第一生命 D.LEAGUE 23-24 ROUND.9!RAISERZとLUXが雨過天晴のスウィープ勝利!MVDはWILD TWIGGZ!
そんな説得力を随所に埋め込んだショーでぶつかり合ったのが6th MatchのBenefit one MONOLIZ VS SEGA SAMMY LUXだ。
MONOLIZは「女郎蜘蛛」をテーマに、WOMANSというチームからSPダンサー万葉を招聘。コンタクトまでこだわったメイクや衣装、糸を使った冒頭の演出、蜘蛛の巣のような照明と、とにかくテーマを深掘りし、一枚岩となり表現していく。
女郎蜘蛛は、女性に化けて人を襲う蜘蛛の妖怪。美しさとグロテスクさ、和の要素の演出に、音楽はROUND5でSPダンサーとして登場したSHIMIZUMASHもコラボし、独特の世界観をさらに強める最強の布陣だ。
また、女郎蜘蛛はメスの方がオスよりも大きく、迂闊に近づいたオスを食べてしまうという習性もある。男性メンバー主体で勝負を仕掛けることが多いLUXを意識したストーリーとしても十分な説得力だ。
対するLUXは履くと踊り出してしまう「ダンシングスニーカー」という作品を用意。手捌きに対して足捌き、対MONOLIZのために温めてきた作品だという。
シューズボックスを持っての登場は、新しい靴を買った時の独特のワクワク感をしっかりと表情で演出。入場からショーが始まっているように感じる。靴紐を結び、片足だけが暴走するCANDOOのマイムから、まさに足が音に合わせて暴走してしまうコミカルな作品。
よく見ると、足を踏むストンプの動きをした時だけ靴をコントロールできている。中盤のハーフビートで粘り腰のロールから大きなストンプを踏み、ステップをコントロールできるようになるという展開のようだ。
ハイスピードで駆け抜けているように見えるが、8ビート、16ビートと、最後に向けてどんどん加速していく構成で、ステップのシンクロと遊び心を維持し、今シーズンこだわりを見せる演技表現やキャラクター、スタイリッシュさなどもしっかりと伝えきってのスウィープ勝利となった。
難易度の高い照明を味方にして
ステージングが得意なチーム以外にも照明による効果的な演出にこだわるチームが増えてきた。しかし、照明が暗過ぎたり、照明の位置から一歩でもはみ出れば伝えたいことが伝わらず、世界観が崩れてしまう。
照明の効果的な使い方では他チームから群を抜くALT-RHYTHMは、KALMA、人の業をテーマに明暗を際立たせた作品でシーズン初勝利を手にした。ALT-RHYTHMらしくSPダンサーYutaka-Team Black Starzをセンターに据え、クイックモーションと天井からのサスと呼ばれる照明を巧みに駆使し、卵が孵化するような、植物が開花するような、人の業が成長していく抽象的な様を見事に表現した。
肌にオイルを塗り、繰り返しの動き、リズムをわざと少しずらし椅子に座るカノンなど不気味さを演出する。椅子の上に立つシーンでは真上からのサスに合わせて自然に椅子の位置をずらす技術など、一度見ただけではわからない細やかな調整が行われている。
D.LEAGUEは当日にリハーサルが行われるが、照明に合わせて踊れる回数は限られている。いかに照明に合わせて踊るかのノウハウもステージングの隠れた課題だ。
こうして得られた勝利は大きく、ランキングは大きく変動し、7位のチームが3チーム登場する結果になる。この3チームがトリックスターとして、ゲームチェンジャーとして、いかに残りの5試合を荒らすかで、CS進出への可能性がどのチームにも開かれる。各チームの進化を応援すると共に、D.LEAGUEを盛り上げることでより先進的な舞台装置が用意され、新たなダンスの舞台表現が現れる日にも期待したい。