第一生命 D.LEAGUE 23-24 ROUND.11!CyberAgent Legit がチャンピオンシップ進出確定のスウィープ勝利!RAISERZ、8ROCKSもスウィープ勝利。MVDはYU-KI。残り枠をかけた戦いはさらに熾烈に!

絆の力、応援の力

1st Matchの FULLCAST RAISERZ VS DYM MESSENGERSの試合ではFULLCAST RAISERZ がスウィープ勝利を収めた。開幕時から一緒に戦い、現在はRAG POUNDとして活躍するSoulja Twiggz”SHOOT” & Baby Twiggz”SHUN”がSPダンサーとして登場。日本を代表するKRUMP集団”Twiggz Fam”によるストレートKRUMPでの真っ向勝負に挑んだ。

楽曲は自分たちで用意しKILLA TWIGGZとSoulja Twiggzがラップを担当。それぞれのソロ、ハットトリック、大ジャンプ。説明不要の爆発力のオンパレードに、サイドフロートなど繊細な技もしっかり埋め込まれている。開幕1戦目にも関わらず横一列に並んでのラッシュで、これぞRAISERZと言わんばかりに客席のボルテージをあげていく。最後は絆を象徴するように拳を突き上げ、FAMとともに自分たちの原点にカム”バック”した姿を見せた。

KRUMPの文化では「FAM」という血のつながりを超えた絆を大事にしている。詳細な解説はKOB ent.のサイトなどを参考にしてほしいが、KRUMPを日本での一時のムーブメントで終わらせず、多くのストリートダンスに エレメントとして取り込ませ、今なお進化させ続けているRAISERZ。新体制となり、少数精鋭かつメンバーそれぞれ役割を持ち、しっかりと潜在能力を伸ばすために蒔いてきた種が、後半戦で開花してきた。

2nd MatchmのSEPTENI RAPTURES VS KADOKAWA DREAMSもお互いに真っ向勝負を挑む注目の一戦となった。RAPTURESは王の地位を奪う「簒奪」をスローガンに、昨シーズン王者KDに対して王座を奪いにかかる。入場からMiYUがステージに登り雄叫びをあげ、気合の入り方が伝わってくる。

ランキングのメタファーか、階段状になったオブジェクトに対して佇むMiYUから始まり、いつものスピード感に加え太い音どりとテクニカルなルーティンで魅せていく。雄叫び、リスキーなコンビネーションとアクロバット、ノンビートのシーンではMiYUが照明の中をゆっくり歩きアニメーションのようなスローアンドクイックでKDの得意な空間演出を完全にオマージュし、さらに頭一つ抜き出ようとする真っ向勝負だ。

今シーズン培ったフィジカルをしっかり見せつけながら、山場をさらに2ヶ所用意し、10分くらいの作品を見ているのかと錯覚してしまうほどの高い密度で、余韻まで含め高いポイントが期待できる構成力だ。

一方KDは阿波踊りで登場し、和テイストの作品を用意する。HINATA.Mがラップを加えた楽曲のリリックにも注目だ。

冒頭の10秒以上を贅沢に、行進だけに使うという構成で、世界観をしっかりと伝えてくる。衣装の編笠は、首の動きが効果的に見える分、頭のぶれが目立ってしまうリスクを背負う。首の動きのオンオフまでしっかり神経を使い、ボディコントロールとアイデア勝負が得意なRAPTURESを意識して、さらに頭一つ抜き出ようとする真っ向勝負だ。

クイックなルーティーン、4人での同時ロンダートバク宙、4連続バク転からフリーズと三点倒立、エアウォークと高難易度な技を魅せていく。

コンセプトの強いダンスは最後まで貫けるかが大きな採点要素となるが、最後のラッシュではしっかりと笛を和太鼓のばちとして使い、鈴の音でのスローモーションで余韻までみせきった。

どちらが勝ってもおかしくない熱のこもった勝負だが、KDがギリギリのところでオーディエンス票を獲得。まさにオーディエンスの力で勝利を手にした。KDの牙城はやはり強く、RAPTURESは一揆を成し遂げることはできなかった。

リスクを越えてKOSÉ 8ROCKS初のスウィープ勝利へ

D.LEAGUEの舞台には大きな2つのリスクが存在する。一つは大技やトリックをはじめとする振付が本番で成功するかどうかというリスク。もう一つは技の負担の大きさなどから怪我をしてしまうリスクだ。

ブレイキンをコアにする8ROCKSは常に両方のリスクに晒されながら、乗り越えてきた。アクロバットやパワームーブなど、集中力が切れると怪我のリスクが高まるため、練習の時も集中する時間とそうでない時間と、メリハリをつけているという。

今回はMONOLIZを相手に、メインディレクションをSHUVANが担当、SPダンサーに九州男児新鮮組からSO-TAを迎え「花火」をテーマにストレートなブレイキンを見せた。

打ち上げ花火の音に合わせ始まったショーは、職人顔のメンバーが華やかにパワームーブ、アクロバット、組み技を次々と繰り広げる。膝の赤いラインがアクセントとなり、見事に火花を表現し会場からは何度も感嘆の声が上がる。

九州男児ルーティーンと呼ばれる振り回し技も、SO-TAの登場で安定感を持って成功させた。着地位置に合わせて土台役が移動するなど細かな調整が行われていた。本人たちの解説動画もあるため、どれだけリスキーかをぜひ確かめてほしい。

純粋なパワーブレイキンのエンターテイメントを披露したが、昨シーズンから積み上げてきた歴史へのリスペクトも紐付き、ここ一番という攻撃力に昇華され、見事なスウィープ勝利へと繋がった。

また、今回I’moonに勝利したALT-RHYTHMも、確認しただけでも4パターンのリフトや抱え技をショーに盛り込みながら、全く負担があることを感じさせないハッピーな作品を展開した。人を抱え上げるリフトはかなり筋力を使うため、アクロバットとはまた違う故障のリスクが伴う。

のチームも成長や開拓を経てリスクのある技ができる人材がどんどん増えており、ノウハウのシェアも活発化しているようだ。

LegitがCSに進出し、CS進出は残り5枠となった。上位チームはさらにレギュラーシーズン優勝を巡って、リスクと完成度の高い作品を用意するチームが増えてくると予想される。

残り3試合、そしてCSや来シーズン以降も踊り続けられるよう、大きな怪我がないことを祈りながら応援し続けよう。

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