150年の歴史を持つ名門歌劇場のバレエ団「キエフバレエ」を紹介!

創立150年の歴史を持つ名門歌劇場のバレエ団として名高い「キエフバレエ(タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエ)」について紹介します。その長い歴史から日本との関わりについてぜひご覧ください。

バレエに詳しくない方は、バレエはロシアのものという印象をお持ちかもしれません。
そんな印象を作り上げる原因の一端にあるのが、これからご紹介するロシアの「キエフバレエ」。
ロシアの厳格なレッスンと、ロシアのダンサーたちの類まれなるスタイルの良さが「バレエ」というものを、「人知を超えた芸術」にしたのです。
実際は、バレエは「イタリアで生まれ、フランスで発展し、ロシアで成熟した」と言われています。

キエフバレエとは

海外はやはり、劇場がまず素晴らしいですね!
こちらが、キエフバレエの本拠地キエフ大劇場です。別名はウクライナ国立歌劇場。
ちなみに、キエフバレエも、正式名称はタラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエです。
1991年ソ連崩壊に伴い独立したウクライナの首都「キエフ」で、モスクワのボリショイバレエ、サンクトペテルブルグのマリインスキーバレエとともに、旧ソ連における3大バレエといわれてきました。
2000年を過ぎるまで、このバレエ団は、とても保守的なバレエ団でした。伝統的な振付と、伝統的な衣装を守り、クラシカルであることがキエフバレエの魅力だったのです。
そして、その伝統を守る姿は、多くの芸術家を引き寄せ、そして成長させました。
今世界で活躍しており、バレエファンならずとも見ればそのすごさがわかるこの二人。

スヴェトラーナ・ザハロワ

セルゲイ・ポルーニン

と名だたるスターたちがキエフバレエ在籍経験者、あるいはキエフバレエ学校出身で、作曲家のチャイコフスキーもこちらのバレエ団と深いかかわりを持っています。

日本とのかかわり

キエフバレエ学校の芸術監督は日本人

真ん中の男性が、キエフバレエ学校の芸術監督である寺田宜弘さんです。
彼はたった11歳でキエフバレエ学校に日本人としてはじめて留学した男性ダンサーでもあります。卒業と同時にキエフバレエ団に入団し、ソリストとして活躍しました。11歳でロシアに渡るなんて、凄いことですが、寺田さんにとっては必然のことだったのでしょう。
寺田さんが芸術監督となって以来、彼が「日本との懸け橋」となり、日本での数々の公演が実現化し、日本からの留学生を多く迎え入れるようになりました。

キエフの伝統を守る発想と日本人の勤勉さがマッチしやすい

日本に居ながらにして、キエフバレエの先生方にバレエを習うことができる特別講習会なども行われています。
ある種厳格にクラシックを守ってきたロシアのバレエダンサーたちにとって、勤勉で実直にルールを守ろうとする日本人ダンサーたちなあり方は、「理想的」なものだと考えられているようです。

美しすぎるキエフ・バレエのダンサーとプログラム

アンナ・ムロムツェワ(Anna Muromtseva)さんは、キエフバレエのソリスト。私服を着ている姿がもう、只者ではないオーラを漂わせていますね!顔の小ささも、尋常ではありません。

もちろん、衣装姿だって美しく、妖精のようです。
そして彼女は、そのスタイルの良さと美貌を存分に活かし、しっかり魅せる踊り方をします。

キュートな仕草は、もっともっと見たい!という気持ちをおこさせますね。

しっとり抑えた踊りも得意とし、くるくるとかわる表情も魅力です。

テクニックも抜群です!
こんなに何回も回ることを「グランフェッテ」呼び、これはかなり難しい動きだとされているのですが、なんだか軽々とこなしているように見えてしまいますよね。普通は、プロのバレエダンサーでも、一か所で回り続けられないのですが、アンナ・ムロムツェワさんは、ほぼ移動せず、同じ場所で回り続けているのです。

また、キエフバレエの魅力は、コールドたちが完璧なまでに揃っているところ。
コールドというのは、大勢で踊るダンサーたちのことをさし、群舞という言い方をすることもあります。

ついつい、真ん中で踊るソリスト(主役級を踊るダンサーたちのこと)に目を奪われてしまいますが、ここはあえて、彼らを取り囲むコールドに目を向けてください。身体の向きや、あげる足の高さまで、完璧に揃えられているのです。本当はもっと足を高く上げられるダンサーたちだって当然います。でもそれは、コールドのダンサーたちがするべきことではないのです。コールドの美しさは「揃っていること」にあります。
キエフバレエのコールドたちは、その意味において、とても美しいのです。

まとめ

今、キエフバレエだけでなく、多くのバレエ団が上演をやめ、多くのバレエダンサーたちがレッスン場に通うことすらできなという事態に陥っています。だからといって、バレエという芸術が失われてしまうわけではありません。今も、バレエダンサーたちは、自宅や外でレッスンを続けているのです。彼らは、「踊ることができる日」を信じて疑っていないのです。悲観的になりすぎるのではなく、注意深く暮らしながらも強く踊り続けている彼らから、学べることも多いのではないでしょうか。

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