ロシアのバレエダンサーは30代で年金がもらえる!国の制度や歴史を解説

日本とは大きく違う海外のバレエ事情。 バレエの歴史が長いロシアは、数々の名門が存在し、国の制度や待遇なども日本と全く異なります。 当記事では、そんなロシアのバレエを歴史から現状までを解説します。


ロシアバレエの特徴とは?

バレエ先進国といわれるロシアには、バレエ団やバレエ・アカデミーがいくつも存在します。それでは、それぞれのバレエメソッドの違いをイメージしやすいように、動画を見ながら解説していきます。

ロシアの国立バレエアカデミー

ロシアには、世界的にも有名なバレエアカデミーがあります。バレエ団はもとよりバレエアカデミーに入ることは非常に難しく、選ばれた者のみ入学を許される狭き門なのです。

・ボリショイ・バレエアカデミー(モスクワ国立舞踊アカデミー)

ボリショイ・バレエアカデミー(正式にはモスクワ国立舞踊アカデミーという)とは、ロシアの国立バレエアカデミーです。

モスクワ孤児養育院の一部として設立された学校では、国家に奉仕することを目的に様々な科目を教えられました。そのなかには舞踏会への参加も入っていたため、孤児たちはダンスの練習にも精を出しました。その結果、極めて優秀なダンサーだと認められた最初の卒業生たちがボリショイ劇場に招かれたことがきっかけとなり、孤児養育院の一部として設立された学校はボリショイ・バレエアカデミーとして生まれ変わったのです。

・ワガノワ・バレエ・アカデミー

ロシアバレエといえば、まず「ワガノワ・メソッド」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?ワガノワ・メソッドとは、ロシアのバレリーナであるアグリッピナ・ヤコヴレヴナ・ワガノワが広めたメソッドです。ワガノワ・メソッドの特徴は、派手で華やかな踊り方であることと、腕の動きが繊細かつ優雅であることです。私の同級生はワガノワ・バレエ・アカデミーでレッスンを受けていたのですが、帰国後の踊り方を見ると一目瞭然。一般的なバレエの踊り方に見慣れていると、少々大げさにも思える動きです。

そんなワガノワ・メソッドを取り入れたワガノワ・バレエ・アカデミーの入学試験は非常に厳しく、バレエの技術以外に骨格や筋肉の質、家系の特性(将来太りやすいかどうか)まで、ワガノワアカデミー独自の規定に沿って細かく慎重に審査されます。「ダンスは努力、バレエは素質」といわれる所以はここにあるようです。

・ルドルフ・ヌレエフ記念ロシア国立ウファバレエ学校

出典:http://www.academyrussianballet.com/program/ballet_ryugaku/ufa_ballet_school/
ワガノワメソッドのカリキュラムに基づき、本格的なバレエを指導するルドルフ・ヌレエフ記念ロシア国立ウファバレエ学校。授業科目は、クラシック・バレエのほかキャラクターダンス、現代舞踊、美術、音楽、語学などがあります。

・ペルミ・バレエ学校

ペルミ・バレエ学校は、ワガノワ・バレエ・アカデミーを母体として設立された学校です。生徒たちは8年間の厳しくも充実したレッスンを受けることとなります。

ロシアのバレエ団

厳しい入学試験とレッスンを終え、バレエアカデミーを卒業した生徒たちはどのような道を歩むのでしょうか?実は、これだけバレエに捧げた少年少女たちのすべてがバレエ団に入団できるわけではありません。

たとえ何百~何千人の中から選ばれバレエアカデミーに入学したとしても、一流のバレエ団に入団できるのはその中の5%に満たないといわれています。太ることを禁じられ、ときには命の危機をも感じながらもバレエに情熱をかける彼女らの姿は、だからこそ儚くも美しいのでしょう。

・ボリショイ・バレエ団

かの有名な『白鳥の湖』 は、1877年にボリショイ劇場で初公演が行われました。バレエ界を牽引する中心的な役割を担ってきたボリショイ・バレエ団は、多彩な演目で世界各国を魅了し続けています。

・マリインスキーバレエ団

ミハイル・フォーキン、アンナ・パブロワ、ヴァーツラフ・ニジンスキーなどの舞踏家、振付家を輩出したマリインスキーバレエ団。マリインスキーバレエ団は、クラシックバレエやロマンティックバレエを中心に公演を行っています。

・ミハイロフスキー劇場バレエ

高い技術と溢れる芸術性、幅広い表現力が魅力のミハイロフスキー劇場バレエ。日本で特に親しまれているロシアバレエ団といえるでしょう。

・モスクワ音楽劇場バレエ団

モスクワ音楽劇場バレエ団の特徴は、登場人物になりきる表現力をダンサーに求めていることです。原作やバレエを知らない方でも内容を理解できるように、ストーリーを重視した演劇的なバレエを実践しています。モスクワ音楽劇場バレエ団は、まさにドラマティック・バレエという形容がふさわしいでしょう。

