2度目の優勝を目指したRIZE。次シーズンの期待も高まるKIDS。マイナビDANCEALIVE 2023 FINAL RIZE&KIDS ハイライトレビュー!

ジャッジ全員を唸らせた爆発力

KIDS SIDEもRIZE同様、全国のエリアごとに行われる予選を勝ち抜き、ポイントランキング上位がFINALに進出する。このBEST8までの試合は屋外SKY STAGE/UNDERGROUND STAGEにて行われ、昨年準優勝のLil REBELがBEST4手前で敗退という波乱の展開となった。Lil REBELを破ったのはLil Krow a.k.a Baby Konkrete。国内で最も栄誉のあるKRUMP BATTLE「KING OF BUCK」のキッズカテゴリーで2年連続優勝、日本、アメリカ、ロシアの3つのFamに所属し、今回もその名前を背負っての挑戦となる。BEST4には今回優勝のYou-ki、そして共にチームメイトだという武蔵、勇太が勝ち進んだ。

準決勝でLil Krow a.k.a Baby Konkreteと対決するのはKIDS SIDE3度目のファイナリストとなる武蔵。両者ともMYNAVI STAGEにセコンドを引き連れて現れ、舞台に立ち咆哮するLil Krow a.k.a Baby Konkreteに対し、冷静にバトルの準備をする武蔵と対照的な姿を見せた。KIDSは2ムーブで試合が決まる。

1stムーブではKRUMP MUSICが流れ、武蔵が飛び出す。KRUMP MUSICはビートがトリッキーなものも多く今回も低音が絶妙にループからズレる難しい楽曲でのバトルとなったが、リーチの長い腕や首を使い、音の重さや揺らぎを表現しながら粘り強さのある足腰を職人のように巧く使いこなす武蔵。音がすり抜けて音にぶつかる、音が体の中を流れるといった幅のある表現を踊りこなし、会場を沸かせた。

一方Lil Krow a.k.a Baby Konkreteはハンドサインを示し、一気にKRUMPのスイッチが入り、体の細部で音を受け取りながらKRUMPの世界を体現していく。ダイナミックなアームスウィングやハットを使ったトリックに注目が集まりがちだが、表情やダンスで表現していくストーリーや、遊びとして挟むダンスで、バトルらしく相手と対話をしている姿も見て取れる。

2ndムーブではHIPHOPが流れ、武蔵は伸びやかにリズム遊びとアクロバットを取り入れたダンスを見せる。一つ一つの技に余韻を作りしっかり相手へのアピールも決めていった。Lil Krow a.k.a Baby Konkreteはそれに応えるように、武蔵のようにハンドウェーブから体に音を閉じ込めると、舞台を広く使ったアームスウィングで爆発的に会場を沸かせた。バトル相手を意識したムーブに遊びを入れながらも、しっかりKRUMPのスタイルを貫き通し試合終了。なんとジャッジ全員がLil Krow a.k.a Baby Konkreteに旗を上げての勝利、FINAL初出場ながら、MYNAVI STAGEで改めて多くの人にそのポテンシャルの高さを見せつけた。

KRUMP VS WAACK/LOCKの激戦。遊び、完成度、全てが見どころ

一方、常連とも言える4度目のFINAL出場にして、武蔵のチームメイトでもある勇太に見事勝利し、決勝に進んだのはYou-ki。WAACKとLOCKという相性の良い2つのダンスを武器に、音楽を的確に掴むような表現で、音楽の中で意識していなかった音たちが見えてくるようなダンスが持ち味だ。

ジャンルが違うからこそ、駆け引き、それぞれの音楽へのアプローチや会場の空気の掴み方、遊びや表現など様々な部分で競い合う必要があるため、決勝戦は何が飛び出すのかわからない面白いバトルが期待できる。
1stムーブではHIPHOPがかかる中、You-kiが飛び出す。ステップをベースに、音を取りこぼさないようにするだけでなく重なっている音が聞こえてくるようなアプローチ。上半身と下半身で表現する音を変えるといった複雑なテクニックが自然と出来上がっており、音楽で遊んでいるように見える。

対するLil Krow a.k.a Baby Konkreteはハンズアップで会場のボルテージを上げていく。低音とシンバルの響く音はKRUMPとの相性も良く、勢いのあるKRUMPに、時折混ぜ込む繊細な音どりと相手へのアピールは流石の一言。ベーシックなHIPHOPのステップやYou-kiのポイントを模した動きを投げ飛ばすパフォーマンスも取り入れ会場を沸かせていた。

2ndムーブではMC Hammerの「U Can’t Touch This」の元ネタとなったRick Jamesの「Super Freak」が流れる。ベース、ギター、シンセそれぞれが特徴的な名曲で、You-kiにとっては遊びやすい曲だ。笑顔が見えたかと思うとスッと表情を変え、ウォーキングからWAACKで様々な音を逃さず表現していく。腰でグルーヴを維持しながらも、体の一部をキレイにストップさせているため肩や腕、首や指先での音取りがよりクリアに映し出される。
そしてLil Krow a.k.a Baby Konkreteのラストムーブ、babysitterやニュージャックスウィング、そしていわゆるハマーダンスまでKRUMP以外のダンスもハイスキルに並べていく。KRUMPの爆発力は最大の武器だが、他ジャンルのダンスも踊れる上にKRUMPとの融合をどんどん試みるところがLil Krow a.k.a Baby Konkreteの強みだ。

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