クラブとダンスホールは違う!?NOON事件に関わる弁護士、NONman氏(一撃)からコメントが、、、

先日、dewsが引用した「 風営法のブログ記事」に対して、ある人物からコメントが届いた。 「ダンサーのみなさんが判決を誤って理解してしまうおそれがある。みなさんに正確に理解していただくためにもコメントしたい」と。 NOON事件に弁護士として関わるっている、関西を代表するブレイクチーム「一撃」のNONman氏からだ。

先日、dewsが引用した「 風営法のブログ記事」(風営法はなぜ「ダンス」を規制したのか)に対して、ある人物からコメントが届いた。
「ダンサーのみなさんが判決を誤って理解してしまうおそれがある。みなさんに正確に理解していただくためにもコメントしたい」と。
NOON事件に弁護士として関わっている、関西を代表するブレイクチーム「一撃」のNONman氏からだ。
コメントは、主に以下の2点。

1.ブログ記事がクラブとダンスホールとを同列に論じている点で、誤解を生じさせうる。

「ブログ記事に挙げられている4号営業(風営法2条1項4号)とは『ダンス』営業、つまりダンスホールを想定したものです。
一方、所謂クラブは、3号営業(同法2条1項3号)、『ダンス+飲食』営業として想定されています。でクラブの問題を論じるのであれば、『3号』営業の問題として論じる必要があり、3号営業の公式見解も示していただきたかったです。
ちなみに、3号営業に関する警察庁の見解としては、警察庁生活安全局保安課長による平成24年12月17日付「客にダンスをさせる営業に係る質疑応答について」(警察庁丁保発第1 8 8 号)が参考になります。同見解の中では、『風営法第2条第1項第3号に掲げる「ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(第一号に該当する営業を除く。)」(以下「3号営業」という。)については、4号営業と異なり、「客にダンスをさせ」ることに加えて、「客に飲食をさせる」ことを伴うものであり、このため、4号営業よりも享楽的雰囲気が過度にわたり風俗上の問題等を生じさせるおそれが大きいことから、ペアダンスをさせるものはもとより、ペアダンス以外のダンスをさせるものであっても、なお所要の規制を行い、各種弊害を防止する必要がある。実際に、風営法の規制に違反して営まれている3号営業の状況をみると、ペアダンスをさせているものではなくても、店内外における暴行・傷害事案等が発生したり、周辺住民等からの騒音や酔客による迷惑行為等の苦情が警察に寄せられたりするなど、善良の風俗等を害し、各種問題を起こしている実態がある。したがって、ペアダンス以外のダンスをさせるものであっても、併せて客に飲食をさせる営業については、3号営業として規制対象となる。ただし、外形的には「設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業」に当たる営業であっても、当該営業の実態に照らして明らかに「享楽的雰囲気が過度にわたり風俗上の問題等を生じさせるおそれがある」とは認められないものについては、3号営業としての規制の対象とならないものと解される(例えば、食事付きの盆踊り体験プログラム)。』とされています。
つまり、警察庁は、クラブに対してはより厳しい制限をかけるべし、と考えているわけです」

クラブとダンスホールとは別の規制にかかりうること等、知らない方も多いのではないか。我々としても、より風営法の理解を深める必要があるかもしれない。

2.NOONの控訴審判決の判断について誤った理解がされかねない。

「ブログ記事では、あたかも控訴審判決が、『クラブがいつも混んでいて、「客同士が体を触れ合わせて踊る状態であった」ならば、風営法に違反』すると判断するかのように読めるため、誤った理解が生じてしまう可能性があると感じました。
実際には、控訴審判決は、「風営法2条1項3号にいう「ダンス」とは,男女が組になり,かつ,身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスを指す」としています。
加えて、この判断に至る過程では、「客の密集度」等を基準にする解釈を「採ることはできない」とされています。つまり、控訴審判決は、クラブが混んでいて「客同士が身体を触れ合わせて踊る状態である」かどうかは、3号営業のダンスに該当するか否かの基準とは考えていないのです。
このような控訴審判決の判断枠組に従えば、我々のシーンでよく利用される一般的なクラブは、客が密集していようがいまいが、風営法の3号営業に該当しないといえるでしょう。
もっとも、控訴審判決はまだ確定していませんので(1月30日現在)、検察官が上告して、最高裁で争う事になれば、また違った判断基準が示されるかもしれません。」

こうしてみると、確かに実際の裁判の判断は、ブログ記事上の判決内容とは違うように読める。
裁判所が、時代の流れを理解して、ダンスの変容や価値を理解してくれたとすれば、我々としても嬉しい限りだ。今後の裁判の行方にも注目したいところだ。

NONman氏は、最後に、今回のブログ記事に関して、
「このように発信力の高い弁護士の先生が、風営法やNOON事件に関して記事をアップされることで、一般の方々や多くのダンサーの目に触れ、世の注目が集まることはとっても有り難いことです。」
という肯定的なコメントを寄せつつも、
「ただ、この件に関わらず、ブログやSNS等にアップされる情報を鵜呑みにするのではなく、自分でしっかり咀嚼することが必要だと思います。それは、情報が溢れるダンスシーンでも同じだと思っています。これから我々に必要なのは、本当にリアルで間違いのない確かな情報を、しっかりと選別して、受け取る力だと思います」
と締めくくってくれた。

我々自身も、ダンスメディアとして、情報を受け取り発信するのではなく、受け取った情報をしっかりと選別、咀嚼する必要があると、改めて考えさせられた。

NONman氏には、今後も、随時、風営法関連についてコメントをいただこうと思う。


NONman
本名:石垣元庸
BOTY2005 準優勝&BESTSHOW獲得等、2000年初頭に活躍した関西を代表するブレイクチーム「一撃」のメンバー。
2010年には司法試験に合格し、現在は弁護士としても活動中。

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