「ブレイクダンスへの愛は誰にも負けない。フルジャッジで圧勝し世代交代とは言わせない」／【FINALIST INTERVIEW NORI編】マイナビDANCE ALIVE HERO’S 2022 FINAL
『アライブ』の名で親しまれ、今年で17年目を迎える「マイナビDANCE ALIVE HERO’S 2022 FINAL」。ストリートダンス界最強ヒーローを決めるダンスイベントとして、数多くのダンサーたちのドラマと才能を花開かせてきた。
毎分毎秒が歴史の転換点となるこの日に向けて、多くの新世代ダンサー達が過酷な予選に挑戦し、ファイナル出場を勝ち獲った。令和ジェネレーションとも呼ぶべきファイナリストたちは、何を思いあの舞台へ上がるのか。
今回はSEED DANCERとしてBREAKING SIDEの舞台に立つNORI（TAKE NOTICE/THE FLOORRIORZ）にインタビュー。BATTLE OF THE YEAR FINAL3連覇という偉業を成し遂げ、オールラウンドなブレイキングスキルで日本のみならず世界で実績を残しながら、経営者としての顔を持つNORIの素顔に迫る。
今回シードダンサーとして出場を決めた時どんな気持ちでしたか？
お話しをいただいてから、すぐに出ようかなと思い返事をしました。年齢も年齢ですし、ブレイクダンスのソロで勝負できる時期も限られています。鍛えればいけそうだなという自信もありますが、実は両膝の関節に痛みを感じるようになってきました。膝は消耗品かなと考えているので、（身体が思うように動く）現役でいれるうちにタイトルを獲りたいなと考えました。今回は全員ブレイキンのジャッジということで。いつでも戦えるように鍛えています。
最近のダンスでの活動と所属されているチームについて教えてください
最近は週6で昼の時間帯に練習をしています。週末や祝日はショーケースの依頼があったり、ジャッジのオファーがきたりゲストバトラーなどの仕事も入ります。TAKE NOTICEとTHE FLOORRIORZに所属していますが、TAKE NOTICEは何もしてないです（笑）。言葉で言うとCrewというよりファミリーという感じです。チームができた時もバトルでの優勝を目標にはおいていませんでした。タイトルを追いかけるより、その日一番かっこいいと思われたらいいよねという感じでした。今何をしているかというと、みんなでお風呂行く？ご飯行く？という活動がTAKE NOTICEです（笑）。
THE FLOORRIORZはどちらかというと一つの目標に向かって集まったCrewです。BOTY(BATTLE OF THE YEAR)という世界で一番名誉のある大会で優勝するために集まったので、何か目的があれば活動をするチームです。TAISUKEがTAKE NOTICEのメンバーと組めばBOTYに勝てる、と声をかけ、メンバーはそういうチャンスがあれば参加したい、という経緯で結成しました。
現在のダンス以外の活動についても教えてください
プロテインの会社を経営しています。GOLDEN MISSIONという、ただのプロテインでなく、疲労回復特化型のプロテインをつくりました。世界の大会のソロで、勝つか負けるかという大事な場面を何度も経験して、体がつらくなってきたのを感じたのが研究を始めたきっかけです。出来上がったものについて話をしていたところ、商売にしてみたらどうか、と声をかけられました。特徴としては、渡り鳥の羽の付け根から発見された「イミダゾールジペプチド」という栄養素を、世界で初めて取り入れたことです。一般に市販されているプロテインというと、筋肉ムキムキになるためのものというイメージがありますが、このプロテインは疲労回復や持続力に特化しています。フィットネス業界などでも注目されていて、ダイエットやボディメイクをしたい方におすすめです。運動して痩せたい時は、一般的に脂質が敵と思われていますけど、逆に栄養が偏って回復力を失わないように、脂質も入っています。常識と言われているものに自分なりに向き合って研究をした結果です。
