華やかで楽しいマズルカって何?動画とともに解説

バレエのマズルカについて、動画を交えてわかりやすく解説します。 マズルカの本質である民族的な伝統の中に見える独特な世界を理解するために、歴史的なお話も紹介しています。

バレエのマズルカは、クラシックバレエのクラシカルなポジションやステップとはやや違うキャラクターダンスで、あまりバレエらしさがないのが特徴の一つです。
ちなみに、バレエにおけるキャラクターダンスは、「民族舞踊の要素が強い踊り」という意味です。バレエ作品には必要不可欠な踊りで、場面を盛り上げる役割を担っていることが多いんです。

マズルカとは

バレエ作品では、マズルカというと『コッペリア』や『白鳥の湖』の第3幕などで踊られています。
男女ペアが舞台に大きな円を作ってから始まり、リズミカルな音楽とともに元気よくステップを踏んでいく、それがマズルカです!

これがコッペリアのマズルカ。とにかく楽しそうですよね!

マズルカの歴史

祖国を愛した彼は、60近い情緒あふれる「マズルカ」を作曲し舞曲を芸術作品にまで洗練させました。風光明媚な「マゾヴィア地方」が起源とされ、マズル、オベレック、クヤヴィアクという3種類があります。18世紀半ば頃からは、ロシアや西欧の社交場にも広く伝播し、庶民的で民族的だったステップがどんどんブラッシュアップされていきました。最初は3/8拍子でゆっくりだったそうですが、広まっていくうちに3/4拍子が標準になりテンポアップしたのだとか。貴族に愛された優雅なポロネーズに比較して、かなりわちゃわちゃちゃかちゃかしたイメージなのは、動きが早いからかもしれませんね!リズムは主に第2拍か第3拍が強くなりますが、小節ごとにまちまちです。しかもこの舞踊曲の動きは無数にあるため、完璧に踊るのは不可能だと言われています。元々は、動きの順序やステップのつながりはおろか、何も決まっていない村人たちが祭りで踊るようなものだったので、かなり即興の要素が強かったのでしょう。
アンリ・セラリウスが1847年の彼の著作”La danse des salon(サロンの踊り)”の中で
「マズルカは、われわれがポーランド人のように踊るために、フランスで十分に知られてはいない。すなわち、練習をしないのだ…‥要するに、盛大に発表されたマズルカは不器用な踊り手によって総崩れに終わってしまうことがよくある…」
と述べているように、単純なステップで楽しげに見えるマズルカは、実は奥が深くて、きちんとポーランド人らしく踊るのはなかなか難しいものなのです。
ポーランド併合以後、ロシアで非常に人気となったマズルカは、スラヴの魂に語りかけると見なされ、主要なダンス・ドゥ・キャラクテールのひとつとなったようですが、マズルカの普及に一役かっているのが、バレエダンサーの祖と言われることもあるマリー・タリオリーニです。
ジェドロズィアン王子が、マリー・タリオーニのトウシューズの中のシャンパンを飲むくだりのあるマズルカを、彼女が見事に踊って以後、マズルカはバレエの中に組み込まれるようになったのだとか。このマズルカは、女性の靴の中のこの飲み物を飲むという、妖精の世界で広く行われているしきたりをバレエ界に広めることになりました。
マズルカは、また、女性がパートナーを選ぶ舞踏会の最後に踊られる、フランスの有名な踊り、コティヨンでもよく用いられていたため、恋愛の踊りという評判も獲得していました。
そして、レオ・ドリーブが1870年『コッペリア』で、そしてその後何回もバレエにおいて、マズルカを採用したのです。チャイコフスキーも『眠れる森の美女』や『白鳥の湖』にマズルカを取り入れました。
ちなみに「チャルダッシュ」と「マズルカ」を混同している方が多いようですが、「チャルダッシュ」はハンガリー舞曲です。しかも、ジプシー音楽で、ゆったりした前半「ラッサン」と速くなる後半「フリスカ」とで曲調が変わります。チャルダッシュは、楽しそうというよりは誇り高いイメージですよね。

様々なマズルカを紹介!

『白鳥の湖』のマズルカ

「コッペリア」のマズルカに比べると、やや宮廷むきのマズルカであり、華やかさが増しているように感じますね。

『眠りの森の美女』のマズルカ

こちらはもはや、マズルカというよりフィナーレと認識している方が多いかもしれませんが、ステップや音楽はしっかりマズルカです。オーロラ姫とデジレ王子の結婚式に来た他のおとぎ話の登場人物たちが勢ぞろいして踊るなんて、最高にハッピーなシーンですよね!

マズルカを踊る時のポイント

しっかりリズムを刻むことと、とにかく元気!であることが大切です。生きる喜びや踊る楽しさが溢れ出ていてこそ、マズルカ!絶対に無表情で踊ってはいけません。

まとめ

見ているこちらが元気をもらえるマズルカには、実は深い歴史があり、完璧に踊るのは難しいということがわかりましたが、完璧でなくとも、踊ることに喜びを感じていたポーランドの民衆のハートを踊ることは、バレエを愛する者なら誰だってできるはずですよね♡

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