ロシアバレエの歴史

ルネッサンス期のイタリアで生まれたバレエは、宮廷で行われる余興として誕生したといわれています。次第にバレエは宮廷から劇場に移り、職業ダンサーが登場し始めました。

1681年、パリのオペラ座で最初の女性ダンサー、ラ・フォンテーヌが登場します。その後、フランス革命を機に『ラ・シルフィード』や『ジゼル』のように妖精や悪魔が登場する幻想的ロマンティック・バレエが誕生しました。ロマン主義とともに衰退したロマンティック・バレエはロシアの宮廷へと伝わります。

1730年頃、フランスのジャン=バティスト・ランデによって、サンクトペテルブルクにバレエ学校が創立されました。ロマンティック・バレエを独自のものとしたロシアは、ドラマ主体のロマンティック・バレエに対し、物語とは無関係のダンスシーンを取り入れたクラシック・バレエを生み出します。複雑な技法を用いるクラシック・バレエのために、丈が短く動きやすいチュチュが考案されました。2人で踊るグラン・パ・ド・ドゥや、32回連続回転のフェッテが演じられるようになったのもこの頃です。こうしてロシアで現在のバレエの構成が完成したのです。

ちなみに、3大バレエと呼ばれる『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』『白鳥の湖』が作成され、上演されたのもこの時期のことです。

ロシアバレエの現状

ロシアを代表する芸術であるバレエですが、実際に劇場を訪れバレエを観劇するのは国民の3%にすぎないといわれています。国の財産としてバレエを守り続けていくためには、国外だけでなく、国内の集客に力を入れるべきなのかもしれません。

国内での集客に乏しいロシアバレエですが、バレエアカデミーへの入学は非常に狭き門であることには変わりありません。長い場合は8年という成長期の大事な時期をバレエを費やすことは、将来一流のバレエダンサーになりたいと考えるなら最適でしょう。しかし、バレエアカデミーを卒業した後も厳しい競争は続きます。バレエ団に入団すること、バレエ団で良い役やポジションにつくこと、人気を保つこと…。もしもどこかで挫折したり、怪我によってバレエの道を諦めなければならないときがきたりしたなら、バレエ以外の世界を知らないダンサーは路頭に迷うことになるかもしれません。そのためロシアバレエ界では、23歳までに方向性が定まらなければ第二の人生について考えておくことべきだといわれています。

そのほか、バレエアカデミーの厳しすぎる教育についても、しばしばメディアで取り上げられています。絶対に太ってはいけないというプレッシャーは、成長期の子どもを摂食障害にまで追い込むこともあります。心身ともに衰弱しきった子どもにまだバレエを続けさせるのか、という批判は避けられない事実です。モデルの痩せすぎを禁止する動きが出ている今、ロシアのバレエアカデミーも変革するときが迫っているのかもしれません。

バレエダンサーの国の制度

ロシアでは、バレリーナは公務員のような扱いを受け、バレエ公演がない日であっても固定給が支払われます。日本のバレリーナの年収が200~400円程度だといわれるのに対し、ロシアの国立バレエ団に所属しているトップクラスのダンサーの年収は1,000~2,000万ほどだといわれています。
年収の面から見るだけでも、国民がバレエを賞賛し、認めているのだということがうかがえます。

また、ダンサー寿命は非常に短いため、ロシアでは38歳(一説によると35歳)から年金が支給されます。
日本ではなかなか考えられないことですが、バレエに全てを捧げるダンサーには然るべき保障なのかもしれませんね。

ロシアバレエ団で活躍する日本人ダンサーは?

現在ロシアのマリインスキーバレエ団では、日本人ダンサーの石井久美子さんが活躍しています。
2013年(当時19歳)に正式な入団が決まった石井さんは、日本人初のマリインスキーバレエ団への所属となります。
バレエの技術はもちろんのこと、彼女のキュートなルックスと愛すべき人柄は、世界を魅了し続けることでしょう。

まとめ


今回は、ロシアのバレエ事情をご紹介しました。いかがでしたか?

バレエダンサーは、常に自身にストイックであるべきだとペルミ・バレエ学校のナタリア・モイセーエワ先生は語ります。それでもやっぱり、ダンスは楽しいものであるべきだと考える私は、端からバレエの素質がなかったということなのかもしれません。

バレエには素質も大事ですが、たゆまぬ努力はもっと大事。日々のレッスンを積み重ねて、夢の舞台へと羽ばたきましょう!

この記事をシェアする