EXILE 世界スペクタクルインスタライブ レビュー
(ボールルームは含まれませんが)4分44秒で見えるダンス史(by EXILE世界)を学んだ後は、拡張するToyotakaさんのダンスに夢中になりました。
Toyotakaのジャンル【TOYOING】がもうじき生まれそう
Toyotakaさんは、世界さんのインスタライブで概ね散々な目に遭います。世界さんとその一味(ハナシの分かるファンの方々)やTAISUKEさんに弄ばれ(うれしそう)、4時間の巻でも、EXILEの『Ki・mi・ni・mu・chu』(2015年)の替え歌で「筋・肉・痛」踊りを晒し大惨事でした。
しかしダンスでは主役。本ライブは、世界さんがコメントに応えている間にToyotakaさんが踊るシーンが多いです。
最近ではToyotakaさんの珠玉の【HARLEM SHAKE(ハーレムシェイク 注1)】群のムーブがあまり見られない中、本ライブではたっぷり堪能出来ます。
ハーレムシェイク群に分類される【CHICKEN NOODLE SOUP(チキンヌードルスープ 注2)】という、今となっては何だったのかよく分からない踊りがありました。Toyotakaさんにもそのような“ふしぎなおどり”があり、一体何なのか戸惑いつつ、くせになって「また見たい」と求めてしまいます。
以前の配信では、Toyotakaさん振付のルーティーンをユニゾンで踊る際にそのムーブが入り、世界さんにも「コレ何なの?(笑)」と言われていました。
なお、Beat Buddy Boiの『traveling』(2015年)では手のムーブ(グーをぐるぐる回す)として、皆でやる用の振りになっています。
4時間の巻で、別ジャンルである【B-BOYING(BREAKIN ブレイクダンス ※ストリートダンスのジャンルのひとつ)】の床(floor)=フロアのフットワークを練習していたToyotakaさん(ジャンル:【HIPHOP ※ストリートダンスのジャンルのひとつ 】|慶應大学卒で社会人ダンサーからメジャーデビューへ|スウィーツ&パクチー大好き)。
B-BOYINGのステップから、B-BOYINGの技ではないタット(主に上半身で線画を描き出す)やウェーブ、クレイジーレッグス(超速かつ捻挫しそうな足技)といった持ち前の【POPPING(ポップ ※ストリートダンスのジャンルのひとつ)】混合技に入ったムーブは、ダンスファンの歓喜のツボを押したことでしょう。
前々からToyotakaさんの同様のフロアムーブは見られ、本配信では「(床でも)立ち踊りと同じステージに成っている!」とアップデートに感銘を受けました。
タットやウェーブやスライド(滑っているように見せるステップ)等多種POPPING技術×時空を使う演出で、最近は【TURFING(ターフ ※HIPHOPの流派のひとつ)】のイメージが強いToyotakaさんですが、そのムーブは多くの技を連ねて見せると言うより、色んな技が一つに溶け合って広がっていると感じます。
こちらの動画では、フロアに入る前にスライドを駆使して床も一体化させているようです。タットの宇宙的な膨張にも見えます。
Toyotakaさんが【TOYOING】とも言うべきそのダンスを一心不乱に練習し始めると、世界さんにもスイッチが入った様子。おもむろにコメント席を離れ、2人揃っての練習が始まりました。……深夜2時、突然の放置。
運命のペア、Toyotaka&SEKAI
Toyotaka&SEKAIによる無数のアイソレ([再]アイソレーション:各関節を個別に動かす)を浴び、映像処理に悲鳴をあげるスマホは熱々になりますが、4時間の巻のハイライトはここから。二体一対の動く3Dアートショーのはじまりです。
世界さんとToyotakaさんは体格も合い、中背ながら共に巨大関節の持ち主。大きく映えるアイソレで立体模様を生み出すブラザーズです。
世界さんはバレエの“正しい”関節の開き×四肢の伸びがもたらす動きそのもので魅せ、Toyotakaさんは綺麗な姿形×それを司る頭と術を持ち、2人は強く美しい線を二重に描いていきます。
世界さんはより強靭、Toyotakaさんはより繊細なタッチ。類を同じくし引き立て合う様は、うにいくら丼の味がします。
2人の傑出したアイソレ能力は、リズムの表も裏も描く……言うは易く行うは難しな音楽表現に繋がっています。
高難度のステップを踏み上半身も踊らせる、あるいはヒットやダイムストップと呼ばれる留めの技術を流れに細かく組み込む等、これらの目に見える奇跡は、キッズ達に「つまんない」基礎練(=アイソレ)を一生懸命にさせるモチベーションになるでしょう。
4時間の巻では、2人が共有する志も見て取れました。世界さんはToyotakaさんとの練習を「研究会」と評していましたが、2人のダンス業は、幾多あるダンスの型や技を大切に保存し更新するアーカイブ作りのようにも思えます。
↓ヒッホップカルチャー創始者のひとりMr Wiggles(ウィグルス)と
ジャンルとしては【HIPHOP】の世界さんもToyotakaさんのように【B-BOYING】の練習をしていたり(トップロック 注3)、世界さんの“ならでは”なシグニチャームーブの新作を目にしたToyotakaさんが、教えを請う場面も。
それはリキッド(Liquid=液状)のムーブで、腕のウェーブを肘で止めてその先をディジッツ(指をバラバラに動かす)にするものでした。「腕をムチみたいにしならせる(世界さん)」のがコツだそうです。#やってみたものの人生には限界がある #トヨさんはするやいなやマスター
↓『海と世界と波』#リキッド
DJ PremierがMiguelと無邪気にコラボする2017年(『2 LOVIN U』)、もっと少数民に見つかってほしいEXILEのとんがりソング『LET ME LUV U DOWN feat. ZEEBRA & MACCHO(OZROSAURUS)』(※2003年 注4)をToyotakaさんが歌い世界さんが踊り、『シン・ゴジラ』(2016年)がアニメーション(【POPPING】の技術)で2頭現れた頃、翼をさずかっているあのB-BOYも降臨しました!
4時間目『ヒップホップ創世記』講師:B-BOY with H(iphoppers)
深夜3時過ぎ、「行かない」とのコメントをエントリーに、靴下姿のTAISUKEさんが何気なくスワイプ※→エアフレア※→トーマス※でフレームイン(sponsored by Red Bull)!ウインドミル※に翻弄されるToyotakaさんに「頭、浮いてるぞ」と指導もおまけしました。※いずれも【B-BOYING】のパワームーブ(注5)
TAISUKEさんのスポンサーシップ獲得活動やセルフマネジメントの起業は、また新しいストリートダンサーの道を切り拓くものです。レジェンドとは言え、TAISUKEさんはまだ27歳になったばかり。この4時間の巻でも「やっぱTAISUKEさんだな」と人間の大きさに圧倒され、なんだか日の出に向かって走り出したい早朝4時。
James Brown×Yellow Magic Orchestra&KRAFTWERK(他)=Afrika Bambaataa(他)と、ファンク×エレクトロニカ=ヒップホップという変遷を3人が音楽とダンスで辿り、4時間の巻は大団円を迎えました。