また、YouTubeでトレーニングなどに関する情報発信もしています。そちらの収益は全額寄付に回してます。GOLDEN MISSIONでは現在POPPER一名、HIPHOPダンサーが一名、そしてB-BOY、B-GIRLもサポートさせてもらっています。他にもRIZINなどの格闘家数名、そしてDJなどもサポートしています。
ご自身のダンスのスタイルやこだわりについて教えてください
自分のダンスについて、ふざけたことを正当化できるダンスだと思っています。違う人が真似したらダサくなっちゃうことを平気でできるのは強みかもしれません。練習でもとても細かいところまで妥協しないように気をつけています。例えば形やシルエットでいうと、足の角度はこっちの方がいいよね、と思うものを出せるようにしたり、動く分には支障はなくても、指先まで意識できてなくて気持ち悪いと思ったら、こだわって自分が納得できるものにしていきます。やはりどうしてもブレイクダンスは動きや技に使う時間が多いんですが、それとは別に、音を聞いて音に反応して音が変われば自分のダンスも変わるような練習もしようと取り組んでいます、（動きだけの）スポーツマンにはなりたくない、ダンサーでいたいという感覚です。
バトルでの強みや武器などはありますか？
特定の得意な技があるというより、全部皆が思ってるより高水準で返すのが得意かもしれません。料理で例えると相手がラーメンを出してきたら、ラーメンを出して負けてしまったりします。自分はケーキを出したり、違うものを提供できると思います。ラーメンを介してデザートまで。バトルでの対話を意識して、相手が強い部分を離されない程度に返したあと、苦手な部分をプラスアルファで出す姑息な手で戦っています（笑）。以前TAISUKEが日本人には誰にも負けない、という時期がありました。Red Bull BC Oneの大会でTAISUKEと対峙した時、相手にないものだけを本気で提供してみよう！と、ゴリ押して、周りに伝わって勝つことができました。このやり方でもいいんだと確信できた、印象深いバトルでした。それからもブレイクダンスは満遍なく練習して、苦手な分野もあるんですが、全部好きでいようと思っているので、そこに対する愛では負けないです。
ブレイクシーンを見てきて、昔と今の違いをどう考えていますか？
とりあえずワンムーブが長いと思っています（笑）。今までは、いい間隔で、いい技のチョイスだったり、いい流れのチョイスだったり、かっこよさのチョイスで勝ってる人が、ダサくてもキレが良くて体力のある人にバタバタ薙ぎ倒されている感覚があります。他のジャンルであれば、歳をとっても1分交代で踊れると思いますが、ブレイクダンスはなかなかそれが難しく、大御所みたいに追求してきた人達が体力のあるダンサーに葬り去られる時代なのかなと思います。だからこそフィジカル負けはしたくないし、そういう場面を見ても、自分はそうはいかないぞと言う気持ちになります。
これからの目標や理想があれば教えてください
BOTYという名誉がある大会を3連覇して、次の目標は世界レベルの大会でソロで優勝したいと考えています。例えばRed Bull BC Oneですね。その年にトーナメントに出場する最後のひと枠をかけたLast Chance Cypherでは昨年2度目の優勝をしていますが、World Finalの方はまだ獲れていません。去年は、Last Chance Cypherの決勝戦で勝った相手が、World Finalで優勝しました。くじ運など様々な要因が重なって、紙一重で勝ててないという感覚があります。欲しいタイトルはあらかた獲ってきたかなと思っています。あとはRed Bull BC One、そしてアライブですね。
それからありたい姿として、奥さんを大事にできればと思います。そのために会社を頑張っているし、ダンスも頑張って、大事にしたいなと思っています。
アライブのファイナルに向けての意気込み
逆サイドもそうですし、シードダンサーのSHIGEKIXもそうだし、今若くてアブラが乗っているダンサーがたくさん出てくる中で、まだまだ世代交代とは言わせないように圧勝したいと思います。
フルジャッジ、全部3-0で勝ちたいと思います。
