日本が誇るべき舞踏団Noism!芸術監督の金森穣とは?

平成の間に「第60回毎日芸術賞」を受賞された金森穣さんは、令和となった今も芸術監督としてNoismを進化させ続けています。恐ろしいまでに魅力的なこのNoismという舞踊集団と、その芸術監督金森穣という天才を、ご存知ない方のためにじっくりご紹介致します。

Noismや、金森穣という人のことを語るのは、とても難しく、とても刺激的です。語り尽くせないことは知りながらも、語りたくなるところもまた、彼らの魅力でしょうか。
私がNoismに出会ったのは 2012年3月。
「NHKバレエの饗宴2012」にて上演された『solo for 2』は、漆黒の空間に浮かびあがる金色の椅子と舞踊家の身体のみで描かれる世界でした。
美しさと、緊張感。
見たことがない凄いものを見たことに対する感動で鳥肌が立ちました。
人が、人に見えず、踊りが踊りに見えませんでした。
動いているそれは、まるで記号や音符のようで、何を読み取ればいいのかという戸惑いと、自分の概念が打ち壊されていく快感にぞわぞわしました。

そして、これを生で、目の前でみたいという渇望を、心の飢えを感じたのです。

ダイジェストの映像からでも伝わる「空気」にシビれますね。そして、きっとそこにいる人だけがもっと濃厚にその「空気」を味わえたのだろうと思うと、羨ましくてたまらない…そんな気持ちになります。

Noismとは

ところが、Noismを見るには、基本的には新潟に行かなければならないのです。なぜなら、Noismは、新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)のレジデンシャルカンパニーだから。
東京公演や、海外公演も行なっていますが、活動の拠点は新潟です。新潟の市民芸術文化会館で毎日レッスンをし、振付や振り写しをしています。
彼らは、日本で初めての劇場専属の芸術団体(レジデンシャル・カンパニー)として、新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)に所属し、新潟市が全額出捐(しゅつえん、拠出)する財団法人新潟市芸術文化振興財団の予算で、カンパニーの諸経費、団員の給与、公演にかかる事業費などを賄っているのです。また経理や活動の支援として複数の新潟市職員が選任職員としてNoismの活動にあてられているのだとか。海外ではこういった舞踏団の在り方は当然のこととして受け入れられていますが、日本ではこのNoismと新国立劇場バレエ団しかレジデンシャルカンパニーはありません。しかも、Noismは、新潟県の予算によって存亡の危機にさらされることもあり、ダンサーの地位や生活の向上が、日本においてはまだまだ難しいという事実を我々に示唆しています。
そして、そんな存亡の危機からNoismを守り、Noismを進化させ続けているのが金森穣という人なのです。

金森穣とは

生年月日:1974年11月22日 (44歳)
出身地:神奈川県横浜市
幼少よりダンサーである父・金森勢に学ぶ。生家がダンス・スタジオであるという環境で育ち、牧阿佐美バレヱ団に入団。1992年渡欧。ルードラ・ベジャール・ローザンヌ(モーリス・ベジャールが主宰するスイス・ローザンヌのダンス学校)に所属し、ベジャールに師事。1994年、オランダ・ハーグのネザーランド・ダンス・シアター(NDT)でダンサーとして活躍。1997年フランスの国立リヨン・オペラ座バレエ団。1999年スウェーデン・ヨーテボリ・バレエ団に移籍、振付を任されるなど重要な地位にあった。
帰国後、フリーランスのダンサーとして日本国内にて活動。2004年新潟市民芸術文化会館の舞踊部門芸術監督に就任。同年、日本初の劇場専属プロフェッショナル・ダンスカンパニー「Noism」を発足。現在、新潟県新潟市の新潟市民芸術文化会館を拠点に活動している。

2007年7月21日にダンサー井関佐和子(Noism1)と入籍。

2008年、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

2009年夏、夫婦でunit-Cyan(ユニットシアン)という活動を開始。

2018年度毎日芸術賞を受賞。

Noismというものや、レジデンシャルカンパニーというものについて語る金森穣さんは、真摯な言葉選びで物事の本質をついています。特に、「『わからない』ということを楽しむには教養が必要だ」という一言には、深く頷いてしまいました。Noismが次々と遂げていく進化を、わからないの一言で片付けてしまうことは簡単ですが、その中に、私だけの、私が今まで得てきた教養をフルに生かした上で感じとることのできる何かを、見いだしていけばよいのではないかと思うのです。
それにしても、金森穣さんという人は、見ているだけで恐ろしさを感じるほどの天才的な作品を作りだす人だというのに、語り口が柔らかく、爽やかな印象の方ですね。作品からは少しおっかない人を想像していました。

Noismと金森穣の凄さがわかる動画

クラシックバレエのバヤデールよりも、見る者に訴えかける力が強いと、私は感じました。また、井関佐和子さんというダンサーの力をまざまざと感じさせる作品だとも思います。生き絶えるニキアとそれを抱きとめるソロルのシーンや、精霊として登場するニキアの包容力を感じさせる動き。全てが、美しいというより、「強い」のです。金森穣さんもまた、ダンサーとしての力を見せつけていますね。しなやかで圧倒されてしまいます。

作り手すら「何故そうなるかわからない」と述べる、数値化できない作品もまた、かなり魅力的ですね。

セリフと舞踊のコラボレーションという取り組みが、新感覚の空間を生み出していて、恐ろしさすら感じてしまいます。

まとめ

舞踊芸術というものは、映像で楽しむより生で、劇場丸ごとの空気感を味わうものだと私は常々思っています。Noismは特に、生を見ずして語るべきではないし、生を見ても結局語ることはできない程に圧倒的なものです。だから是非、Noismを見に、新潟へ行って下さい。