ダンス部の活動の「多様性」/自主公演・地域交流・ SNS・メディア出演その他

「多様性」という言葉をよく目にするようになったが、ダンス部の活動こそ多種多様だ。ここでは大会出場以外のダンス部の活動を、顧問へのアンケートをもとに考えていこう。
 
文:石原ヒサヨシダンスク!

※『ダンスク!』37号より転載

自主公演

多くのダンス部が大会出場の次に力を入れているという活動が自主公演。外部ホールを借りた本格的な公演から学内施設での公演まで、1回に1,000人以上を動員したり、年に複数回行なったりと年々この動きは活発化している。規定に準じた舞台で競い合う大会出場よりも、「自分たちで舞台を作る」自主公演のほうが得るものが大きいという意見もあるようだ。時期や場所の設定から企画、制作、告知、発券、運営まで、ダンス以外に行なう業務や関わる人との多様さは、社会へ出る予行練習としては打ってつけだろう。


▲大阪府立久米田高校の2019年の自主公演の模様。

学内行事

学校内でもダンス部の活躍は多い。文化祭や体育祭などの行事、特に新入生歓迎会は新入部員の勧誘にはバッチリの機会だ。先の自主公演を文化祭の中で行なうダンス部も多く、その盛り上がりは祭りのフィナーレと相性が良い。

地元との交流

ダンスというツールで普段つながれない人たちとつながる。地域性が強い学校の活動だからこそ、地元とのつながりは密にしていきたい。お祭りへの参加や、子供向けダンス教室の開催、養護施設や老人ホームへの慰問など、ダンスには人を元気に笑顔にするチカラがある。だからこそ、各所から「お呼ばれ」するダンス部でいたい。礼儀、笑顔、感謝、発信力、イメージ、評判。地元とどれだけつながれるかは、良いダンス部であるかどうかのバロメータと言えるかもしれない。

メディアへの配信

テレビ出演やSNS発信など、ここもダンス部ならではの活動だ。顧問の中にも「影響力を考え積極的に参加している」「特別な体験ができる」という声があり、部員たちにとってもテレビやイベント出演は一生モノの思い出になるだろう。そういう引き合いが来るためには、先ほどの通り、部のイメージや発信力が鍵となる。呼ぶ側は「このダンス部を呼んだら面白そう」という予感で選んでいる。ダンスがうまいだけじゃない、独自の「面白味」は、そのまま大会での成果につながるだろう。またSNS発信や映像制作のスキルは、そのまま将来の仕事に活かせる。




以上のような活動には、決まり切った正解があるわけではない。だからこそ、そのカタチを自分たちで考え、答えを出し、計画し、実行することが、高校生の主体性を育てる経験となる。
京都文教高校の顧問はアンケートでこう答えてくれた。

優劣をつける活動もつかない活動も、どちらのアプローチもできる点がダンス部の良いところ。ダンス部の活動は、かつての学校内発表中心から、全国的なコンテスト、地域社会のイベント、メディアでの発表など、学校外のものが中心になってきています。そのため、部員は部活動を通して、自分たちも社会の一員であるという意識を持つと共に、〝自分たちから社会へ向けて発信していこう〞という主体性を持つことができるようになりました。活動の場が広がることで、関係各位も多くなり、〝自分たちが活動できているのは、多くの方の支えがあってこそなのだ〞と実感できる機会がとても増えました。そのことが、教員が言わずとも、〝感謝をしよう〞〝礼儀正しくしよう〞姿勢につながってます

▲多様なダンス部活動の代表格である三重高校、通称“シリフレ”。自主公演、イベント、メディア、SNS、映像制作、はては海外公演への挑戦など、ダンス部活動の新しいカタチを日々模索している。

SDGsをテーマにしたダンス作品作りが進行中!

「キミのダンスが地球にできること」をテーマに、SDGsが掲げる諸問題をダンスで広めていく『ダンスク!』の企画が進行中だ。企画に参加してくれたのは千葉敬愛高校。部員だけでの振り付け・作品作りにこだわりを持つダンス部だけに、どんなアイディアと表現が出てくるか楽しみなところだ。企画の進行はYouTube「ダンスク!TV」にて公開予定!

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