【後編】ヘッドスピンが出来ればエアートラックスも出来る!?「Nishikasai CREW」生みの親である岡野先生の独特な育成方法に迫る!

———-育成方法について———-

練習風景

STAFF
今でこそかなりのスキルを持った子たちですが、いきなりここまでのレベルの技ができるわけではないですよね。
育成方法について、何か工夫していることはありますか?

岡野先生
そうですね。
この西葛西中の前に青井中学校というところにいて、その時に初めて本気で女の子のヘッドスピンを一人を育て上げてその財産がここにきたという感じです。
そのBGIRLを育てきてて、試行錯誤で生まれたノウハウがスタートの段階で確立されてました。
あとは当てはめるだけ、個人の体質や得意不得意で多少変えます。
基本的にはカリキュラムがしっかりと出来上がっています。

STAFF
カリキュラムっていうのは1年目から何をするのかっていう?

岡野先生
はい。
入ったらまず三点倒立。姿勢など色々ポイントをあげて、マットの上で三点倒立できるようになったらヘルメットをかぶらせて床で。
次は足の形をつくる、足を開いたり閉じたり自由に動かす練習を姿勢を確認しながらする練習です。
結構気が遠くなるような練習ですが、まず基本をしっかりしないと怪我してしまうので。

STAFF
少し驚いたのですが、最初はヘッドスピンからスタートするのですか?
パワームーブだとウインドミルからとかなイメージがありますが。

岡野先生
僕の持論ですが、ヘッドスピンができればエルボーエアーも簡単にできると思っています。

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おそらく他の指導者と育て方が違うとは思います。
おっしゃるとおり普通はパワームーブは、ウィンドミルからやるじゃないですか?
しかしウィンドミルからやると結局引っ掛けるという動作がわからなくなっちゃうんですよね。

ウィンドミルからエルボーエアーをやろうとすると力で持ち上げようとしてしまいますが、ヘッドスピンの遠心力をうまく使って、その方向をずらして技を変えていくというイメージでやろうとすると他の技習得の感覚を遠心力を使って習得出来るんですよね。
縦軸の回転を寝かしていくというイメージ。あくまで持論ですが、これが一番手っ取り早いですね。

STAFF
でも実際に出来ている子がいるんですから、その方法が実証されていますよね。
1年間でヘッドスピンが回れるようになるものなんですか?

岡野先生
そうですね。
だいたい1年でなんとなく回れる生徒がほとんどで、早い生徒だと半年から8ヶ月ぐらいで回れるようになります。
中には、コンティーからグライド、ドリルまで出来る生徒もいます。

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STAFF
それは驚きです。
まずはヘッドスピンができたらその後のムーブに進んでいくんですか?

岡野先生
他のダンススクールではわからないですが、うちでは段階があります。
まずヘッドスピンができるように練習しながら、同時平行でトーマス→ウィンドミル。そしたら繋ぎ技でトーマスウィンドヘッドができるようになります。
次はエルボーエアートラックス、その後にをエルボーエアー→ウィンドミルができるようになったら初めてエアートラックスに挑戦するという流れです。

STAFF
しっかりと決まっている工程があるんですね。
エルボーエアートラックスとエアートラックスも工程でわけられているのが意外でした。

岡野先生
エルボーエアートラックスがわからないうちはエアートラックスは絶対やらせません。
動作的にはエアートラックスの方が間接の可動域が大きくて、楽は楽なんですけど、頭の高さで恐怖心が全然違います。
だから女の子なんかは近いところから始めた方が感覚がわかりやすいというのもあります。
エアートラックスはやっぱり最終段階です。

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これも持論ですが、エアートラックスという技の定義は、空中に手が付いていない時間がある技がエアートラックスであると思っています。
ジャンピング倒立旋回はまた違いますが、頭をくぐったらエアートラックスと言う僕のイメージがあって、その感覚が一番わかりやすいのがエルボーエアー。
エルボーエアーは連発するとなると難しいのですが。
メンバーのNaoは連発で抜けます。

STAFF
これはヤバイですね(笑)。
ブレイクダンスをやっている男子は現実逃避したくなるレベルです。

岡野先生
やっぱり誰かが抜け出るとみんな悔しいから一生懸命やるっていう。
そういう競争感覚できっと伸びて行ったのかなって思います。

STAFF
すごすぎる・・・!
まあそのカリキュラムもそうですけど、その他に精神面などで工夫していたこととかってありますか?

岡野先生
・・・ほめないことですかね(笑)。

STAFF
えー!こんなすごい子たちなのに!
それででも、よく辞めずについてくるというか・・・。

岡野先生
まぁたまにはほめますけど、それは目の前で起こった現象について、「今のムーブはよかったね」っていうのは言いますけど、大会とかに関して言うと手放しにほめるということは絶対にないですね。

STAFF
「今日はよかったよー、おつかれ!」っていうのはないってことですね。

岡野先生
あそこがだめだったとか、あれがダメだったとかぐちぐち・・・(笑)。 

STAFF
ダンススタジオのレッスンでは、すぐやめてしまうこと子もいそうですね。

岡野先生
きっとそうだと思います。
部活じゃなきゃ出来ないと思います。怒って育てるのって。
要するにバレーボール部でレシーブを失敗して監督が怒鳴るっていうあの感じです。

STAFF
なるほど。
ではかなり厳しめに指導してましたか?

岡野先生
見て分かるとおり私語禁止ですね。
もちろん振りの合わせとか、ショーケース練でお互いあーだこーだっていうのはありますけど、キャピキャピしているダンス部のイメージはゼロですね。
全国にいくスポーツ系の部活のイメージです。

どーしてもチームとしての大会の目標だったりとかあるわけですが、それに対する努力が足りない時、気持ちの作り方が悪い時は怒鳴ったりもしました。
技術的には自分がここまでできるわけではないので、なかなか言いづらいとこもありますけど、自分が言わないと誰も言わないので。

STAFF
そうですよね。
ここに入った瞬間もすごい静かで大丈夫なのかなって・・・(笑)。
お邪魔してしまった感がすごくありました。

岡野先生
よく言われます。
他の先生達も絶対に練習部屋に入ってこなかったですね。
きたら逆に「何しにきた」という目で睨まれるので(笑)。

STAFF
実際に先生はどのくらい踊れるんですか?

岡野先生
学芸発表会にでれるくらいのレベルですかね(笑)。
ヘッドスピンはコンティぐらいはできますけどグライドしたら2-3週で倒れますね。
昔、首をやっちゃてもう怖くてできないです。

STAFF
先生できないくせにみたいな反発になったりすることはないんですか?

岡野先生
実はこの子たちがまだ持っていないタイトルを僕は持っていて。
大学のインカレで少林寺拳法で優勝した事があって日本一になっているんです。
別分野であるものの全国ていうのはこーゆーもんだというのがあるのでそれを伝えています。それが達成したら初めて文句言われるんじゃないですかね(笑)。

けどこの子たちはそうゆう意地の悪い子達ではなくて、本当に素直に上手くなることだけを必死に考えています。
自分が何か言わないで座ってるとなんかいえよっていう顔してくるし、黙って座ってないでなんか役に立てよぐらいの感じです(笑)。
まあストイックですね。全員。

———-ダンス部廃部後の活動について———-

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