだけど。
多分俺もかっこつけたいんだと思うんだけど、それよりも絶対自分に負けるかっていう気持ちを昔っからずっと持ってて。
別に諦めるとかいう選択肢はまず今のところはないんだけど、自分の思いを成し遂げるまでは絶対やめられないっていう感じかな… 

二人にとってのゴール

STAFF
これもお二人ともに聞きたいんですけど、最終的にやるっていうのは何なのか?
お二人にとって幸せとは。

MASAKI
俺は本当にかっこいいヒップホップシーンというか、俺のかっこいいと思えるシーンが、今の売れている方たちと本当に並べていけるシーンができること。
そこに関してダンサーも日本の中ではまだまだ市場自体が大きくないから、やっぱりその日暮らしになってしまうことも多くて、正直自分もまだそのレベルだから一生懸命自分を奮い立たせて、家を買ったり車を買ったり色々してるんですけど…苦しくて(笑)。
でも、それが当たり前にダンサーたちができるような世界を俺は作りたい。
それくらいダンサーって魅力的な職業だし、価値のある仕事だと思うから。
俺はそのシーンを・・・まぁシーンを作るのってそれは大それてるから、自分でまずそれができること。そうすれば絶対みんなにもできるはずだから。
そのために、まずは諦めずに今やっていることを貫いて、ジジィになっても動き続けるつもりで死ぬまで頑張ります。
そういうシーンが出来上がったら、それが幸せだと思います。
プレイヤーを退いて、外から見る人だったり、スタジオをやるとか色々選択肢はあるかもしれないけど、まだ俺はそこにはいけない。
そんなことをしたら俺の気が狂っちゃうと思う。
何言ってんだよジジィって言われようが、それは人が言うことじゃないから、自分ができることを全うしていたいです。
幸い、色々やりたいことがいっぱいで本当に感謝の連続なんだけど、まだ先にきっともっと大きい幸せが絶対あると思うから、そこをまだまだ目指したいです。

AK-69
俺はなんだかんだ言ってもステージに立ってみんなに俺のメッセージが伝わった時が一番快感?と言うか、幸せを感じる瞬間なんですよね。
この瞬間のために全てやってんだなって思う瞬間。
本当に自分が良いステージができてお客さんが感動してくれてる時、それの中毒なんですよね。
だからこそ、こんなに頑張れてるってのはすごいあって。その喜びと全てを天秤にかけて、人から見るとストイックだって言われるんですけど、トレーニングしていることもそうだし、20歳超えてからでも今が一番体力あると思うし。
それくらい心肺機能とかも鍛えてこういうコンディションでいるんですけど、例えば食べることってすごい人間にとっての喜びじゃないですか。でもそれを小麦粉食べないとか糖質のことを考えて飯食ってることとかも、何でそんなことできるの?って言われるんですけど、それって何に重きを置いてるかによって全然違って。それはさっき言った俺はステージに立って受ける喜びと食べる喜びとを天秤にかけたら、こっちの方が全然勝つから頑張れるっていう。
トレーニングすることも同じ。
全てはそこのためにやってるんだってすごい思いますね。

STAFF
幸せっていうとライヴで?

AK-69
そうですね。会場は大なり小なりは関係なく、その瞬間に全てがあるような気がします。

STAFF
ずばり今回の武道館はどんなライヴにしたいですか?

AK-69
終わった瞬間に「やったー!」ってなるライヴにしたいですね。

STAFF
いつもそうなるんですか?

AK-69
一瞬だけなりますね。でも毎回本当の意味で完璧なライヴなんて、ないんじゃないかな。
ただ自分の中での合格点にいったライヴっていうのは終わった瞬間はすげぇ嬉しいのね。「やったー!」ってなる。
でもその後反省に入って、あの時やっぱり折り返しの所でこの辺で声の伸びが悪かったなとか、歌詞が飛びそうになって心ここに在らずみたいな瞬間が一瞬あったなとか。
映像振り返ったりとかしたら、もう次々と出てくるんで。終わった瞬間ってそういう振り返りの前なので、そこは最高潮な幸せポイントなんです。
ただ決まったライヴを決まった演出でやればそこに行き着くってわけじゃないんで。俺がこうやって刻んできたドラマを、どれだけ集約できるかっていうことが、そのポイントに到達するかどうかってところなんです。今回も例外なく、俺の今向いているところとか、今でも挑戦し続けるってことの意味だったりとか、そういうことを表現できるライヴになればなっていうのはありますね。

STAFF
ありがとうございます。
ダンサー目線でMASAKIさんから見たら、どんなライヴにしたいですか?

