振付師の思考法【ASUKA Yazawa 】都立狛江高校ダンス部2023 年作品をセルフ解説
1:59~2:12
★ダンス展開
空間の変化により、より解放的で楽しい雰囲気を表現。
手元や足元についている葉っぱとお花を見せることを意識した振付をしているパートも。
2:13~2:16
★ポイントは靴
この作品で1 番の難関であり、1 番重要である「靴を脱ぐ」シーン。
区切られた世界からドンドン解放していく展開を、振付構成・空間で見せてきましたが、最後は衣装で。
魅せながら脱がなくてはならないことに苦戦し、蒼依と共に試行錯誤しました。
動画ではまだ作品制作段階の序盤で、全員同じ振付をしていますが、今では3通りの脱ぎ方をしています。
2:17~2:26
★最大の大盛り上がり
すべてが整ったところで、ラストはダンスで解放感を表現。
こちらも丸々、蒼依が振付をしました。
脱いだ靴をどう魅せていくかを意識しながら、移動もダンスも大振りで派手にしてくれました。
2:27~ラスト
★最後の余韻
最大のこだわりは、この作品の締めくくり。
ラストの「腰振り」ダンスで余韻を残したまま、終わっていきます。
照明が指定できるのであれば、フェードアウトしていってほしい!(笑)
全体ポイント
観客と演者との間に境界線を引く「布」
今回は、「夢と現実の狭間」という世界観にこだわりました。
ある種「夢落ち」を連想させるイメージでしょうか。なんとなくその世界に引き込まれていき、気づいた時には自分もその一部になっていて。でも最後には、やっぱり別世界の出来事だった…という感覚になってもらえたら、とても嬉しいです。
そのため、あえて冒頭部分では、観客と演者との間に境界線を引きました。観客が画面を見ているような、窓の外を眺めているような、少し距離を感じるように。
振付構成ももちろんですが、特にその効果を果たしてくれたのは、布だと思います。今まで布を使う作品はいくつも扱ってきましたが、今作では布を使って踊るのではなく、空間演出として取り入れました。
こちらが道を作って「観ている人の手を引っ張る」のではなく、観客自身が「気持ち良さそうだから足を踏み入れたい」と思う感覚で、この世界に没入してほしいと思いました。
最終的には、扉を開いて(布を取っ払って)、迎え入れる展開なのですが(笑)。
振付としては、クラップなど印象的な音やリズムを取るところと、歌詞に合わせて踊るところのバランスを意識した、と蒼依が話していました。
興味→没入→共有、そして最後はその余韻に浸る…
今回は、作品の流れを観客目線からアプローチしたのもポイントでした。
「振付師の思考法」まとめ
振付師と演者のキャッチーボールでより濃いものに
いつも作品を作るときは、必ず私にとっての「挑戦」を決めています。
今回で言うところでは、「空間変化」と「全員ヒール」の2つでした。
その「挑戦」が成功するかは、私含め制作者と演者みんなのチーム力にかかっていると思います。狛江生のみんなは、「一緒に作る」意識で毎回形にしてくれるので、その姿勢が本当に嬉しいです。
そしていつも大切にしていることは、作品を深めることです。
最初にテーマを共有し、軸を作り、あとは作りながら、私たち制作者と演者のみんなのキャッチボールで、より濃い内容のものにしていきます。
今作もイメージに沿って、都度細かいことから大きなことまで、振付や構成を変えているところがいくつもあります。
その過程で、演者の踊り込みが必要なのか、こちら制作者の再考・調整が必要なのか、常に考えながらブラッシュアップしていきたいですね!
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