バレエ『ノートルダム・ド・パリ』って⁈あらすじとその魅力を徹底解説

『ノートルダム・ド・パリ』と聞くと、フィギュアスケーターの羽生結弦さんの演目を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ここでは、バレエの『ノートルダム・ド・パリ』についてご紹介しています。ディズニー映画『ノートルダムの鐘』と原作が同じなので、あー!知ってる!と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。


バレエ『ノートルダム・ド・パリ』とは?

『眠りの森の美女』や『ジゼル』、『白鳥の湖』は知っているけど、『ノートルダム・ド・パリ』なんて聞いたこともない!という方は意外と多いものです。なかなか全幕で上演されないうえに、『エスメラルダ』という主人公の名前をタイトルにして上演されていたりもするので、馴染みがない方が多いのは当然。でも、「エスメラルダ」と聞けば、バレエコンクールや、発表会などで、タンバリンを叩き、最終的には蹴り上げるあのヴァリエーションなら見たことがある!とお思いになるでしょう。あのエスメラルダの物語が、『ノートルダム・ド・パリ』なのです。とても悲劇的で、見る者の心を激しく揺さぶるこの作品について、こちらではじっくり解説いたします。
「ああ無情」を書いたヴィクトル・ユゴーの「ノートルダム・ド・パリ」という小説が原作ですが、様々なヴァージョンのものが存在するので、最も原作に近いものを、動画とともにご紹介します。

バレエ『ノートルダム・ド・パリ』のあらすじ

プロローグ

寺院の前で、赤ん坊を抱いた女性が行き倒れる。全く動かない女性。
近くを通ったジプシーたちは、その女性が死んでいると思い、赤ん坊を連れて行ってしまった。
しかし女性は、赤ん坊がジプシーたちとともに遠くへと行ってしまってから息を吹き返し、いなくなった我が子を探して半狂乱となる。

このシーンは、子どもを連れ去られた母の姿に、スポットが当たるのですが、多くのバレエ団がこのシーンをカットしており、そもそもこの「母と子」という原作の中心的なテーマをなかったことにしています。特にローラン・プティ版やミラノ・スカラ座バレエ団版は、恋人たちの関係や人種的な問題がメインのテーマとなっています。唯一取り上げているのが、ブルメイステル版。ブルメイステル版は、とても演劇性の高い作品だといわれており、「“ダンサー=俳優”の理念を掲げ、踊りだけでなく、俳優としての表現力をダンサーに求め、原作やバレエを知らない人でも内容がわかるようにストーリーを重視する」ということを目標として作られています。バレエ観劇初心者でも、ドラマを見るように楽しめそうですね!

第1幕

赤ん坊はがジプシーたちに育てられ、すくすくと育ち、美しく華やかな16歳の女性になっている。名前はエスメラルダ。
正義感もある彼女は、ノートルダム寺院の広場に迷い込んで殺されそうになっていた詩人・グランゴールを助ける。その時、エスメラルダを見ていた聖職者のフロロは、エスメラルダの美しさに魅了されてしまう。彼は、自身が絶大なる権力を持つ寺院の聖職者であることを利用し、あの手この手でエスメラルダに迫るが拒否された。エスメラルダに助けられたグランゴールもエスメラルダに夢中だが、拒絶される。
実は彼女は、自分を助けてくれたフェビュスと恋におちていた。
フビュスとエスメラルダが人目につかずに会えるように手助けするのはノートルダム寺院の鐘つき役であるカジモド。彼は、エスメラルダに優しくされて、エスメラルダを好きになってしまっているが、自身が醜いことを理由に、自分の気持ちを彼女にうちあけることはしない。
エスメラルダを諦められないフロロは、彼女の恋のお相手フェビュスへの憎悪を募らせた。

ややワイルドで、正直で美しいエスメラルダは、本当に魅力的ですね!ヤギを連れて出てきたからか、可愛らしくも感じられます。

第2幕

フェビュスと婚約者フルールの婚約の宴。
フェビュスの婚約の宴の余興に、ジプシーとして招かれてたエスメラルダは、そこではじめて自分の恋人の裏切りを知り、悲しみをこらえながらグランゴールとともに踊る。
フェビュスは、婚約の宴が終わってから、やはりエスメラルダを忘れられないと彼女のもとにやってくるが、そこに、嫉妬に狂ったフロロが現れ、フェビュスを刺し殺してしまった。
逃げ出すフロロ。
エスメラルダは、フェビュスを殺したとして捕まえられてしまった。

この動画の5:28辺りで悲しみに沈むエスメラルダは、1幕とはうってかわってしおらしくて、そんな姿もまた魅力的だと感じられますね。そして、この場面では、ジプシーという存在が差別的に扱われる存在だということが明確になります。

第3幕

フロロは、自身の罪をエスメラルダに被せたくせに、自分のものになるなら助けてやると、処刑間近のエスメラルダに告げます。
拒否するエスメラルダ。
一命をとりとめていたフェビュスはエスメラルダが自分を殺そうとしたと信じているし、今や彼女を救おうとしているのは身内のジプシーたちや、カジモドだけ。
でも、そんな彼らの頑張りも虚しく、処刑の日がやってきてしまう。
運命の日。
エスメラルダのもとに、彼女を探し続けていた母が辿りつくが、衰弱しきっていた母は、エスメラルダの現状を知りショックで息絶えてしまう。
辛いことばかりが続き茫然としているエスメラルダは、さしたる抵抗もせずに、処刑されてしまった。
怒り悲しむジプシーたちと、カジモド。
怒りと悲しみに突き動かされたカジモドは、ノートルダム寺院の上からフロロを突落した。

こちらは、法村友井バレエ団のリハですが、エスメラルダに迫るフロロがとても怖いですね!

まとめ

「エスメラルダ」のヴァリエーションは、妖艶で華やかだという特徴がありますが、『ノートルダム・ド・パリ』のあらすじを知っていて踊っているダンサーたちはみな、どこかに哀しみを漂わせて踊っています。こちらであらすじを知ってから、名だたるダンサーたちの「エスメラルダ」のヴァリエーションを見直してみてください。きっと、ただ妖艶で華やかな美女ではなく、哀しみや悲劇の予兆を漂わせていることに気づくはずですよ!