スタジオ経営者必読!「DANCE ALIVE HERO’S 2017」最高の裏方、MC You-GeeにDewsライターshowgoが密着&インタビュー!

showgoです。昔は三重県にいました。東海のいろんなダンサーの先輩方にお世話になりました。

showgo

今回は一番肉厚な密着&インタビュー記事になりました。全国の指導者、スタジオ経営者の方などぜひ最後までお読みください。

ダンスイベントの主役はダンサーですがオーガナイザやDJ、MC、PA、照明さんなどの働きも忘れてはいけません。舞台は多くの人の力でつくられています。

選曲にしても、DJ MATSU君やHIROKING君をはじめ、多くのDJたちがこの場を盛り上げようとものすごく悩みぬいて熱い選曲をしてくれました。

dj matsu dj kaz dj hiroking

そして今回フィーチャーするのは、10年以上前、DANCE ALIVE HERO’SがDANCE@LIVEだった時代から、そしてバトルイベントのMCなんて概念がなかった時代から、陰ながらdance@liveシリーズ(以下アライブ)を司会として支えてきたMC You-Geeさん。

アライブにおいて各バトルがアカデミー作品賞であるならばYou-Geeさんは間違いなく助演男優賞でしょう。実は古くから主催イベントに出てもらうなどお世話になっている方の一人なのですが、彼もダンサーとして一流なだけでなく相当な実績、そしてその一番の特徴といえば「聴きながらエネルギーをもらえる声」です。あの陽気な舞台MCは何者なのか、今回はそこに迫っていこうと思います。

MC CHIGUSAが最高のナレーションを、梅棒IMAGINEが最高のストーリーテラーを、そしてMC You-Geeが最高の舞台進行を、今年のアライブMAIN STAGEもこうした最高の布陣で行われ、かなり盛り上がりました。

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特に決勝では、適度な緊張感の中で、ダンサーがお互い最高のムーブを出し切って最高のバトルになるように、テンションコントロールにものすごく気を遣いながら、リングを真剣に見つめていました。

MC You-Gee 名古屋での実績

実はYou-Geeさん、1999年にBeeperというチームで、日本最高峰のダンスコンテストJAPAN DANCE DELIGHTで FINALISTになっています。その後も名古屋で若手の登竜門コンテスト、トライマッチの主催や、「マタアイマショウ」で一躍有名になったアーティストSEAMOのサポートMCとしてライブでも活躍。日清カップヌードルのCMソング提供など実はラップやビートボックスもできるんです。

また、テレビやラジオ番組のMC、DJの世界最高峰の大会DMC JAPANのMCもこなし、東海の重要人物たちを集めたSPXというプロジェクトでダンス、ラップ、DJでの革新的なライブパフォーマンスに挑戦していた時期もありました。今は愛知県は半田でStudio Uというダンススタジオを経営し、そこから全国、世界へと出ていくキッズダンサーの教育をしっかり行っています。

2012年NYのStep Ya Game Upにて大人も倒し準決勝まで勝ち進んだ10歳のキッズダンサーはYou-Geeさんの教え子なのです。その動画は感動を呼び、世界で320万回再生を突破しています。

JDDに一緒に出たYou-Geeさんの師匠のKATSUさん(Beeper/MASH BRUSH)は、東海HIPHOP界の父と呼ばれ、ただダンスで新しいことをやるだけでなく、ダンスイベントがあれば必ず顔を出し、自分の携帯電話の電話帳がパンクしても若手からベテランダンサーまで顔や名前をしっかり覚え連絡先をメモし、イベント情報や出演依頼を頻繁にメッセージしてくれたり、親身になって相談に乗ったりしてくれました。

KATSUさんが育てたプロダンサーも各地で活躍しています。KATSUさんが長年続けてきたTOSS IT UPというイベントは、そうした多くのダンサー同志の交流を産み、名古屋・東海のシーンの土台を築いた一人として、多くのダンサーに親しまれていました。

yougeeandkatsu

しかし、ある日、東海に激震が走ります。KATSUさんが亡くなったというのです。最初は半信半疑だったのですが、ネットでKATSUさんの弟子筋のダンサーたちが次々に追悼の文章を公開することで、現実なのだと実感しました。

可愛がってもらっていたダンサーでさえ、かなりの悲しみでした。ましてや弟子の人たちがどれだけ悲しんだことでしょう。一番弟子であるYou-Geeさんも相当なショックだったと想像します。KATSUさんに対し、この人のようになりたい!と踊りから音楽から食うものまで一日中張り付いてチェックして真似して、と熱狂的に師事した時期があったそうです。こうした経験から、You-Geeさんはキッズダンサーや教え子たちに語ります。

「俺は、師匠を亡くして、いま感謝を伝えようと思っても、不満を伝えようと思っても、それができない。君たちは、隣に仲間がいるのに、なぜ本音で接しないのか。

困っている人がいたら困ってると声をあげて、助ける力があるやつはそれを助けてあげる。いやだと思ったことがあったらちゃんと声に出して伝えてどう変えればお互いに気持ちがいいか、一緒に考える。

