神と人の禁断の恋!壮大なバレエ作品「シルヴィア」を解説

舞台公演がまだ叶わない今、悲嘆にくれるのではなく、これから様々なバレエ公演を楽しみに出かけるため「予習」をしておきませんか?こちらでは、バレエの「シルヴィア」に関して解説いたします。 初心者でもわかりやすく解説いたしますのでぜひ参考にしてください!

『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』の音楽を作ったチャイコフスキーが、「もし私がもっと早くこの作品を知っていたら、私は『白鳥の湖』を作曲しなかっただろう」と述べたと言われている「シルヴィア」という作品は、全幕を見る機会があまりありません。
しかし、実はドラマティックで音楽も美しいこの名作は、ぜひ多くの方に見てほしい作品!なかなか舞台鑑賞が叶わない今、DVDなどでの鑑賞もおススメです。

シルヴィア(Sylvia)とは

原題は実は『シルヴィア、またはディアヌのニンフ(Sylvia, ou La nymphe de Diane)』と結構長いのですが、現在は「シルヴィア」としか呼ばれていないこのバレエ作品は、『コッペリア』などの音楽を作ったレオ・ドリーブの作曲によるものです。『コッペリア』については以下の記事をご覧になってください。

パリ・オペラ座で初演したときの振付はルイ・メラントという人物だったのですが、彼の振付の時はあまり話題にならず、1952年にフレデリック・アシュトンが振付て再演すると、あっという間に人気の作品となりました。

シルヴィアのあらすじ

「シルヴィア」には様々なアレンジがあるのですが、こちらではアシュトン版に基づいたあらすじをご紹介いたします。

シルヴィアは、左側の純粋な羊飼い青年アミンタと右側の狩の女神シルヴィアの恋物語です。ギリシャ神話に基づいており、衣装もギリシャ神話風のデザインとなっていますね。

第1幕~聖なる森~

狩りと貞節を司るギリシャの女神ディアナに使えるシルヴィアを偶然見かけてしまった羊飼いのアミンタは、その穢れなき美しさに一目で恋に落ちます。

こちらは、ジョン・ノイマイヤーによって近年改訂されたヴァージョンの「シルヴィア」です。
後半に出てくる白い胴着に黒いヘルメットがディアナ、大勢いるディアナの使いたちの中で髪を一つに束ねているのがシルヴィア、そして白いつなぎを着用しているのがアミンタです。
このジョン・ノイマイヤー版では、女神たちの勇壮で力強い面に焦点をあてており、従来のバレエ作品には見られない主人公の姿を描き出しています。多くのバレエ作品の主人公たちが、「お姫様」や「妖精」ですが、シルヴィアは「狩り」の女神であるため、男性的な一面もあるのです。ディアナが貞操を司る神であるためシルヴィアは恋を知らず、自分に向けられたアミンタの思いも気づかぬふりで払いのけるのです。

もう少し可憐に描かれているヴァージョンの方がメジャーです。白い衣装で軽やかに踊るのがシルヴィア。
可憐ではありますが、彼女は恋を知らず、恋を司る神エロスを嘲り、あろうことか矢をむけます。その時隠れていたアミンタはエロスを庇い倒れてしまうのです。一命をとりとめたエロスは今度シルヴィアを射ますが、シルヴィアはものともせずに立ち去りました。
しかしこの時、シルヴィアの胸にはアミンタを憐れむ気持ちが生まれています。
はじめてアミンタに気持ちをむけたシルヴィア。
しかしそんな彼女の隙をついて、そんなひと騒動を見ていた悪い狩人のオリオンがシルヴィアを連れ去ってしまいました。
エロスは自身の力でアミンタをよみがえらせます。

第2幕~オリオンの島の洞窟~

オリオンの島の隠れ家に連れ去られたシルヴィアは、オリオンに酒や宝石で誘惑されますが、彼女はもはやアミンタのことを嘆き悲しむ思いしか胸にない様子。
自分を連れ去り閉じ込めているオリオンを酔わせてエロスに助けを求めました。
彼女の祈りに応えてエロスはすぐに現れ、アミンタがディアナの神殿で彼女を待ちわびていることを教えます。

第3幕~ディアナの神殿近く~

アミンタはシルヴィアを見つけるためにディアナの神殿に着きました。ディアナの神殿ではバッカス祭りがおこなわれています。そこにエロスとともに到着するシルヴィア。
歓喜と再開の瞬間の後、シルヴィアを探すオリオンが現れますが、オリオンとアミンタが決闘し、その決闘のさなかにディアナの逆鱗に触れたオリオンはディアナに打ちのめされました。怒れるディアナは続いてアミンタとシルヴィアの交際を許さないことを断言します。
エロスはディアナにかつての恋人エンデュミオンのことを思い出させ、ディアナに考えを変えさせました。
結果としてアミンタとシルヴィア結ばれます。

ようやく分かり合い、触れ合うことができたアミンタとシルヴィアのパ・ド・ドゥ(男女がペアで踊るもの)は美しい音楽に彩られ、幸福感が漂っています。また、神であるシルヴィアに対してアミンタが敬意を払いつつ触れる姿が印象的ですね。

シルヴィアの魅力

発表会などでもよく見るシルヴィアのヴァリエーションは、三幕のアミンタとのパ・ド・ドゥの中で踊られます。この曲に代表されるように、シルヴィアは音楽が可憐で美しいものばかり。その音楽にぴったりはまる振付がなされているところがこの「シルヴィア」という作品の魅力だといえるでしょう。

まとめ

様々なヴァージョンやアレンジがある「シルヴィア」は見比べて楽しむこともできる名作です。あらすじを知ったうえで様々なパターンのものを楽しんでみてくださいね。

記事をSNSでシェアする