ケンドリック・ラマーVSドレイクは歴史的な特大ビーフに!経緯まとめと見どころ

ケンドリック・ラマーとドレイクの長年にわたるビーフ(対立)を解説。2011年から現在までの主要な事件と対立の背景を詳述し、その見どころと影響を探ります。

ケンドリック・ラマーとドレイクは、現代ヒップホップ界を代表する2人のラッパーです。しかし、彼らの間には長年にわたる激しいビーフ(対立)が存在します。

本記事では、この歴史的なビーフの経緯と見どころを紹介。2011年の交流から始まった二人の関係と、現在まで続くこの対立の背景や主要な事件を時系列で詳しく解説し、ラップバトルの魅力とその影響について掘り下げます。

ヒップホップ界の大物同士の壮絶な争いの概要を見ていきましょう。

  1. ケンドリック・ラマーとは
  2. ドレイクのプロフィール
    1. 代表曲
  3. 時系列で整理
    1. バトルのきっかけ
    2. 2011-2013: ビーフ以前/友情と初期の対立
    3. 2013-2016: 相互のディス
    4. 2023-2024: 再燃したビーフ
    5. 2024年5月のディス合戦
    6. ビーフが原因? 銃撃事件にまで発展か
  4. 結び

ケンドリック・ラマーとは


ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar、本名:ケンドリック・ラマー・ダックワース、1987年6月17日生まれ)は、カリフォルニア州コンプトン出身のラッパー、ソングライター、音楽プロデューサー。彼の音楽は社会問題や個人的な経験に根ざし、深いリリカルな内容と独特のフローで知られています。

ラマーは2003年にK.Dotという名でデビューし、徐々に注目を集めました。2011年にリリースされたアルバム『Section.80』で一躍注目を浴び、その後の『good kid, m.A.A.d city』(2012)は批評家からも高く評価され、商業的にも成功しました。

2015年の『To Pimp a Butterfly』はジャズ、ファンク、ソウルの影響を受けた革新的な作品で、グラミー賞を受賞。2017年の『DAMN.』ではさらに成功を収め、ピューリッツァー賞 音楽部門を受賞するなど、音楽史に残る功績を残しています。

彼の作品は、社会的正義、自己認識、精神的な問題をテーマにしており、リリカルな深さと音楽的な多様性で聴衆を魅了し続けています。ケンドリック・ラマーは現代ヒップホップを代表するアーティストとして、今後もさらなる革新を期待されているアーティストです。

ケンドリック・ラマーの名曲20曲を紹介した記事もあるので、ぜひご覧ください!
ケンドリック・ラマーのプロフィールと絶対外せない名曲20選を紹介

ドレイクのプロフィール


ドレイク(Drake、本名:オーブリー・ドレイク・グラハム、1986年10月24日生まれ)は、カナダ・トロント出身のラッパー、シンガー、ソングライター、俳優。深みのある感情的な歌詞と独特の音楽スタイルで知られており、ヒップホップ界で大きな影響力を持つアーティストの一人です。

ドレイクは、2000年代後半にカナダのテレビドラマ「デグラッシ: ネクスト・ジェネレーション」で俳優としてキャリアをスタートしました。その後、2009年にリリースしたミックステープ「So Far Gone」で音楽業界に本格的に進出し、一躍人気に。このミックステープは批評家から高く評価され、彼のキャリアを飛躍させるきっかけとなりました。

2010年にデビューアルバム「Thank Me Later」をリリースし、ビルボード200チャートで1位を獲得。その後も、「Take Care」(2011)、「Nothing Was the Same」(2013)、「Views」(2016)、「Scorpion」(2018)などのアルバムを次々と発表し、いずれも商業的に大成功を収めました。特に「Take Care」はグラミー賞のベストラップアルバム賞を受賞しました。

ドレイクは多才さと革新性で知られ、音楽だけでなくファッションやビジネスの分野でも成功を収めています。また自身の音楽のみならず、数多くのアーティストとのコラボレーションを通じて、人気を集めています。

全身タトゥーのビジュアルに代表される強烈な個性、それと相反するクールなヴォーカルとキュートな美貌というアンヴィバレントな魅力を合わせ持つドレイクは、現代を代表するスターの一人として大きな注目を集めています。

ドレイクの代表曲

Hotline Bling

One Dance

God’s Plan

二人の関係を時系列で整理

バトルのきっかけ

ケンドリック・ラマーとドレイクのビーフの始まりは、2013年にケンドリックがビッグ・ショーンの曲「Control」でラップ界の同業者を名指しで挑発したことに遡ります。

この曲でケンドリックは「I got love for you all, but I’m trying to murder you n—as(みんなをリスペクトしてるけど、お前らを打ち負かしてやるつもりだ)」と発言し、ドレイクやJ.コール、ミーク・ミルなどを含む複数のラッパーを挑発しました。

ドレイクはこれに対して特に強い反応を見せず、「ambitious thought(野心的な考えだ)」として受け流しましたが、その後も二人の間には緊張が続きました。

Control (feat. Kendrick Lamar, Big Sean & Jay Electronica)

2011-2013: ビーフ以前/友情と初期の対立

2011年11月: ドレイクのアルバム『Take Care』にケンドリックが参加し、「Buried Alive Interlude」で共演。この時点では友好的な関係が築かれていました。

