ロシアを代表するマリインスキー・バレエの石井久美子とは
日本人ではじめて、世界最高峰とも言われるマリインスキーバレエへの入団を許された石井久美子さんをご存じですか?さぞ天性の才能に満ちあふれているのだろうと思いきや、かなりの努力家なのです。 こちらでは彼女の経歴から動画までをまとめてご紹介します。
クラシックバレエというのは、あらかじめ決まった形があって、そこに自分の身体を合わせて整えていくレッスンが必要となります。ありのままの身体の使い方で、ありのままをさらけ出すのではなく、ルイ十四世の頃から精査に精査を重ねてくる中で「これがバレエとして美しいのだ」と定められたポジションに自分の身体を持って行くのです。感情表現や演技はその後の話。まずは「コントロールすること」「整えること」が求められるのです。石井久美子さんはそんな、「コントロールすること」「整えること」をとても大切にしてらっしゃるダンサー。彼女が「身体をどう使うか」ということにどれだけ重点を置いているかは、後ほど紹介する彼女のYouTubeをみても一目瞭然です。プロのバレエダンサーともなると「表現」に重点を置くことが多くなりますが、石井さんは、「コントロールすること」をとても重視しているのです。それは、彼女に怪我などの経験があるからかもしれませんね。
石井久美子のプロフィール
1994年9月7日に東京都で生まれる。身長は169cmで、尊敬するダンサーはウリヤーナ・ロパートキナ。
石井さんと同じマリインスキーバレエにかつて所属しており、「世界一の白鳥を踊る」と言われたロパートキナさんは長い手足でストイックに自身のバレエと向き合い続ける姿に世界中から賞賛が集まっていました。
「孤高の白鳥」とも言われ、二十年間もトップに君臨し続けた彼女の生き様や、彼女のバレエには、観るものを沈黙させる力がありますね。
石井久美子の経歴
1994年:東京都で生まれる。
2002年:8歳でバレエをはじめる。東京バレエ劇場、橘バレヱ学校、祥子バレエ研究所、東京バレエ学校などさまざまな教室でレッスンを受ける。
2011年:17歳でロシアの名門ワガノワバレエ学校へ留学できるオーディションに合格し、入学。
2013年:19歳でワガノワバレエ学校を卒業しロシア・サンクトペテルブルクのマリインスキー・バレエに入団。マリインスキー・バレエにおいて、日本人として初の入団者となった。
お話されているときの柔らかい雰囲気が印象的ですね。踊っているときのきりっとした佇まいとのギャップがとても魅力的です。
本当に厳しいワガノワバレエ学校
名門中の名門であるワガノワバレエ学校は、入ることも当然難しいのですが、卒業はもっと難しいと言われています。ロシアでは、国立バレエ学校の卒業試験は国家試験となっており、この試験に合格することで、国家公務員のバレエダンサーとしてバレエ団に所属することが可能となります。日本とはそもそもの制度が全く違いますが、「国家試験」ともなると難易度が高いのは当然のこと。だからワガノワバレエ学校は、入学がかなったとしても、卒業できないという生徒がたくさんいたりするのです。また、卒業試験以外にもいくつかの試験がもうけられており、その試験をパスできなかった場合や、体格に大きな変化が出てしまった場合は、途中で退学をすすめられるという状況にもなりえます。また、留学生はロシア人生徒とは基本的に違うプログラムで教育され、卒業公演なども、ロシア人ばかりの公演と他国から留学してきている生徒たちの公演とにわけられています。バレエは「選ばれし者」だけが携る芸術だという概念が、ロシアには根強くあります。だから、「厳しい」というよりは「選ばれし者でもないのにバレエに挑むなんて無駄だし気の毒だからやめておいた方がいい」というような発想なのです。
