【Dewspeak vol.02】日本オリジナルともいえる1スタイルを色濃く提示した重要人物の一人TAKE-G

KRUSH POSSE、MICROPHONEPAGER、KODP、東京を代表するヒップホップクルーへダンサーとしての参加

TAKUYA
TAKE-Gさんは僕の中でダンサーなんですが、ダンスシーンの人というよりはヒップホップシーンの人というイメージも色濃くありまして。その要因としてはやはり
MUROさん率いるKODPメンバーである事も大きいと思うのですが。そういうヒップホップとかカルチャーの中でのダンサーという意識があったのか等も聞いてみたかったです。ラッパーやDJが所属するクルーの中、唯一のダンサーとしてのメンバーだったんですか?

TAKE-G
そうだね。ちなみに俺はKODP #7でAMRIはジョーカー。

TAKUYA
MUROさん、KODPとはどういう繋がりなんですか?

TAKE-G
俺とMASAOがPARTYやめて、俺がMASAOんちに居候とかしながらクラブ行って、このままじゃつまんないね、どこ目指す?って話になってやっぱひとつでしょってなって。
バックダンスもそうだしみんなこうダンサーていう縛りが強い気がするよね。俺は元々音楽があってラップがあってだからあんまり区別してないんだよ。
で俺とMASAOがKRUSH POSSEに入れてもらったの。

TAKUYA
それはダンサーとしてですか?

TAKE-G
ダンサーとして。俺とMASAOは MURO君にお願いしてこういう踊りやってるって言って下北沢にあったクラブZOOに行ってビデオ渡して。

TAKUYA
自然と友達なったとかじゃなくて0からアピールをちゃんとしたってことですよね。

TAKE-G
曲もやっぱり同じように好きな曲でラップしてたし、今でもMURO君は1番尊敬してるけど。その当時から凄かったからぜひ踊らしてくれって言って。
でMURO君に言ったら「KRUSHに聞かないと」ってなって。そうするとKRUSH POSSE(クラッシュポッセ)の時ってことだね。

TAKUYA
KRUSH POSSEのメンバーでもあったんですか?

TAKE-G
そう、そのあとにMICROPHONE PAGERだね。
俺とMASAOはダンサーとして。でもね途中でMASAOがヘルニアになっちゃって。で踊れなくてどうするってなって、じゃあやめよってなって。でその後はMASAOはラップして。
俺はダンサーとして関わらせてもらって。

TAKUYA
MUROさんのMICROPHONE PAGERのライブにダンサー一人っていうのがカッコよくて
それこそEPMDのFENDIじゃないですけど。あのスタイルはカッコよかったですね。

TAKE-G
そうだね(笑)。
サイドMCがGORE-TEX(NITRO MICROPHONE UNDERGROUND)っていう。
やっぱり俺はそこが楽しかったね。

TAKUYA
MUROさんがやっていた渋谷のショップ「SAVAGE」でも働いてたこともあるんでしたっけ?

TAKE-G
そうだね。

TAKUYA
「SAVAGE」は結構働いてましたか?

TAKE-G
「SAVAGE」は…。浪人してたんだよ、そこで自分の小遣いを稼がせてほしいってお願いしたんだよ。ここで働かしてくださいって。

TAKUYA
なるほど。歯科大ってことですよね?
(現在TAKE-Gさんは歯科医師です。)それが仙台だったっていう話ですか?

TAKE-G
郡山、福島の。

TAKUYA
なので仙台の人とも交流あるってことですよね?

TAKE-G
そうだね。
俺がね仙台にクラブ探しに行ったとき2回目だったかな、全く仙台のこと知らないからどっかクラブ楽しいとこないかなって、BBOYっぽいやつに声かけて、後輩と一緒に行ったんだけど、そこでたまたま声かけたのがTAISHOW(GUERRILLA GORILLA)。
で,TAISHOWが俺のこと知っててくれてて。

TAKUYA
すでに知ってたんですね。彼は日本一のTAKE-Gさんマニアなんじゃないですか。好きですよね、愛ですねもう。

黒く重いヒップホップの先駆的チーム5CARAT

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TAKUYA
その後5CARATというチームで活動されますよね。そこにはBUTTERの、というか当時で言うSTRUTのお二人もいるんですが、それはどういう集まりだったのですか?あの二人は元々KAZUさんのとこにいるじゃないですか。

TAKE-G
そうだね、SHINICHIとしまっち(O-SHIMA)はたぶんTETSUとかAMRIとかと仲良くて。
KAZUさんは当時の大先輩、なんだけど時代なのか、嫌われていたのか、そんなに喋らないっていう(笑)。

TAKUYA
そうなんですか?
当時はそんなに交流がなかったんですか?