ダンスがわからない新しい子がいて、自分が知ってたら教えてあげればいい。ここに来たってことは、みんな仲間なんだから。」

教育現場では見落とされがちですが、しっかりとまず居場所をつくることは非常に重要です。恥ずかしがったり遠慮をしない空気をつくり、そんな中で子供たちに感じたことをコミュニケーションし表現してもらう。ダンス以上に表現者として、生き方として大切なことをYou-Geeさんは伝えます。

さらに話を聞くと、筋トレやレクリエーションも含め、特殊な指導「強化」は基本5時間、さらに長い時は15時間!!踊っているとのこと。スタジオに来た子達から自発的に荷物を置いて数キロのランニング、筋トレといったウォームアップを始めるそうです。それはもうレッスンではなく合宿ですね。笑

そうした雰囲気のスタジオなので、同じKATSUさんの弟子筋のダンサーがやっているスタジオで、スキルがあるのにくすぶっている子供をYou-Geeさんのもとへ送ると、人が変わったようにちゃんと自分を出して踊るようになって帰ってくるそうです。こうしたメソッドについて写真や動画を織り交ぜ話していたところ、韓国から来ていた審査員Iam1Gは驚き、ぜひ韓国に来てくれ、とYou-Geeにラブコールを送っていました。

アライブに大きな影響を与えたMC You-Geeの好奇心

アフターパーティでそんなYou-Geeさんに話を聞くことができました。

showgo
You-Geeさん、今日もMC超よかったです。Keep on!Keep on!って掛け声とか、短い実況からの、チェーンジ!って掛け声とか、さりげなく韻を踏みながらものすごくいいタイミングで声をかけるな、という印象でした。

You-Gee
いやー、こうしてまたshowgoと一緒に仕事ができるなんて嬉しいよ、ありがとう!実況にも実はいろんな苦労や工夫が必要で、例えばフリーズするときのような音ハメ、キメ音と自分の声が被らないようにしないといけない。
また、ダンサーはあとどれくらい踊れるかわからないから残り時間を伝えたい、でもダンサーが得意のムーブで会場が沸いているときにMCを入れてはいけないから、少しずらして時間を伝えることになってしまう。
ここはジレンマだしそんなことを常に考えながらダンサー、会場を見て頭をフルに使ってMCしているよ。あとすんなり心に入ってくる言葉として韻を踏んでの言い回しを使ったのは元ラッパーだからかな(笑)。

showgo
今日のバトルを見て、印象に残ったバトルやダンサーはいましたか?

You-Gee
まず前提として、MCの仕事はどのダンサーにも感情移入せずに、イベントを盛り上げながらスムーズに進行することなんだよね。ダンサーがバトルで相手と戦ってる間に俺ら裏方は全力でイベントの成功のために色んなものと戦ってる。だから純粋に全てのダンスをジャッジやお客さんのように楽しんでみていられないんだ。だからもちろん見逃してるいるシーンもあるし全てをくまなくダンスのみを楽しむ事はできないんだ。
だけど今年のバトルは本当に熱いものが多くて、特に自分はダンスが好きだからこそ、ダンスと真正面で向き合うと鳥肌が立ったり思わず目頭が熱くなったり涙して、気絶するかもしれない位全部持っていかれそうだった。ダンスに愛があればあるほど潰される。何も喋れない(笑)。
特にアライブはあの舞台の上にすごいパワーが渦巻いていてうごめいてて、それに10000人以上の熱視線が注がれている。
俺が全うしなきゃいけない仕事はお客様を盛り上げ、ダンサーを気持ちよく踊らせて進行をスムーズに出来ること、そのために冷静でいなきゃならない。これがマスト。だから走り回って全部の試合や名場面を見れた訳じゃないんだ。全てのダンサーの良さは見ているけどけどね。
色々良いダンサーはいたよ。そんな中で一番雰囲気やキャラクターが好きだったのはWASEDA BREAKERSのAZUMA君だね。世界的なチームとして超伝統のあるWASEDA BREAKERSの名前を受け継ぎ、1988と書いたTシャツを着て踊っている姿に背負ってるものや背景が見えたときに少しうれしくなってしまったよ。あの独特MAD感、空気感、俺は好きだった。

そんなYou-Geeさん、DANCE@LIVEのMCを務めることになったのは、代表のカリスマカンタローと共通の友人を通じて出会い、ドライブ中にカリスマにスカウトされてアライブMCを引き受けたといいます。
「最初馴れ馴れしくて何だこいつ、と思ったよ笑 でもそういう変わった奴、大好きだからさ。熱いものもってるのも感じたし、協力していきたいと思ったんだよね。」
大阪でTHE GAMEというニュースクールのモンスターバトルイベントがめちゃくちゃ盛り上がっていたさなか、東京でも六本木コアというクラブでひっそりとアライブによる革命が起き始めていたのです。ちなみに蛇足ですが僕は当時コアのアライブにも参戦していました。ガチガチに緊張していましたが、You-GeeさんのMCのおかげで緊張がほぐれたのを覚えています。
今や一般的になっていますが、ジャッジの時の掛け声「3,2,1、ジャッジ!」という掛け声はYou-Geeさんがジャッジのタイミングを合わせるために考え、カウントダウン方式で実験してみたそうです。

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