【実際の中学校の授業をレポート】ダンス必修化の授業の実態とは

学校教育でダンスが必修化されましたが、多くの方が、実際にどのような授業を行なっているかを知らないかと思います。 そこで今回は、実際の中学校の授業を取材し、先生の声や、学校教育のダンスについての現状をお伝えします。

今や小・中・高全ての教育機関で表現運動「ダンス」が必修化されました。
多くのアーティスト、テレビCM、ミュージックビデオなどでも頻繁にダンスが使われダンスがより身近な存在となってきたなと感じます!
では一体、学校で習える「ダンス」とはどのような内容なのでしょうか?
実際の体育の授業を取材した様子や授業内容の解説、参考動画をご紹介します!

「ダンス」の授業内容3種とその狙い

①「創作ダンス」


決まった振付はなく「自由に身体を使い表現するダンス」を「創作ダンス」と呼びます。
こちらは形式や様式にとらわれず個々の「自由な」表現をすることが大切です。
正解、不正解のないフリースタイルなダンスということです。
即興性のあるダンスを指すこともあります。
自由な自己表現をすることで「想像力」や「表現力」を磨く目的があります。

②「フォークダンス」


こちらはそれぞれ決まった振付がありますが、厳しい決まりがある訳ではありません。
世界の国々の伝統的なダンスなので大人数で踊ったりと、「みんなで踊る」という一体感を感じることが目的です。
なので難しい振付などはなく、老若男女全ての人が踊れるダンスです。
例として日本の文化である盆踊りも同じようなことがいえます。
個々ではなく「みんな」と連帯感を感じさせ、コミュニケーションをとるという目的があります。

③「現代的なリズムのダンス」


こちらはその名の通り、様々なリズムに合わせて弾むように踊るダンスです。
ヒップホップやロックダンスなど、ステップに名前があるものを組み合わせて振付を作り、その振付を覚え踊ることでリズム感を養い、運動能力を向上させることや
目的があります。

上記3つの中で主に授業で行われるのは「現代的なリズムのダンス」のようです!
テレビなどで見るダンスを実際に音楽に合わせて踊れるので子どもたちのテンションも上がりますよね♪
ですが、もともとダンスを習っている子どもとそうでない子の差が分かりやすく大きく出てしまうジャンルではありますので、いじめや冷やかしで自信を無くす子どもがいないことを願います…!

実際の授業の様子を取材

実際に体育の授業でどのようにダンスを行なっているのか、武蔵村山市立第一中学校で実際の授業を取材してみました。

武蔵村山市立第一中学校はダンスの授業を臨時講師として地元でダンススタジオを経営するダンスインストラクターを迎え入れ、さらにアシスタントとして二人、体育担当の教師を含め合計4人で授業を進めており、普段の体育とは少し異なった雰囲気で行われていました。

授業の内容はストリートダンスの中でもロックダンスとヒップホップダンスでロックダンスではトゥエル、ロック、ポイントからクロスハンド、スクービードゥー等の少し難しめのステップまで、ヒップホップも同様ダウン等の基本リズムからランニングマン、クラブ等を踊り通常のダンスレッスンとほぼ変わらない内容!本格的です。

さらに後半では人気の楽曲を課題曲とし、リーダーを一人付けたグループに分かれ一曲踊りきるという課題が…!
振付としては講師の振り付けがメインですが、曲間の約8×8程はグループで話し合い構成、振り付けを考えるという内容でした。

その他にもフォーメーション等はほとんどが生徒達で考えていくというのですが、ダンス未経験の生徒がほとんどの中…もちろんフォーメーションなんて考えたことは無いはずです。
その分枠にとらわれずグループごとに個性がみられますね♪

いざ発表が始まると様々なフォーメーションでルーティーンを踊り、オリジナリティ溢れる動きで盛り上がり、ぎこちなさはありつつも他の体育の単元にはない妙な一体感でダンスを楽しみながら行っている様子でした。


こちらの授業を担当した武蔵村山市立第一中学校保健体育教諭松浦先生に話を伺ってみました。

先生自身も初めはダンスの授業を行うことにに戸惑いがあったとか…もちろん先生自身もダンス初心者!外部講師の先生にオススメのダンス動画を教えてもらい、家のガラス窓をみながら練習をしていたそうです。さらに月に1回こちらの学校の体育教師にプライベートレッスンを依頼し、ダンスレッスンに励んでいたようです。
授業も生徒と一緒になって取り組み、今ではダンスがより身近なものになっていると言います。
生徒にとっても、先生自身が一緒にダンスと向き合い練習していく環境はとても良いですよね♪先生自身がダンスを楽しむという事が良い影響を与えていることは間違いありません。

ダンスが必修科になったことで生徒に変化が

ダンスが選択科目の時は、ダンスに興味がある子やもともとダンスを習っている子が活躍する場として選択されてきました。
ですが必修科になり生徒全員が取り組むことで「積極性」がみられるようになったと言います。
体育という科目は運動嫌いな子にとっては苦手科目そのもの。数あるスポーツの中でダンスは勝ち負けがなかったり、高く飛んだり速く走らなければならないことはありません。そんなことから、ダンスを通じて「消極的」だった子が「積極的」にチャレンジする事が増えたそうです。
運動が苦手でも楽しめる効果がダンスにはあるのですね♪

「上手い・下手」だけがダンスではない!

はじめにダンスの授業内容として3種類あげましたが、授業になるということはテストや評価が必須ですよね。
もちろんダンスが上手なことはとても素晴らしいことです。しかし下手だからといって成績が悪くなるのは違う問題です。そもそもダンスが必修科された目的は「踊りを通してコミュニケーションを取り合うこと」「自由な自己表現で喜びや楽しさを味わうこと」
ですので、上手い下手で評価をされるものではないのです!
ということは先生だって上手に踊れなくていいし、踊れる子は初心者の子に教えながら協調性を学べば良いのです。

教えるのも勉強、真っ白なところから学ぶのも勉強、それぞれの個性や表現を知るのも勉強…というような、どんなジャンルでも分野でも広い視野を持った授業であって欲しいですね♪

文部科学省 武道・ダンス必修科
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/jyujitsu/1330882.htm

次ページからはダンスの授業の参考資料として使われている動画や、学校独自の授業をご紹介!

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