役柄の幸福感を余すことなく表現する!新国立の米沢唯という才能

今もなお進化し続ける新国立劇場バレエ団で、特別な才能を発揮し、振付やレッスンも手掛けるようになった米沢唯さんについてお伝えします。彼女のバレエを見ると、見ているこちらまで幸せな気持ちを味わえるんですよ。

新国立劇場バレエ団では、団員たちの振付作品を団員たちが踊るという画期的で興味深い試みが8年ほど前から行われています。クラシックの演目では定評の高い新国立劇場バレエ団としては挑戦的な試みですが、その試みが新たな才能を見いだし、光り輝かせています。
クラシックでも評価が高く、その演劇性とバレエを踊ることが楽しくて仕方ないという踊り方が高く評価されてきた米沢唯さん。
彼女の中の役柄に対してクリエイションしていく力は、作品の振付をしてもやっぱり光るものでした!もともと彼女は、振付にはない仕草をクラシックの中にも演技として入れており、そこが彼女の魅力でもあったので、「創る力」は彼女にしっかり備わっていたのでしょうね。

米沢唯のプロフィール

1987年3月31日に東京で生まれ、名古屋で育つ。

米沢唯の経歴

1990年:3歳の時に塚本洋子バレエスタジオでバレエをはじめる。
2003年:15歳でローザンヌ国際バレエコンクールの決勝に進出。

受賞は逃したものの、「演技」の部分が大いに評価された米沢さんのジゼル。確かに、誰かに呼ばれたかのように嬉しそうに振り返る姿は、もはや演技にすら見えませんね。本当に呼ばれたのでは?と思ってしまいます。また、この頃からすでに彼女は演技を振付にも反映していて、本来の振付にはない首をかしげるマイムなどを自然と盛り込んでいるのです。いくつかのインタビューで「役を踊ること」を重視していると答えていらっしゃる彼女にとって踊ることが自然と「創ること」につながっているのかもしれませんね。

2004年:3月に第61回東京新聞全国舞踊コンクールで1位を受賞。7月にはヴァルナ国際バレエコンクールのジュニア部門でも1位を受賞し、帰国後は愛知芸術文化センターのダンス公演に出演した。
2005年:世界バレエ&モダンダンスコンクールで第3位を受賞。
2006年:6月にUSA国際バレエコンクールのシニア部門で銅メダルを受賞。その受賞を機にアメリカのサンノゼ・バレエ団と契約。

2006年~2010年:サンノゼ・バレエ団に所属。『くるみ割り人形』 やコンテンポラリー作品で主役を踊る。

2010年:新国立劇場バレエ団にソリストとして入団。そ
2011年:新国立劇場バレエ団の新作 『パゴダの王子』 で主役さくら姫を踊る。

2012年:『白鳥の湖』 で初役オデット/オディールを踊る。

2012年:ファースト・ソリストに昇格。
2013年:『ジゼル』『ドン・キホーテ』で主役を踊り、プリンシパルに昇格。

2014年:中川鋭之助賞を受賞。
2016年:『Dance to the Future 2016』で、初めて」振付けたコンテンポラリー作品『Giselle』が上演される。
2017年:第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
2018年:舞踊批評家協会新人賞を受賞。英国ロイヤルバレエ団が上演し大好評となった『不思議の国のアリス』を新国立劇場バレエ団で上演することとなり主役のアリスを踊る。

2019年:愛知県芸術文化選奨文化賞を受賞。

米沢唯の魅力をバレエ経験者が解説

米沢さんの魅力は何といっても、15歳で踊ったジゼルの頃から際立っている「嬉しそうに振り返るマイム」。こんなに嬉しそうに、そして可憐に振り返ることのできる人を、私は他に見たことがありません。たいていが演技過剰になるか、もしくは演技くさくなることを避けるためにそっけなくなりすぎるかです。でも米沢さんの振り向きは過剰になりすぎることなく、文字どおり本当にぱっと花が咲いたよう。見ているこちらまで、うれしくなってしまいますよね!

こちらも、ジゼルの頃にはやや完成されていた「首をかしげる仕草のかわいらしさ」。ジゼルもシンデレラも、ここで首をかしげなさいという振付はないのですが、米沢さんはオリジナルで付け加えているのです!それがとても自然で、あまりにも音楽の中にもはまっているので、もともとそんな振付だったのかしら?と思ってしまうし、自分もバレエを踊る人なら、この動きを取り入れたい!と思ってしまいますよね。それほどに、この首をかしげる仕草は魅力的で、しかもジゼルやシンデレラの幸せな気持ちがあふれ出ていることが見る者にも伝わってきますよね。

米沢唯の魅力が伝わる厳選動画

50秒からが米沢さんの白鳥ですが、やはり他の方とは違うマイムが入っていることがわかりますね。王子に心惹かれながらも、惹かれていってはいけないと小さく首を振っていますね。その細かく首をふるというマイムが一つ入ることで、白鳥となったオデットの複雑な心境がぐっとリアリティを増すのです。

まとめ

少女のようにも、女王のような気品を持っても踊ることのできる米沢さんの、細かなマイムのありかたに注目するだけでも、かなりバレエというものを楽しむことができますよ。