TAKE-G
ゼロ。

TAKUYA
え!

TAKE-G
すごいなって思いながらも負けたくないっていう気持ちがあったから、全然喋ったりしたことない。
今は会えば当然挨拶はするけどね。けど当時KAZUさんは間違いなく別格だった。
俺はクラブで出来るだけバトルしかけたいと思ってたしさ。

でそこで育った二人ね、BUTTERは。
そっから一緒にやってみる?ってなって。

TAKUYA
なるほど。それが5CARAT。90年代中期、後期くらいですかね。あれがああいう流れのスタイルの1つの完成系に見えるんですけどね僕には。

TAKE-G
でもお互いにどう思ってるかは、そのとき何もそんな話してないからね。合わせやってじゃあショーやろうってやったけど。みんなが相当違うからね。

TAKUYA
そうですよね、相当違ったけど皆TAKE-Gさんの影響はあったのかなと映像見て思うんですが。
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技術よりも匂いとか音の乗せ方重視というか。5CARATでのTAKE-Gさんのソロとか正直あんま動かないじゃないですか、でもすごく重くとって一つ一つのステップとフローに奥行きがあるというか。ああいうのってどれくらい意識的だったのかなって思うんですよね。

TAKE-G
未だに普通に踊っても遅いよね(笑)。
あとはいかに崩すか。それも個性だと思うんだよね。
遅く取りたいって意識もあるよね。遅くとりたくって靴すごく重くしたりとかもした(笑)。

TAKUYA
それは黒人みてですか?具体的に誰が象徴的ですか?

TAKE-G
いやあこれが誰も知らないんだよ。俺がNYのクラブで見ていた人なんだ。
踊りがものすごい重くて、それをやるにはどうしたらいいんだろみたいな。すごい影響受けたよねそのクラブで。たぶん誰も知らない名もないダンサー。

TAKUYA
なるほど。そういう人のイメージで日本帰ってきて思いっきり重くとって踊ってたみたいな。

TAKE-G
そうだね。

現在のシーンについて

TAKUYA
噂で聞いたんですけどTAKE-Gさんが何年か前にLes Twinsを見て、こういうのもやんなきゃって後輩の皆に言ってたっていう話を聞いて。スタイルだけで見たら対極で、もしかしたらそのテのスタイルを継承している人たちからしたらガッカリしたところもあるかもしれない話で。その真意みたいなのを聞けたらと。

TAKE-G
そうだね、4,5年前。
俺、10年間一切踊ってなくてヒップホップも俺がホントに好きなやつしか聞いてなかったし全く新しいの知らなくて、踊りも見てなかった。多分俺みたく10年全く見てないやつもいないよね。
それでTAISHOWとかRYUMA、Machaが仕事場に来て今度ショーで一緒に踊ってくれって頼み込んできて、最初は「いや無理でしょう」って断ったんだけど、うるさいから1回やるよってはじまって。

俺もやっぱり歯医者やっているわけでずっとシーンを見ていなくて。でそのタイミングで今のダンサーを見て、自分の後輩もみて、「・・・」がでたんだよね。
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もちろん変わってるよ、スキルとかも。
けどもっとやっぱり広い視野を持たなきゃいけないなって。プロのダンサーとして今求められてることとか、こういう時代、おれらの時代とは違うんだよってことで話したんだけど。
俺はヒップホップ好きでハウスとかも踊らないし、現役のときも、一緒にショーに出たメンバーで最後ハウスとか振り合わせて終わったりとかも絶対踊らなかった。ハウスは好きだけどね。
だから俺はプロとしてやっていける人じゃない。つまり偏ってた人だから。
俺は一人でもNo.1と言ってくれるなら満足な人だし、教えるのもうまくないし好きじゃないから。でも君たちは第一線でやってるんだから。大会とかもあるでしょ?俺がプロだったら出たいもん。

TAKUYA
TAKE-Gさんが現役だったら出るということですか?

TAKE-G
一度はチャレンジすると思う。そこに自分たちがいて何でやんないんだ?って思うんだけど、それはどう思われようが自分の踊りがどこまで通用するとかやっぱり経験することってとても大事だから。
やったことない動きをするていうのはとっても大事だからってことで投げ捨てたって感じかな。

