【レポート】SMALL優勝は「仙台城南高校」〜マイナビハイダンFINAL出場10チーム
広い空間と独自の審査システム
春に決勝戦が行われるダンス部大会といえば「マイナビHIGH SCHOOL DANCE COMPETITION」
通称「マイナビハイダン」で、世界最大のダンスの祭典「マイナビダンスアライブ」の中で決勝戦が開催される。
>>昨年のレポート投稿
会場は両国国技館、他のダンス部大会に比べてストリートカルチャー色が強いイベントで、豪華なショーアップやプロダンサーのパフォーマンスも魅力。
ダンスカルチャーを知らない学生にとってもいろんな面で楽しめるイベントで、予選を勝ち抜いた20チーム(SMALL/LARGE合計)の出場に絞られるために、観客も集中して各作品を楽むことができる。そう、「ダンスを楽しむ」ことに重きを置いたイベントなのだ。
決勝戦は、両国国技館の土俵の位置にある正方形のステージで、ほぼ全方位から視線が集まるカタチ。
さらに、天井も高いので、出場チームはこの3次元空間をどう活かすかがポイントと言える(同時に、出場者が感じるプレッシャーも独特のものだという)
また、この「マイナビハイダン」の最大の特徴がジャッジシステムだ。
1人のジャッジがいくつかの審査項目で点数を振り分けるのではなく、「項目別審査制」を取り、ジャッジごとに1つの項目を受け持つシステム。
・スキル
・クリエイション
・コレオグラフ
・ビジュアル
・完成度
という審査項目を10点満点で担当ジャッジが採点。その合計点で勝敗が決する。
昨年から採用されているこのジャッジシステムだが、予選の段階から強豪校が予選突破に苦しむなど、意外な展開の要因となっている。
本大会はいわゆるストリート系のコンテストで、ジャッジもその筋のダンサーが多いのだが、必ずしもストリート系のチームが有利なワケではない。
逆に、クリエイションやコレオグラフなどの得点が上がりやすいような表現に重きを置いたジャズ系のチームが予選を勝ち抜いている印象もある。
予選は東西各地区で何度か開催されるので、スケジュールと予算(エントリーフィー)が合えば、何度もトライできるのも本大会の特徴の1つだ(今期はエントリー多数のため、予選が多く追加された)。
では、4月14日に行なわれた「マイナビHIGH SCHOOL DANCE COMPETITION 2024 FINAL」の各チームの模様を見ていこう。
SMALL部門10チーム
まず2〜8名のSMALL部門10チームから。
Lil Garnet’s(北九州市立高等学校:福岡)
前日の敗者復活戦で勝ち残り決勝へ駆け込んだ、歴史の長いストリート系ダンス部。
オールジャンルをこなす幅の広さがあるが、今回は王道のソウルスタイルで勝負。
高校生離れした大人っぽい選曲・ムード・衣装が印象的だが、1曲使いによる展開の少なさが、得点に繋がらなかったか。
Stay dench!(大阪府立暁光高等学校)
近年で着実に実力を伸ばしている暁光高校。
2000年代のHIPHOPスタイルを彷彿とさせる、ストイックなムードと一貫したグルーヴ。
スタイルはアピールできたが、決勝で勝つにはより見せ場が必要だった。
チーム城南(仙台城南高等学校:宮城)
こちらもミドル系のHIPHOPだが、体の利き方が尋常でない。
ウェーブ、ステップ、ストップなどの重さとキレに相当の練習量を感じさせる。
音取りやムード、終盤の構成もスキがなく、王道ストリートダンスの真髄を見せた。
Venus Carat(山村国際高等学校:埼玉)
昨年からインパクトを残していたフラメンコ風の作品。
同校ならではの世界観作りと高い表現力で、ステージに真紅の花を咲かせた。
Da luce(大商学園高等学校:大阪)
大胆なモノトーン衣装にソウルフルな選曲。
構成もメンバーの表情も華やかで多彩。
ただ、広い空間を支配するまでのスキルとスケールに足りなかったか。