ローザンヌの審査委員にもなった世界的ダンサー加治屋百合子を紹介

加治屋百合子さんは、アメリカンバレエシアターのプリンシパルを経て、現在はヒューストンバレエ団のプリンシパル。昨年には、ローザンヌ国際バレエコンクールの審査員を務め、世界的に活躍しています。 今回はそんな彼女のプロフィールや経歴をご紹介します!

かつてアメリカンバレエシアターで、ダニール・シムキンとのコンビで一世を風靡した加治屋百合子さんは、世界でも認められる実力派バレエダンサー。彼女の並々ならぬ努力や、彼女の魅力、彼女の今をこちらではお伝えしてまいります。

加治屋百合子のプロフィール

愛知県名古屋市出身。1984年6月25日生まれ。
出身スクール:松本道子バレエ団
身長:164cm

加治屋百合子の経歴

1992年:8歳でバレエをはじめる
1994年:10歳で上海バレエ学校に留学
2000年:15歳でローザンヌ国際バレエコンクールにおいて「ローザンヌ賞」を受賞

現在の加治屋さんがやや恥ずかしそうに、そして懐かしそうにかつてのご自身を見守ってられるのが印象的なこちらの動画では、15歳の頃の彼女のヴァリエーションとコンテンポラリーダンスが見られます。非常に丁寧で落ち着いた踊り方は、15歳の踊りだとは思えませんね。でも、全体の雰囲気は15歳らしく可憐でかわいらしいジゼル!繊細な足さばきと、伸びやかで美しいアラベスクは観る者の心を打ちます。

2001年:アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の研修生
2002年:アメリカン・バレエ・シアター(ABT)のコール・ド・バレエとして入団
2007年:ソリストに昇格
2007年:TBS系列局の人間密着ドキュメンタリー『情熱大陸』に出演
2011年:アメリカン・バレエ・シアターの来日公演では、『ドン・キホーテ』で主演

この頃、特に『ドン・キホーテ』におけるダニール・シムキンとのパートナーシップは神がかっていると言われるほどにパーフェクトで、お二人のプライベートでの仲の良さが、舞台上での息ぴったりの状況を生み出していると言われていました。

2014年:ヒューストン・バレエにファーストソリストとして移籍

2014年:11月プリンシパルに昇格
2018年:第46回ローザンヌ国際バレエコンクールで審査員を務める
2019年:日本でワークショップを開催する

丁寧で、穏やかな語り口の加治屋さんは、教えるのもお上手で、かなり評判の高いワークショップとなっています。

2020年:2月に日本バレエ協会の『海賊』で新国立バレエ団の奥村康祐と主役を踊る

加治屋百合子の魅力をバレエ経験者が解説

加治屋さんのバレエには、知性と意志が宿っています。ただ教えられたとおりに踊るのではなく、自ら役柄について考えそれを実現しているという迷いのなさが、その美しいアラベスクには見え隠れするのです。自身で中国のバレエ学校に留学することを選び、その厳しく険しい道の中でもクレバーで有り続けた彼女の生きざまが、やはりバレエにもあらわれるのでしょう。『眠りの森の美女』の中「リラの精」という役柄にも、考察に考察を重ね、踊りこみ、研究し尽くしていることが上の動画からはよくわかりますね。

加治屋百合子の魅力が伝わる厳選動画

ローザンヌ国際バレエコンクールの時のジゼル

ジゼルは、踊るのが好きで初恋を知ったばかりの少女。ただ彼女は病弱で、周りの村娘たちのようにたくさん踊ったり走ったりはできません。このヴァリエーションを踊るとき、多くのダンサーが「初恋を知ったばかりの可憐な少女」というところに注目してしまいますが、加治屋さんはたった15歳にして、「病弱であること」に目をむけてジゼルを表現しています。ジゼルは、ただただ初恋に浮かれる少女ではありません。踊ることが好きなのに、身体が弱くて踊ることを制限されている少女なのです。だから、一挙手一投足を、丁寧に丁寧に、そしていつくしむ様に踊るはず。恋することによっておこる胸の高鳴りすらも、ジゼルにとっては身体をむしばむもの。だから、高く跳んだり、のびのびといきいきと踊りすぎてしまうダンサーは、「ジゼル」という少女の部分的な側面しか見ていないのです。加治屋さんが踊るジゼルの繊細な足さばきや、多くのダンサーがスピードを上げてしまいがちな最後のマネージ(舞台上を一周まわること)もふんわりと回っている点には、多くのダンサーが影響を受けたのだとか。

アメリカンバレエシアターの時の『ドン・キホーテ』

当時アイドル的な人気のあったダニール・シムキンと組んで踊った『ドン・キホーテ』は各国で称賛を受けました。二人共がとても楽しそうであることと、お互いが自身のテクニックにおぼれてしまわずに『ドン・キホーテ』の登場人物であるキトリとバジルであり続けるところが人気の秘訣。パワーやスピードで華やかさを演出されることが多いこの演目を、加治屋さんは、ふわっとやわらかく回転し、伸びやかにジャンプすることで新しいキトリ像生み出しました。それが華々しいバジルを踊るダニール・シムキンとかなり良いバランスで最高の雰囲気を生み出しているのです。

まとめ

「落ち着き」を感じさせる加治屋さんのバレエは、今もなお進化中で「やや控えめ」だった表現に「濃さ」や「深さ」が加わりはじめています。2月の『海賊」をご覧になれるかもしれない・・・という方はぜひ、劇場に足を運んでくださいね!