TAKUYA
なるほど。それでLes Twinsとかを見てヒップホップダンスの進化が見えたってことですよね。

TAKE-G
まあそうだね。
僕もやりたいとは思わないけどね、ああいう踊り。つまんないけど今はそういう時代だったらそれはそれで噛み締めないといけないって。

TAKUYA
進化は大事だってことですよね。

TAKE-G
したい、したくないは別だけど、頭っから拒絶するのはプロとしてどうかなって。
俺も今は、エンターテイメントとして、クラシックとかオペラも聞くし、バレエも見る。この前は、SAMさんのダンスのスタジオの発表会とかも見に行ったんだけどすごい感心して、歳だからというのもあるかもだけど。
自分が出来ることがみんなあるじゃない?
誰にでもいいたいこと言うし、もっとこうやってほしいっていうのも言うけどね。
ひとまず思ったこと全部言いたい。でもこういう(インタビュー)のとかは実は苦手なんだ、昔に戻って話したりとか。いつも次しか考えてない人だから。
だけどさLes Twins、俺が言う前にみんな勿論知ってるだろうけど、TAKE-Gが言うのかってのは思ったのかもね。

TAKUYA
まあイメージですよね、イメージとは違うっていう名前がボンと出たんでしょうね。僕なんかはそういう方なんじゃないかなって勝手に思ってたので、それを聞いたときにしっくり来ましたけどね。

別にあの当時のヒップホップって当時は勿論クラシックとかじゃなくて、最新の音楽だったわけで。だからTAKE-Gさんは最新をクリエイトしてやってる人って認識だったので不思議じゃなかったですね。

TAKE-G
だからみんなに言うと思うよショー見て終わったら、俺から見たらこうだったねって。
知り合った人にはみんなにダメ出ししてる(笑)。ただその人に興味があるから言うんだけどね。
あとは結局また踊りたいよね。

TAKUYA
踊らないんですか?

TAKE-G
いや、誘われたら踊るかな。
話によってはやりたいね。

TAKUYA
へえ!そういう意識はあるんですね、意外です。
現代のダンスって見てるんですか?

TAKE-G
今は結構見てる。

TAKUYA
へえ!海外ですか?

TAKE-G
海外も見るし日本も見るよ。でも普段踊ってるわけじゃないからね、一切。

TAKUYA
見ててこいつ面白いなってのはいるんですか?

TAKE-G
たまにいるよ。でも上手いなってのは山ほどいるけど、かっこいいってのはなかなかいないよね。

TAKUYA
今、歯医者さんじゃないですか。それはもちろん学生から歯医者目指すから歯医者になれる訳で。つまりバリバリダンスしてた時に既にその準備は始まっていた訳ですよね。当時ダンサーしてやっていこうという選択肢は最初から無かったんですか?

TAKE-G
もちろんそういう気持ちもあったよ。途中で親と話をしたり。もちろんダンスでやっていきたかったし。
けどやっぱり若かったから。あとは細かい個人的な話でじいちゃんと小さいときに歯医者になるって約束があったり。でも踊りは自分が好きでやってるから、シーンの中でどこまでの存在になったかわかんないけどそれはそれ。今は仕事してそういうスタンスで後輩もいるし、できるなら自分も踊るし。
なので結果良かったかな。MURO君とかもすごい応援しててくれて。

TAKUYA
へえ、すばらしい関係ですよね。 
僕は勝手にダンスを仕事にはしたくない人なのかなって思ったんですけどね。

TAKE-G
そりゃそういう時期もあったよ、ダンスに対して。いろいろあったけど自分にはだんだん合ってないって。お金にかえていくって、生徒増やそうって努力しないし、やりたいなら来ればって感じで。数えるくらいしかやったことないしね。
やっぱりそこでこうなるんだからやりたいことじゃないんだなって。

TAKUYA
でもダンスの存在はやっぱり大きいですよね。
ダンス10年見てなかったって。でもカムバックじゃないけど、また踊りたいとか見たいとか思うって面白いですよね。

TAKE-G
そうだね、やはりダンスの存在は大きいね。
しかも今の時代にうちらの歴史をそうやって伝えようとしてくれて、そんなこと考えてる人いるんだって驚いたね。

TAKUYA
あ、僕ですか?自分は何というかこういう偉大な人がいたんだ、リスペクトして欲しいって気持ちもあるんですが、その反面古いことをただ正しいんだよって言うつもりはないんですよね。僕も新しいことに興味はあるんですが。けどやっぱりその古きを知り新しきを知るじゃないですけど、そこにヒントはあるって。
みんな同じもの見だしたら面白くなくて、やっぱ昔の人っていう言い方もあれですけど、その時代に光ってた人、何かしらアイデンティティを発信してた人の意見ていうのは、今に通ずる部分があるかなと思います。
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例えば、ビジネス本読んでいても、結局戦国時代の話が出てきたりとか、考え方は結局同じだったり、あの陣営が数では負けてたのに勝利した理由とかあるじゃないですか。
そういうのと僕は同じだと思ってるんで。若い子に知識のみを押し付けるよりもヒントになるかもって意味で。ただこのコーナーもそもそも古い人だけをフォーカスしているわけではないのですが。

