ほんの少しパターンを変えれば私たちは100年先も踊り続けられる/ “Free the Pattern” ダンスがつなぐサスティナブルな衣装展

(※ダンス情報系サイト「TOKYO DANCE LIFE」より転載)
オーダーメイドを中心とした舞台衣装やダンス衣装を手掛けるレーベル「Mirach Design Works(ミラクデザインワークス)」が、衣装デザイナーのNatsuko Hazamaとタッグを組み、2021年11月22日(月)〜11月23日(火•祝)に南青山のMORIO STUDIO 1Fにて、『”Free the Pattern” ダンスがつなぐサスティナブルな衣装展』を開催。チケットは「PassMarket」にて、2021年10月18日(月)12:00より販売中。

現在、ファッション業界は環境に悪影響を与えている産業として、世界第2位の汚染産業とみなされている(*1)など、その環境負荷は大きな社会問題となっています。また、ダンスをはじめとするエンターテインメント分野でも、公演ごとに衣装を作り替えたり、リサイクルしづらい多素材の装飾が施された衣装が多いなど、環境に与える影響は少なくありません。
このような大量生産・大量消費により資源を消費し続ける「リニアエコノミー」から、廃棄物を出さずに資源を循環させる「サーキュラーエコノミー」への転換が近年注目されつつある中、Mirach Design Worksも2021年より事業のサーキュラーデザイン化を掲げてリース事業「CO-S」を立ち上げるなど、課題解決のための取り組みを始めています。
しかし、環境省の調査では「サスティナブルなファッションに関心がある」と答えた人が約60%(*2)いる一方で、約40%(*3)が「何がサスティナブルなファッションなのか、どう対応すればよいのか分かりやすく情報発信する」ことを求めているなど、認知拡大や行動変容に向けた更なる情報発信が必要とされています。

そこでサーキュラーデザインの考え方を身近に感じて、個々人の視点と行動を変えるきっかけを提供する目的で、『”Free the Pattern” ダンスがつなぐサスティナブルな衣装展』を開催することにしました。会場ではサーキュラーデザインの要素を取り入れつつデザイン性も妥協せず追求した衣装や、その製作プロセスを展示します。また、それらの衣装を身に纏った6名のダンサーが各要素を踊りで表現するイマーシブシアター形式のショーもあり、サーキュラーデザインを理性と感性の双方で体感できる内容になっています。

*1:国際連合広報センター( https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/32952/ )
*2,*3:環境省「SUSTAINABLE FASHION」( https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/ )

サーキュラーデザインで製作された衣装

サーキュラーデザインを実現するための戦略である「製品の長寿命化」「製品からサービスへ」「ゼロウェイスト」「モジュール化」「生物資源化」を、より伝わりやすく直感的に理解できるように、オリジナルのキーワードを再定義。従来の思考パターンから、新しい思考パターンへの変化を意味する各キーワードをコンセプトに、サスティナブルな世界の実現に向けた9種類の衣装を展示します。

展示衣装 一例

今回展示する衣装は、総合ディレクターの近藤香(Mirach Design Works)とヘッドデザイナーのNatsuko Hazamaに加えて、ゲストデザイナーとしてRyuga Kawabeが製作しています。
また、業界初の経験者専門ダンススタジオとして、100名以上の世界レベルの一流ダンサーがインストラクターとして所属している「DANCE WORKS」とのコラボレーションも決定。過去の舞台で使われた衣装をリメイクとスタイリングで蘇らせた展示も見どころです。


BOU
Piece → Whole(一部をつかう → 全部をつかう)
残布ゼロの衣装。
生地を棒状に切り出し、編み上げることで通常裁断時に発生する端切れの出ない、ゼロウェイストのデザインです。
Mirach Design Worksは、材料の一部を使ってデザインすることからその全てを使ってデザインをする、つまり廃棄物を一切出さない新しいパターンを提案します。


MODULE
Fixed → Flexible(固有である → 可変である)
モジュール化された衣装。
等間隔につけられたスナップボタンにより、モジュール化(規格化)され、着用シーンや体格にあわせて、各パーツを交換したり、修理がしやすいデザインです。
Mirach Design Worksは、個体ごとに固有のデザインから、部品化することで可変で柔軟性のあるデザインへ、新しいパターンを提案します。

サーキュラーデザインを表現するショー

「 Free the Pattern(パターン化された思考を変えよう)」をテーマに、サーキュラーデザインで製作された衣装を身に纏い、6名の人気ダンサーがパフォーマンスを行います。従来のダンスの制作プロセスにMirach Design Worksは衣装でサスティナブルという新しい選択肢を提供することで、観客のパターン化された思考を解放し、ダンスの新しい可能性に気づいてほしいという願いを込めます。
企画演出には没入型演劇(=イマーシブシアター)と創作料理を組み合わせたアート体験を提供している「Dramatic Dining」の竹島唯が参画し、観客と舞台の垣根を取り払ったイマーシブシアター形式のショーをお届け。純粋なダンス公演としても楽しめる内容になっています。

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