MASAKI
今まで見たことないようなライヴの内容に演出的にもダンス的にもしたいし、圧倒させられるようなステージを作りたいと思う。

AK-69
(オーディションに)参加してくれてもし落ちちゃったら、「はい次ー!」って次の目標に向くのもまた一つですけど、
その落ちてしまった人とかも、どういう動機だろうとこれに参加したいと思ってくれた人は、時間が許すんだったら観に来て欲しいなっていう。俺のこのプロジェクトに参加しようとした意味がどういうことだったのかを絶対に分からす自信がダンス含めあるんで、私が参加しようと思ったことに間違いはなかったんだっていうことは確実に分かってもらえるライヴにしようと思ってます。

STAFF
もちろん受かった人が踊るのを見るわけですからね、自分に何が足りなかったのか分かりそうですよね。

AK-69
自分たちが何を伝えたいやつらなのかっていうのも分かってもらえたら。

MASAKI
ダンスがただ上手い人のオーディションじゃないよってことは、本当に見ないと分かんないと思うから。
ダンサーをいっぱい合格させるオーディションに参加するのがもちろん受かりやすいし、経験としても楽しく終われるかもしれないけど、
何としてでも受かりたいと思えるようなライヴ、そんだけの魅力的なものが繰り広げられるから、動機がどうであれ、受けた人、受けようと思った人、オーディション告知を目にした人は、本当に見てもらいたいですね。

AK-69
女性のダンサーは俺に色目使ったら受かりますよ(笑)。

一同
(笑)。

STAFF
最後の質問なんですけど、子供たちや若い世代に向けて一言お願いします。

AK-69
一つのことを何でもいいから、やりてぇことをとことんやるってことが、一番やってほしいことかな。
dews_ak69_3
これを読んでる人はダンスが好きでとか音楽が好きでって人が多いと思うんですけど、今見つかってるやりたいことをとことんやってほしいなっていう、それが目標のステージに出るとか、こういう人と一緒にダンスやりたいとか、何でもいい。もしそれが叶わなかったとしても、一つのことを頑張り続けることで生まれるものってものすごいいっぱいあると思うし、それが人生の意味なんじゃないかなって思うんで。見つかったものに対して頑張るっていう、とことん突き詰めるっていうことをしてくれたらいいんじゃないかなと思います。

MASAKI
学校とか見てると、今って目立つなとか人と同じことをしなさいとかいう教育方針が多いとおもうんだよね。
学校はしょうがないそういうものだと思っていいから、外に出たらとにかく自分らしさというか、自分のやりたいことを見つけて欲しいなって思う。
多分自分らしさがないと自分の好きな事って見つけれないと思う。
dews_masaki_8
人がこれが好きだから、じゃあ私もこれって日本人はなりがちだからさ。
もっと自分で良いものを判断できるように自分っていうのを見つめて欲しい。そんな自分らしさを伸ばしていけるような生活を子供たちができたらなっていう風に思う。
俺はキッズもいっぱい教えてるから生徒の子供たちにもそういう風に教えてるし。
自分が誰なのか何のために生きているのか考えれる様に成長していってほしいなと思う。
今の子って何のために自分が生きてるのかとか、自分の存在意義、役割みたいなものを感じないで、ただ言われたことをやるみたいな子が多いように俺には見えるから。
AK君の「ONE」じゃないけど、絶対必要としてくれる人が世の中にはいるし、あなたにしかできないことって絶対あるし。
そのあなたにしかできないことをもっともっと伸ばしていってほしいなって思います。

AK-69

孤高のHIP HOPアーティスト。

「険しい道を敢えて選ぶ」という自身の歌詞にもある通り、勝ち上がり辛い環境から、頂点を目指すラッパーである。

オリコン総合DVDチャートにて1位を獲得をはじめ、音楽アワードMTV VMAJ 2015にて「BEST HIP HOP ARTIST」を受賞。
ニューヨークのNo.1 HIP HOPラジオ局と名高い”HOT97”に日本人として初のインタビューを受け、同局主催イベントへのライブ出演も果たす。国内では、2014年に日本武道館を含むアリーナツアーを成功させ、翌2015年にはキャリア最大規模となる全国13都市を回るホールツアーを開催した。プロ野球選手登場曲の使用率2年連続No.1(’14年,’15年)。ボクシング世界王者やサッカー選手、騎手、体操、格闘技などのトップアスリート達から、IT企業や多くの経営者達まで、各方面より絶大な支持を受ける。

2016年1月、さらなる”インディペンデント”を求めて、自身が代表を務める「Flying B Entertainment Inc.」を設立。
2016年4月、伝説的なHIP HOPレーベル「Def Jam Recordings」の日本での再始動後初のアーティストとして電撃契約を果たす。
2016年11月23日、同レーベルより初のフルアルバム『DAWN』をリリース。

“勝ちは勝ちでも、こだわる勝ち方”。そのAK-69の信念を曲げぬまま、
真の伝説は今、夜明けを迎える…。
AK-69 オフィシャルホームページ : www.ak-69.jp

MASAKI

熱くエナジー溢れるダンサー。
HIPHOP文化の素晴らしさに引き込まれ、HIPHOP文化を伝える活動などもしている。
RAPPERとの交流も多く、世界でも珍しい、HIPHOP x DANCERという形を作り上げた。

その行動が目にとまり、
JAPANESE HIPHOPのカリスマZeebraが立ち上げたレーベル「GRAND MASTER」にダンサーアーティストとして所属。

インディーズのHIPHOPアーティストとしては日本初だった、歴史的で伝説のLIVE、AK-69武道館LIVE 「ROAD TO THE INDEPENDENT KING」ではダンス演出、振り付け、ダンサー全てをおこなったり、先に行われたZEEBRA氏の20TH ANNIVERSARY「THE LIVE ANIMAL in 武道館」でも演出をするなど、日本のHIPHOPの歴史と共に歩んで来た唯一無二のダンサー。
ダンスのスタイルは、USのHIPHOPを意識したスタイルをベースに、パワフルで感情を表に出すパッション溢れるスタイル。

Instagram:https://www.instagram.com/danceholictko/

関連記事