イベントのための初級チラシデザイン講座

今回のコラムは、趣向を変えてデザイン講座です。 チラシやポスターを自分でデザインしたことのある人は多いと思います。そして中には、「時間がかかった割にイマイチな出来だった」という経験のある方もいるのではないでしょうか? 今回は知っているとチラシが速くキレイに仕上がる、ちょっとしたデザインのコツをお届けします。


今回のコラムは、趣向を変えてデザイン講座です。
チラシやポスターを自分でデザインしたことのある人は多いと思います。そして中には、「時間がかかった割にイマイチな出来だった」という経験のある方もいるのではないでしょうか?
今回は知っているとチラシが速くキレイに仕上がる、ちょっとしたデザインのコツをお届けします。ダンスイベントのチラシを例にしていますが、職場や学校でのプレゼンスライドの制作などにも応用ができます。ぜひ、実践してみてください。


ここに2枚のチラシがあります。

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「Before」は、良くないデザインです。せっかく後ろの写真はかっこいいのに、何となく全体的にごちゃごちゃして安っぽい印象を受けます。「After」は手直ししたデザインです。こちらの方がすっきりと整っています。Beforeは何がどうしてダメなのでしょうか? 以下の点にポイントを置いて解説します。

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その1 部屋もデザインも整理整頓が大事!レイアウトは揃っていますか?

Beforeのチラシは、文章や地図などのパーツを置く位置が良くありませんでした。では、どこに置けばよかったのでしょうか?
ここで漫画をイメージしてみましょう。漫画のページは、上下左右に余白(マージン)があり、内枠があり、内枠の中にコマが割られています。チラシもこれと同じで、紙面に内枠があると仮定し、その中にパーツをはみ出さずに置いていくと、スッキリと整って見えます。(この内枠のことを専門的には「版面」といいますが、この記事では便宜上「内枠」と呼び続けます)。Adobe Illustratorなどを使う場合は内枠をガイドで作成しておくと作業がしやすいでしょう。

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ちなみに、Afterではそれぞれのパーツの上下左右どこかが、内枠に接するように置いています。

内枠の中は部屋のようなもの。部屋にとって良い家具の配置は、壁に沿って機能的に家具を置き、デッドスペースは作らず、部屋の中央にまとまった空間が確保されている状態です。
紙面もそれと同じです。パーツを内枠に沿って置くと、位置が揃って見え、紙面が整っているように見えます。デッドスペースもできず、スッキリした印象になります。Beforeはデッドスペースがたくさんできていました。

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デザインにもよりますが、できるだけバーツを内枠のラインに接するように置くだけで、かなりチラシが整理整頓されて見えます。ぜひ試してみてください。

その2 あるべき物を、あるべき場所に!その場所合ってますか?

他の視点からパーツを置く位置を考えていきましょう。
ここでのポイントは、目に入る順番を考えることと、パーツとパーツの関係を考えることです。
では「関係」とは何でしょうか?
例えば、Beforeのチラシでは、日時【20XX.X.X(SUN) 14:00~】と会場場所【@サンシティ・イヨン内噴水広場】が離れたところに置かれています。ですが、日時と場所は一般的にワンセットの場合が多く関係が強いもの。近くに置いた方が見る人にわかりやすくなります。

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また、会場場所と賞金額【賞金10万円】が近い場所に置いてありますが、Afterでは「金額つながり」ということで、賞金額はエントリー費・観戦費と近い場所に置きました。

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このように、適当にパーツを置くのでなく、それぞれのパーツの持つ情報や意味を考えて、関係の強いもの同士を近くに置くことで、論理的に置く場所が決められます。その上、見る人にとっても内容が頭に入りやすいチラシになります。

さらに、チラシをぱっと見たときに、パーツが目に入ってくる順番も大切です。
Afterはまずイベント名【MOVE】が目に入り、続いて日時・会場場所、説明文、賞金やエントリー費、地図、下部のコピーという流れで視線がスムースに移動します。
一方Beforeは、最初に下部の枠で囲まれたコピーに目がいくような……、最初にイベント名【MOVE】に目がいき、続いて地図へと視線が動くような……、はっきりとした視線の動線がありません。これは良くありません。

