バレエ『ライモンダ』のあらすじや特徴をバレエ経験者が簡単解説!

『ライモンダ』あらすじや特徴、見どころなど、魅力が伝わるよう詳しく紹介していきます。シンプルな恋物語の中で数々の美しい見ごたえのある踊りをぜひチェックしてください!

『ライモンダ』の特徴

普通は1幕で1曲ずつほどある主役のバリエーションですが、『ライモンダ』では第1幕で3曲あり、全幕で計5曲もあります。アクティブな振付のパーティのシーンに始まり、ベールを持った振り付け、もっとも難関な振り付けの夢の中の踊り、回転やジャンプの多い帰還の宴の踊り、そして結婚式の踊りがあります。

また、版によってストーリー設定が違うのも見どころです。
ライモンダがアブデラフマンからの求愛に全く動じないというものから、実は心が揺れている、という設定の版もあります。
また、最期の結婚式のバリエーションも版によって雰囲気が異なります。アブデラフマンに心を揺るがされた結婚式のバリエーションでは、ライモンダの表情は無表情で、死んでしまったアブデラフマンへの思いを想像させます。しかし全く気にしていなかったパターンでは明るい表情で舞うなど、ライモンダがアブデラフマンの存在をどう捉えているかもストーリーを見るカギとなっています。

物語の舞台設定はフランスのプロヴァンス地方ですが、ハンガリー国王が登場します。そして、衣装もハンガリーらしいものや背景もそれらしい設定などまたアブデラフマンはサラセンの王であり、ところどころに異国の雰囲気が楽しめます。『ライモンダ』には原作がありませんが、『眠りの森の美女』に似通って点もあることから、それもヒントに様々な要素を練りこみプティパが作り上げた作品だと言われています。

『ライモンダ』の実演動画

第1幕 パーティの踊り

見ての通り、トゥで立ったままパを展開している非常に難易度も高めの振りです。

第1幕 ベールの踊り

ベールを持った美しい舞です。繊細な音色に合わせて恋する乙女の幸せな心情を描くように慎ましくも優雅に踊る姿が印象的です。

1幕3場 夢の中のバリエーション

抽象的であるからこそ表現の正確さが求められる夢の中のシーン。1曲の中に様々な技術的要素が盛り込まれ、難易度はライモンダのバリエーションの中でも一番高いと言えます。17歳でローザンヌ国際バレエコンクールで1位入賞した菅井円加さんは、このバリエーションで優勝しました。

第2幕 帰還の宴

回転とジャンプの多いこと振付では、ライモンダのかわいらしい雰囲気や待ちに待ったジャンとの再会を待ちきれずに思う心情が非常によく表れています。

第3幕 結婚式

2曲目の静かなメロディで始まる曲は、少し暗めの曲です。アブデラフマンを悼みながら無表情で踊る版と、結婚を喜びながら笑顔で踊る版とがあります。

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