TAKE-G
そうなの。

TAKUYA
はい。いろんな人とただ僕が気になった人と対談してください、とのオファーなので。
なので別に若手と話しても全然いいんですけどただやっぱり、その昔の時代を生きた人の言葉は気になるなって思いますね、どういう感じでやってたのかなみたいなのは。

TAKE-G
それで興味が湧いてくれる人もいるかもしれないしね。すごく嬉しいですね。

TAKUYA
僕は5CARATの映像を未だに見るんですよね。もちろん今の時代音の取り方とかはもっと細かく進化してますし、僕自身も色々進化してきたつもりです。でも全体のこの空気感、やろうとしてる、その時代でそういくんだみたいなところとか発想をもらえるみたいなのは、今見ても沢山ありますけどね。なんでそうしたんだろうみたいなのは。
深読みも多分相当多いですが(笑)。

TAKE-G
面白いよね。

TAKUYA
僕はだから半ば勝手に形変えて出しちゃうんであんまり元ネタ側の人からは気付いてもらえないんですが。。尊敬と同時にただただ興味深い、面白いなって思いながら見させて頂いています。

TAKE-G
そうだね、今の時代情報も多いしせっかくだから皆その見ているダンサーに留まらずにいてほしいね。

TAKUYA
他に次世代に思う事、期待することはありますか?

TAKE-G
そうだね。自分がクラブで育ったというのもあってクラブが盛り上がって欲しいな。すごい寂しいって思う。なんか必死感が変に伝わってくるしね。ダンサー達にとっての変な必死感だよね。
技・形にとらわれ過ぎちゃってる感が。そうじゃない人もいっぱいいると思うんだけど。
なんかもっと盛り上がってくれたらいいよね。それが今も昔も変わらず音楽、ファッション含め、個性的なダンサーを生むきっかけになると思うけどね。
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あとこの間、MURO君が親子が一緒に行ける昼間のイベントをやったんだけどすごく良くて。
うちら世代ってさクラブ盛り上がってほしいって言っといてなんだけど、チビがいるからなかなか行けないのよね。
でそこを仕切ってじゃあ子供が遊ぶスペース、こっちは親が子供と一緒にダンス出来るスペースみたいなのがあって、帰りがけにMURO君のMIX TAPEをプレゼントするみたいな。
いい形にね、それをやったらいいんじゃないかなって実は前からMURO君が言ってて。でMURO君にPInO紹介して、PInOも絡んでるんだけど、PInOが仲間つれて踊りちょっと教えてあげたり、はじめたんだよね。
でもそういう場所に子供がいない人でもうちら世代は楽しみに行けるイベントが日曜とかにあったら最高だよね。昼のイベントで当時の音楽が流れてとか。
そうするとまたその頃の文化を今の子達も知ることが出来たりだとか。

TAKUYA
異世代の交流もできますもんね。

TAKE-G
そうだよね、そうやって皆で盛り上げていきたいね。
なんかごめんねまとまってなくて。
今回素敵な企画に呼んでくれたTAKUYA君とDewsに感謝します!ありがとう。

TAKUYA
とんでもないです。初めてちゃんとお話しさせてもらってよかったです。自分も盛り上げていけるよう頑張ります!またダンスも観たいです。本日は有難うございました!

TAKE-G
今後ともZENITHをよろしくお願いします!

_AYT7951 TAKUYA (SYMBOL-ISM / worcle co.,ltd)

90年代初頭ストリートダンスに触れ、様々なジャンルを模索、横断する。
その後ダンスチームSYMBOL-ISMを結成。ハウスを基盤にしつつも様々なスタイル、音楽性を
反映させた独自のスタイルを形成し、DANCE DELIGHT、DANCE@LIVE、JUSTE DEBOUTをはじめとする
様々なコンテストにて優勝、入賞多数、その他様々なステージを通し強烈なインパクトを残す。
そのスタイルは彼の拠点東京・代々木に因んで「代々木系」とも呼ばれる現象を起こし、
ダンスのスタイルのみならず音楽、ファッション、ライフスタイル、様々な切り口からあらゆるヘッズに影響を与えている。
またダンスプレイヤーと並行し2004年に起業。レンタルスタジオの先駆けとなったstudio worcleをはじめイベントスペースANCE、その他音楽バーshirokumaやレコードレーベルyygrec、セレクトショップCONTE-NU、等、これまでに無かったダンスやカルチャーに直結するコンセプチュアルなスペースやビジネスアイディアを数々生み出しダンサーのライフスタイルを変革させ続けているキーパーソンとしてもシーンに大きな影響力を持つ。

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