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結局今回のチラシでは、Afterのように修正しています。
しかし、視線が動く順番はそのチラシが何を伝えたいかによって変わりますので、実際にチラシを作るときには応用をきかせましょう。
例えば、初開催で知名度は低いイベントだけど、優勝賞金が破格の100万円でそれが売りであれば、「100万円」を目立たせて、一番最初に視線がそこに行くようにしてもいいわけです。
チラシを作る人は、伝えたいことの優先順位やイベントの売りをあらかじめ自分の中で整理しておくと、レイアウトが効率よく決まっていきます。後はその順番に視線が動くようにパーツを紙面に置けばいいだけですから。

その3 読んでもらうことに意義がある!その文字、読みやすいですか?
ここでちょっと細部に目を向けて、文字について考えてみましょう。
デザインの経験値が出やすいのがこの文字の部分です。チラシが何だか間の抜けたものになってしまう場合、書式設定に原因がある場合も多いです。

例えば行間。一般的に、行間は文字サイズの75%を目安に、50%~100%くらいの間で調節すると良いと言われています。Beforeのチラシの説明文は、やや行間が広いかなと思います。
では「調節する」とは、何をどう調節すればいいのでしょうか?
手がかりは行長です。
下の図はすべて行間75%です。(文字サイズ20pt、行間15ptで打ったものを画像にして適当に縮小して貼っています)しかし、左の行が短い方が行間が広く見えます。反対に、右の行が長い方は、行間が狭く感じるでしょう。

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一般的に行長が短い場合は、行間を少し狭くした方がまとまりが出て読みやすくなります。逆に行長が長い場合は、行間を広くした方が余裕が出て読みやすくなります。

ここでは「○○%」と数字を出して説明しましたが、数字が苦手な方も、
行長が短い→行間は狭く
行長が長い→行間は広く
という法則を覚えておいて、自分が作った物がしっくりこないと感じたら、見直してみましょう。

また、Beforeでは、説明文の文字に変形をかけています。これも読みにくくなる原因の一つです。
フォントは一部の特別な物を除いて、変形をかけずに100%の状態で打ったときに一番美しく読みやすくなるよう、デザイナーが一文字一文字デザインしています。人物写真の縦横比を変えると不自然に見えるように、文字の縦横比を変えることも本来とても不自然なことなのです。

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その4 視線を引きつけろ!メリハリはついていますか?

Beforeのチラシは、メリハリが無く平たんな印象を受けます。原因の一つは、使用しているフォントの太さが適切でないことです。
Beforeは、WindowsにインストールされていることでおなじみのMS Pゴシックの1書体のみで作っています。Afterは、太さの違うフォントをいくつか使って作っています。MS Pゴシック自体に罪はありませんが、Afterの方がイベントタイトルがしっかり目立ち、チラシに全体にメリハリが出ています。

基本原則は大きい文字は太いフォント、小さい文字は細いフォントにすること。これで随分メリハリがつきます。

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パソコンにインストールされているフォントだけを使おうとすると、どうしても種類に限界があるので、場合によってはフォントを購入することをオススメします。ダンスイベントの場合、イベント名や出演者名などは英語のケースが多いと思いますが、日本語フォントと比べて欧文フォント(アルファベットのフォント)は良いフォントが手頃な価格で手に入ります。
周りの人間が持っていないフォントを入手することは、オリジナリティのあるクオリティの高いデザインを作ることにもつながります。

ところでBeforeでは、下部のコピーを目立たせてメリハリをつけるため枠で囲っています。「目立たせるために枠をつける」というのは手作りのチラシでよく見るパターンですが、野暮ったくなる原因になるので注意しましょう。
文章も「世界に出るチャンスと、スポンサー企業による豪華特典を手にしましょう!」と、ダラダラ長く作文のようです。Afterでは文章を短くし、文字の並びにも手を加えました。

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文字は盲点になりがちですが、ちょっと手を加えるだけで随分仕上がりが変わってくるので、いろいろ試してみると楽しい部分でもあります。


以上、初心者向けにデザイン講座をお届けしました。デザインはセンスがすべてと思われがちですが、ちょっとしたコツを知っているだけで、誰でもある程度の物を作ることができます。
チラシはあくまで宣伝のための物。大切なのはイベントそのものです。チラシはコツをおさえて効率よく早めに作り、その他の準備にじっくりと余裕を持って取り組めるといいですね。

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