Alex Gouliaev

世界最高峰マリインスキー・バレエ団の至宝「ロパートキナ」

43歳で引退した後も、伝説のように語り続けられているウリヤーナ・ロパートキナというダンサーをご存知ですか?彼女は深い知識と考察力を持つ稀有なダンサーでした。こちらでは彼女の謙虚さに裏打ちされた壮絶な努力とその努力が生み出す美しいバレエをご紹介します。

彼女は「語ること」ができるダンサーです。
もちろん、語らなくても伝わる踊り方ができるダンサーではあります。引退後三年以上がたった今も、彼女が踊る映像はとても魅力的です。
しかし彼女は、自分が踊っていた時に何を大切にし、どのようなことを表現しようとしていたかを明確に表現できる方なのです。
クレバーで、センスが感じられる彼女の言葉は、今も現役のダンサーたちにとって大きなヒントとなっています。

  1. ロパートキナのプロフィール
  2. ロパートキナの魅力をバレエ経験者が解説
  3. ロパートキナの魅力が伝わる厳選動画
  4. まとめ

ロパートキナのプロフィール

本名:ウリヤーナ・ロパートキナ(Ulyana Lopatkina)
英語名:Ulyana Vyacheslavovna Lopatkina
ロシア語:Ульяна Вячеславовна Лопаткина
出身:ケルチ
生年月日:1973年10月23日
身長:175cm
靴のサイズ:27.5㎝
出身校:Vaganova Ballet Academy

ロパートキナの経歴

1973年:クリミア半島東部の都市・ケルチで生まれペテルブルグに移住
地元のバレエ教室で頭角を表し始めたロパートキナは、ロシアの名門バレエ校・国立ワガノワ・バレエ・アカデミーへ入学

この頃のロパートキナは少し内気そうですね。

1991年:ワガノワを卒業後、マリインスキーバレエに入団
1995年:若干22歳にしてマリインスキーバレエ団のプリンシパルに
同年、建築家であり作家でもあるウラジミールと結婚
1997年:Prix Benois de la DanseとThe Baltika prizeを受賞
1998年:the Evening Standard受賞
1999年:State Prize of Russia受賞
2000年:Honoured Artist of Russia受賞
2001年:The Baltika prize受賞
2002年:娘マーシャを出産
2006年:People’s Artist of Russia受賞
2010年:離婚
2017年:引退を発表
ケガのため、このシーズンは一度も踊らなかった

ロパートキナの生活

ロパートキナは午前9時頃に起き、朝食にグレープフルーツジュースかあたたいお茶を摂取します。
時間があればオートミールかソバのオートミールでできたおかゆを食べますが、朝食はそれだけみたいです。

午前11時以後にクラスレッスンに参加し、その後はリハーサルをします。
ロパートキナはリハーサルを重視するダンサーで、”とにかくどれだけたくさんのリハーサルをするかが重要”だといくつかのインタビューで答えています。
リハーサルに専念するあまり、昼食を抜いてリハーサルを続けることも多く、並大抵な努力では無いことを物語っていました。

「世界一のバレーリーナ」とまで言われた彼女がそう呼ばれるようになってからも、このような生活をやめなかったのは彼女の控えめな性格に由来するといわれていました。
それは、彼女のドキュメンタリー映画を見ると伝わってきます。

世界的なバレリーナ、ウリヤーナ・ロパートキナとは!?映画『ロパートキナ 孤高の白鳥』

出産後もハードなトレーニングと毎日のリハーサルを続け、子育てとの両立を楽しんだ彼女は、そういった自分の半生を「すべては神のご加護によるもの」といい残しました。私はそんな彼女に神々しさを感じました。

ロパートキナの魅力をバレエ経験者が解説

ロパートキナのバレエは175センチの長身をもてあますことなく完璧なまでに使いこなしているので、唯一無二の華やかさを持っています。
それだけでなく知的な彼女がじっくり考察した上で生み出されたキャラクターを完璧に表現する表現力も彼女のバレエの魅力。
彼女の踊る「ライモンダ」や「白鳥」には、彼女の魂が込められており、それが見る者に伝わってきます。

ロパートキナの魅力が伝わる厳選動画

ロパートキナを語る上で、一番見てほしいのが「ライモンダのヴァリエーション」です。役柄がとても複雑なキャラクターであるため、ダンサーによって踊り方がかなり変わります。ロパートキナの「ライモンダ」は深い考察によって作られた表現をしています。

ライモンダのヴァリエーション

手を打ち鳴らすのが特徴的なこちらの踊りは、結婚式では暗い音楽で、かなり特殊だと言われています。
ロパートキナはこの踊りの中にライモンダという女性の「教養や知性」を見出し、「上品であること」を心がけたと述べていました。
振付家のヌレエフは「手を打ち鳴らす」という動きが「ライモンダの目覚め」として大きな音を立てることを推奨しましたが、
ロパートキナは、ライモンダはすでに自立していた女性だと考え、手を打ち鳴らす時に大きな音を立てませんでした。
上品さを重視し、パドブレや手の動かし方を繊細に繊細に作りこみました。

白鳥の湖よりオデットのヴァリエーション

長い手足を決して勢い任せに扱うことなく、繊細に丁寧に扱っていることのわかる踊り方です。そしてその繊細さが一枚一枚の羽を震わせている白鳥のように見えるのです。オデットも、ロパートキナが踊ると、ただの悲劇のヒロインでなく自立し深い教養の中で悲しみに暮れているように見えます。

瀕死の白鳥

瀕死の白鳥は第一にアンナ・パブロワ、第二にマイヤ・プリセツカヤそして第三はロパートキナだと言われています。

まとめ

ロパートキナの踊りはいつもクレバーで、品格があります。今のように不安定な世の中でも、心を落ち着かせる効果を彼女の踊りは持っていると私は思います。

関連記事