ダンスの振り付けにも「著作権」がある!?法律とダンスの関係性とは


ダンサーの皆さまが悩みに悩んで編み出した振り付け。その唯一無二の振り付けには「著作権」があると知っていますか?

今回は、法律とダンスの不思議な関係性を紐解いていこうと思います。座学が苦手なダンサーさんも、ぜひお付き合いくださいませ。

ダンスの振り付けに著作権は「ある」

著作物は、著作権法2条1項において「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものを言う」と定められています。

振り付けは”思想又は感情を創作的に表現したものであって”、”文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの”といえるので、著作物といって問題ないでしょう。

もう少し詳しく見ていきましょう。具体的な著作物を例示してある著作権法10条1項の3号において、「舞踏又は無言劇の著作物」という文言を確認できました。ダンスの振り付けは”舞踏”に該当すると考えられるため、著作物であると断言することができます。

ダンサーには、自分の振り付けには著作権があるということを理解して、自信と誇りを持って活動していってほしいですね。

過去の裁判例では…

過去の裁判例を見ていくと、興味深い事実が浮かび上がってきました。ダンスの振り付けの著作権をめぐる、2つの有名な事件を取り上げて説明していきます。

「日本舞踊事件」
平成14年12月26日に起きた「日本舞踊事件」(福岡高裁判決)をご存知でしょうか?
日本舞踊事件とは、自分が振り付けた作品を他者が何の断りもなく勝手に上演したとして、慰謝料の請求及び謝罪広告を求めた事案です。

結果、振り付けは著作物であると認められました。この判決は、ダンサーにとったら当たり前ともいえるものではないでしょうか。

映画『Shall we ダンス?』事件
平成24年2月28日に起きた「映画『Shall we ダンス?』事件」(東京地裁判決)は、ご存知の方もいるかもしれません。これは、映画『Shall we ダンス?』の中で踊られた社交ダンスの振り付けに対して、著作物性が否定された例です。
社交ダンスの振り付けは、既存のステップを組み合わせ、これに適宜アレンジを加えて作っていきます。そのため、映画の中で使用された振り付けの著作物性を唱えるためには、それが単なる既存のステップの組合せにとどまらない、独創性を備えるものである必要があったのです。

この裁判例から、昔からあるステップを組み合わせただけの振り付けには著作権はないということが伺えます。

「非営利」の上演であれば許諾は必要ない

著作物である他者の振り付けた作品を踊るときは、作者の許諾が必要です。しかし、著作権法38条1項において「非営利・無料・無報酬での上演」には許諾が必要ないと定められています。

非営利・無料・無報酬での上演とは、学園祭や地域のボランティアで行われる催し物などのこと。したがって、ダンス教室等で踊る場合は、非営利・無料・無報酬での上演とはみなされないため許諾が必要になります。

「振り付け師」と「ダンサー」の立ち位置

「振付師」は、プロ・アマ問わず、その振付けの”著作者”や”著作権者”になり得ます。そして、その振り付けを演じる「ダンサー」は”実演家”ということになり、実演家としての著作隣接権が発生します。

実演家であるダンサーは、プロ・アマ問わず、自らのダンスパフォーマンスを録画する権利や、インターネットにアップロードする権利を有しています。
そのため、ダンサーのパフォーマンスを利用する際は、振付師を含め他のダンサーとの権利処理を行うのが基本です。

ダンスの独創的な振り付けには著作権がある!

ダンスの振り付け、その中でも独創性のあるものには著作権があることが分かりました。

独創性の有る無しを判断するのは、簡単なことではないですよね。単にステップを組み合わせた振り付けであっても、その順番や繰り返しなどによって独創性が生まれることもあるでしょうし…。

例えば、三代目J Soul Brothersの「R.Y.U.S.E.I」の振り付けで言えば、大流行したサビの振り付けにはランニングマンのステップが使われています。ランニングマンは昔からある既存のステップですが、あの人数、あの並び、手の使い方を含めると、著作物だといえるのかもしれません。
アイドルの振り付けにも、歌詞に合わせたジェスチャーのような振りが含まれていることがありますが、ああいった振り付けは誰でも思いつくものだから著作物性はなし…?ん~、難しい!

ダンサーなら、自分がやっとのことで生み出した振り付けは、我が子のように思っていますよね。そんな愛しい我が子を守るためにも、法律を知ること、礼儀やルールを守ることは大事なのです。