バレエ『ラ・シルフィード』徹底解説!『レ・シルフィード』との違いは?

ラ・シルフィードといえばロマンティックバレエの代表格で、あのふわふわとした白い衣装に魅せられますが、意外な展開と結末をもつ物語だということは、ご存知ですか?


ラ・シルフィードとは

「ラ・シルフィード」は「ジゼル」や「白鳥の湖」とともに、三大バレエブランと呼ばれています。Blanc(ブラン)というのは、白という意味で、どの演目も白い衣装を着たバレエダンサーが沢山出てきます。中でもラ・シルフィードの衣装は、白くて長い丈のチュチュがふわふわしていてとても幻想的!小さい羽がついているのがまた、魅力的です。男性の衣装も、スコットランドが舞台なのでチェックのスカートと長靴下という他の演目にはないものなので、衣装を見ているだけでも楽しめますね!

左が男性主人公のジェームス。右がシルフィードです。

ラ・シルフィードのあらすじを動画とともに紹介

第1幕

スコットランドの農村で暮らす農夫のジェームスは、婚約者エフィとの結婚式当日に、暖炉の傍で眠っています。するとそこに美しい妖精(シルフィード)が現れジェームスにキスをしました。キスに驚いたジェームスは目を覚まし、そのシルフィードの腕をつかもうとしますが、シルフィードは逃げていきました。
夢うつつのジェームスをよそに、結婚式の準備が進みますが、そこに現れた占い師が、ジェームスの婚約者であるエフィに、「あなたを幸せにするのはグエンという別の男性」と告げます。ジェームスも親族も怒りながらその占い師を追い出しますが、実はジェームスはこの時すでに、先ほどみたシルフィードに心をとらわれていました。
やがて結婚式が始まります。しかし、その式の最中にシルフィードが紛れこんでおり、気もそぞろになるジェームス。
指輪の交換の際に、ジェームスがエフィに与えようとした指輪をシルフィードが奪ってとびさり、それを追いかけてジェームスが出て行ってしまうという衝撃の展開のまま、1幕は幕を閉じます。

こちらは、ジェームスの婚約者エフィのヴァリエーションです。十分に愛らしく、ジェームスがシルフィードに魅せられてしまうなんて気の毒だ!と思ってしまいます。

2幕

シルフィードと彼女を追ってやってきたジェームスは森の中で彼女の仲間の妖精たちとも踊ります。すっかりシルフィードに夢中となったジェームスは、彼女を抱きしめようとしますが、「私に触れてはいけない」と言われてしまいました。そして彼女は姿を消していなくなってしまいます。妖精ですから、自由自在に姿を消したり現れたりできるシルフィード。飛んでいなくなったりします。ジェームスは、そんな彼女を我が物にする方法を求め、1幕で登場した占い師に、「肩にかけると飛べなくなる」というスカーフをもらいました。
しかし実はそれは、占い師が呪いをかけたスカーフ。
そうとは知らないジェームスは、シルフィードとともに踊りながら、そのスカーフを彼女にかけました。途端に、もがき苦しむシルフィード。背中の羽が落ちてしまいます。背中の羽がなくなることは妖精にとって死を意味しており、シルフィードは、ジェームスに愛を告げながら息絶えました。悲しむジェームス。
そんなジェームスをよそに、村ではエフィが、占い師の占い通り、グエンという男性と結婚式をあげていました。

シルフィードというキャラクターは、軽やかで、愛くるしいということがよくわかる動画です。人間の女性ではない無邪気な仕草が特徴的ですね。手を打ち鳴らす動きや蝶々を離して見送る動きがなんとも可憐です。

ラ・シルフィード(la sylphide)とレ・シルフィード(les sylphides)の違い

どちらにも「シルフィード」という言葉がつく上に、衣装や作品のイメージがよく似ているので、違いがよくわからないとか、混同してしまう!という人が多いのが、この2つです。
「ラ」と「レ」の違いが、実は大違い!
「ラ」の方は前述したように物語が存在しますが、「レ」の方には、物語が存在しないのです。レ・シルフィードは森の妖精達と詩人が月あかりの元で踊りあかす情景を描いており、8曲からなる小品です。「ショピニアーナ」とも呼ばれることもあり、ショパンの有名なピアノ曲が編集されて使われているのです。

こちらは、テレビCMで耳にしたことのある人も多いでしょう。これは、「レ・シルフィード」です。

こちらも「レ・シルフィード」。男性が詩人で、沢山のシルフィードたちが集まっていますね。「les」というのは、複数という意味があるそうですよ。

ラ・シルフィードの魅力

ラ・シルフィードの魅力は、何といっても、人が妖精を演じ踊るというところにあります。そして、それを可能にするのがダンサーの軽やかなジャンプと、細やかなポワントワーク。この演目はそもそも、マリー・タリオーニという背が高くて(1800年代初頭の基準においては)痩せすぎだといわれたバレエダンサーの為に作られたものです。彼女は、とても美しく踊るダンサーでしたが、今でいうところの、あまり色気のないタイプ。でも、だからこそ年齢も、もはや性別さえ不明で、「愛する」ってどんなことか理解できたのかしら?と思えるようなシルフィードを踊り得たのかもしれませんね。

こちらがマリー・タリオーニ。色気がないようにも、痩せすぎなようにも
見えない…ですよね。

まとめ

見ればみるほどに魅力的なラ・シルフィード。様々なダンサーがどのように踊っているかを見比べてみるのも楽しいですよ!