これから日本のバレエ界を変えていく存在!小林ひかるを紹介

海外で活躍してきたダンサーから見て、日本のバレエ界は変革が必要だということを、小林ひかるさんは教えてくださいます。

パリ・オペラ座バレエ学校で学び、チューリッヒバレエ団、オランダ国立バレエ団を経て、つい最近まで英国ロイヤルバレエ団に所属していた彼女は言います。「日本のバレエの状況をかえたい。」と。彼女がどのような経験をしてきたのかを知ることは、バレエ界だけでなく、日本という社会の問題点を発見することに繋がるかもしれません。

小林ひかるのプロフィール

1976年9月19日生まれ。東京都出身。子供の頃はモデルとしての活動やCM出演などもされていたそうです。今もなお美しいですね。

小林ひかるの経歴

1979年:3歳でバレエをはじめる。この頃からモデルとしての活動もスタート。大塚礼子氏、深川秀夫氏からバレエを習う。
その後、スターダンサーズバレエスクールでは新井咲子氏厚木凡人氏に師事する。
1992年:16歳でパリ・オペラ座バレエ学校に入学。
1995年:19歳でフランスのJeuneバレエに参加。
1996年:20歳でチューリッヒ・バレエ団に入団。
1998年:22歳の時Vignale Danza国際コンクールでグランプリを受賞。
1999年:23歳でオランダ国立バレエ団へ移籍。
2003年:27歳の時に英国ロイヤル・バレエ団にファースト・アーティストとして入団。
2006年:30歳でソリストに昇格。
2008年:32歳の時に同バレエ団のフェデリコ・ボネリと結婚。
2009年:33歳でファースト・ソリストに昇格。この年来日し、新国立劇場バレエ団の『ラ・バヤデール』で主役ニキヤを踊る。
2015年:38歳で長女を出産。
2020年1月31日に、彼女がプロデュースしたガラ公演「 輝く英国ロイヤルバレエのスター達」が開幕する。

ご主人が一番の彼女の理解者

一緒に踊っているフェデリコ・ボネリが小林さんのご主人。オランダ王立バレエ団でもプリンシパルで、英国ロイヤルバレエ団にもプリンシパルとして入団した彼は、華やかで、そして上げた足や跳んだ後の足の扱い方がソフトで丁寧なダンサー。物腰の柔らかい踊りは数々の王子を踊るにふさわしく、小林さん以外の多くのダンサーとも共演してきています。でも彼は、小林さんの出産後、自分の仕事を減らしました。ご自身もまだまだこれからも踊り続けていく才能のあるダンサーなのに、彼は、復帰を望む妻のために、自身がサポートする側に回ったのです。そんなフェデリコの支えの元で、小林さんはたった四カ月で舞台に復帰されました。

覚悟と決意の出産

小林さんは、出産すること自体は当然のことだと考えていましたが、日本の女性ダンサーたちが、今後のキャリアのことを考えて出産や妊娠に躊躇する現状を変えたいと考えていました。また、出産を機にバレエをあきらめてしまうダンサーたちがたくさんいることにも心を痛めていました。だから彼女は、たった四カ月で復帰して見せたのです。出産の三日後から身体を動かしはじめ、二週間後には本格的に筋トレを始めた彼女には、信念があったのです。子育てをしながらの一日五時間にも及ぶトレーニングは、日本の女性ダンサーたちに道を示したいという信念に突き動かされたものでした。また、ロイヤルバレエ団にはPiPA(Parents in Performing Arts)という出産するダンサーを支援する団体があり、彼らの存在もまた、小林さんの支えとなっていたようです。日本のバレエ団にはないサポートシステムですね。

小林ひかるの魅力をバレエ経験者が解説

小林さんのバレエは、とても知的です。感情に走ることなく、悲しむときも喜びを表すときも決して暴走はせずに落ち着いているのです。やや伏し目がちなこともあり、やや地味だという評価を受けることもありますが、人間には抑えた感情表現をするタイプだっています。小林さんの踊るキャラクターたちは、まさにそのタイプに見えて、それがまたほかの人には踊ることのできない彼女の特徴となるのだと私は思います。知的で抑えているからこそ、内に眠る感情を観る側が想像できて物語や演目にむしろ深みをもたらします。

小林ひかるの魅力が伝わる厳選動画

ジゼルのミルタ

ミルタこそ小林さんの当たり役だと、私は個人的に思っています。ジゼルの死後の世界で女王として君臨するミルタは、なぜ死んでしまったのか、そしてなぜ生きているものを決して許さないのかは明らかにされていません。優雅に踊るヴァリエーションにおいても、何を思っているのかが不明で、観る者の想像をとてもかきたてるのです。その想像をかきたてるような抑えた踊り方のバランスが小林さんのミルタは、ベスト!過剰に冷たく恐ろしく踊りすぎるダンサーたちが多い中で、小林さんは「冷たさ」を過剰に演出していないのです。

まとめ

小林ヒカルさんは、英国ロイヤルバレエ団を退団されてからも、なおチャレンジを続けられています。彼女のチャレンジがきっと、日本のバレエ界や、女性バレエダンサーの人生の在り方を変えてくれるはずです!

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