2012年2月: ドレイクはケンドリックを自身の「Club Paradise Tour」のオープニングアクトとして招待。ケンドリックはこのツアーで注目を浴び、その後のキャリアに弾みをつけました。

2013年10月: A$APロッキーの「F—in’ Problems」にドレイクとケンドリックが共演。さらに、ケンドリックのアルバム『good kid, m.A.A.d city』ではドレイクが「Poetic Justice」に参加しました。

A$AP ROCKY – F**kin’ Problems ft. Drake, 2 Chainz, Kendrick Lamar

Kendrick Lamar – Poetic Justice (Explicit) ft. Drake

しかし、その後の「Control」でのケンドリックの挑発により、二人の関係は緊張を孕むものに。

2013-2016: 相互のディス

2013年10月: BETヒップホップアワードのサイファーでケンドリックは「Nothing’s been the same since they dropped ‘Control’(『Control』がドロップして以来、何も変わっていない)」とドレイクを再び挑発。

2013年12月: ドレイクはVIBEマガジンのインタビューで、ケンドリックの「Control」に対する自分の立場を明確にし、自分の地位を守る意図を示しました。

2015-2016年: ケンドリックは「King Kunta」でゴーストライター問題を暗に批判し、ドレイクは「100」でこれに応答。ドレイクとケンドリックの間で小さなディスの応酬が続きましたが、大きな衝突には至りませんでした。

Kendrick Lamar – King Kunta

The Game – 100 ft. Drake

2023-2024: 再燃したビーフ

2023年10月: ドレイクとJ.コールが「First Person Shooter」をリリース。J.コールがドレイクとケンドリックを「ビッグスリー」と称賛する歌詞に対して、ケンドリックは「Motherf— the big three, it’s just big me(ビッグスリーなんてクソくらえ、俺だけがビッグなんだ)」と反応。

Drake – First Person Shooter ft. J. Cole

2024年3月22日: ケンドリックがFutureとMetro Boominのアルバム『We Don’t Trust You』に参加し、「Like That」でドレイクを名指しで非難。この曲でケンドリックは「First Person Shooter」に対する応答として、ドレイクを激しく批判しました。

2024年3月24日: ドレイクはフロリダ州サンライズでのコンサートでケンドリックへの言及を行い、自身の立場を強調しました。

2024年4月: ドレイクは「Push Ups」および「Taylor Made Freestyle」で応答。前者ではケンドリックのビジネス関係や小柄な体格を攻撃し、後者ではAIを使って2Pacやスヌープ・ドッグの声でラップをさせるという挑発行為を行いました。これにより、2Pacの遺産管理団体から法的な抗議を受けました。

Drake – Push Ups

Drake – Taylor Made Freestyle

2024年5月のディス合戦

2024年4月30日: ケンドリックが「Euphoria」をリリース。ドレイクを「pathetic master manipulator(哀れな大操縦者)」や「habitual liar(常習的な嘘つき)」と非難し、ドレイクのヒップホップの資格を疑問視する内容となりました。

Kendrick Lamar – euphoria

2024年5月3日: ケンドリックは「6:16 in LA」をリリースし、ドレイクの仲間に対する疑念を植え付ける内容を含むディストラックを発表。同日、ドレイクは「Family Matters」で応答し、ケンドリックの私生活や家族に対する攻撃を展開しました。

Kendrick Lamar – 6:16 IN LA

DRAKE – FAMILY MATTERS

2024年5月4日: ケンドリックは「Meet the Grahams」でドレイクの家族に関するさらなる暴露を行い、ドレイクの疑惑や個人的な問題を掘り下げました。また、同日中に「Not Like Us」をリリースし、軽快なビートに乗せたディストラックを追加で発表しました。

Kendrick Lamar – meet the grahams

Not Like Us

2024年5月5日: ドレイクは「The Heart Part 6」で応答し、ケンドリックの攻撃に対する反論を展開しました。

DRAKE – THE HEART PART 6

ビーフが原因? 銃撃事件にまで発展か

2024年5月7日、トロントの高級住宅街ブライドル・パスにあるドレイクの邸宅の外で銃撃事件が発生しました。事件は午前2時ごろに起き、ドレイクのセキュリティチームのメンバーが複数回撃たれ、胸部を含む複数の銃創を負って重体となっています。

警察はこの事件がドライブバイ・シューティング(車両に乗ったままの状態で発砲する犯罪行為)であったと見ており、現場から逃走した車両の特定を進めています。

トロント警察のポール・クラウチック警視によると、事件のビデオ映像が回収されており、警察は現在その映像を分析中。ドレイク本人が事件当時邸宅にいたかどうかは確認されていませんが、ドレイクのチームは捜査に協力しているとのことです。

この銃撃事件が最近のドレイクとケンドリック・ラマーのビーフに関連しているかどうかについては、現時点では動機が不明であるため、警察はコメントを控えています。しかし、ドレイクとラマーの間の緊張が高まっている中での出来事であるため、関連性が疑われているようです。

おわりに

ケンドリック・ラマーとドレイクのビーフについてをお送りしました。

互いに高いスキルを持つラッパー同士の壮絶なディス合戦は、ファンやメディアを巻き込み、大きな話題となっています。今後の展開にも注目が集まる中、このビーフが両者のキャリアにどのような影響を与えるかが注目されます。

いずれにせよ、今回のビーフはヒップホップ史に残る特大ビーフとして記憶されるでしょう。

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