【あのダンサーは今vol.1】中編 : k-en[元錯乱武者・KAMUI]が語る次世代育成への熱意


劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人

一昔前は、ダンスの仕事といえばバックダンサーとスタジオインストラクターとクラブでの深夜のショーがメインだった。しかし、今ではショー、コンテスト、ダンスバトル、アーティストのサポートダンサーや舞台、ダンスタレントなど、ダンサーが活躍する場が増えている。またリオ五輪の閉会式でもテクノロジーとコラボレーションをしたダンスのパフォーマンスが話題となり、ダンサーの身体能力だけでなく感性を使った仕事の需要がどんどん高まっている時代だ。

そんな中、フリーランスとしてダンサー個人が食べていけるだけでなく、経験値を積んだダンサーがこれからのダンサー達の活躍の場を広げ、エンターテイメントの世界で幅広くアイデアを出していくにはどうコミュニケーションしたらよいのだろうか。ダンサーは何をもって引退とするのかも難しく、誤解を恐れず言えば、アスリートとしては歳の差が二倍近くもある若手とベテランが同じ舞台でバトルすることが珍しくないという特殊な世界だ。

前回に引き続き、ダンスコンテストで日本一を取ったk-en[元錯乱武者/KAMUI]が自身のケガや経験をもとに、KAMUI解散後から何をやってきたのか、後輩たちについてどう思っているのかを語ってくれた。コンテストも舞台をつくるのにもそこにはステージに立つ者の年輪があり、そこで表現されたもの以上の裏方の大変さとドラマがあった。インタビューは引き続きk-enゆかりの地、三重でイベントオーガナイザを行っていたshowgoが行った。

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影響を受けたレジェンドダンサーたち

showgo
ダンス初めて[錯乱武者]に入るまでに影響を受けたダンサーはいますか?

k-en
入るまでに限定かな?かなり過去だね。
錯乱武者自体、自分が入る前にチェックしてましたね。
それから一緒に練習やって、仲がよかったダンサーに[トモ]って呼んでるのがいました。辻本知彦です。

showgo
すごいですね、あの手じゃなくて足でウェーブ入れる人ですよね!最近は土屋太鳳の振り付けもやってた!

k-en
彼、確か日本人で初めてシルク・ド・ソレイユに受かったんですよね。その2~3年程前に一緒によくダンス練習していました。今は「大成功したなーっ」て。最近は、TAKAYUKI君と仲良いみたいで一緒に踊ってましたよ。

影響を受けたダンサーは、本当いっぱいいすぎて困ります。
昔先輩に[Rock Steady Crew]のプライベート練習映像をもらったんです。
ブレイクダンスがメインのチームなので、フットワークやパワームーブの練習映像なんですけど、端っこで(ロボットのように)ウェーブとかヒットしてる人がいたんです。
「誰なんだろ!?」って。それがMr.WIGGLES!! 僕はそっちに目が行く様になって。
ファミコンレベルにドットの荒い映像でしたが、目が飛び出るくらいガン見してました(笑)。

僕はダンスを始めるの遅かったから、もう何かと必死でしたね。
ラッキーな事に当時、人や環境に恵まれて色々と情報をもらえました。
日本のダンサーも、多すぎて名前は出しきれませんが、当時の有名ダンサーにはすべて影響されました。

そういえば、 (マライアキャリーやマイケルジャクソンのサポートダンサーで有名な)[ELITE FORCE]のSTRETCHから’90年代のプライベート映像をもらったことがありました。もう凄かったですね!
LOOSE JOINTが特にインパクト強かったです!
でも誰かに貸してから無くしちゃったんですよ(笑)。

現役引退!?ケガで得たもの、失ったもの

showgo
先人から感性が引き継がれているんですね。最近はダンサーの仕事はやられてるんですか?

k-en
昨年11月からはやってないかな。
最近はダンサーのコーディネート・アーティストのライブの振付・演出とかしてます。

3年前、40歳になる手前で[側弯症]になってしまいました。背骨が横に曲がっちゃうんですね。そしてドクターストップ。
デザインの仕事や家族、子供も2人いるので常にオーバーワークな時期で、一旦仕事の量を減らし退きました。
ダンスにしても、十何曲も20代のダンサーと一緒にガンガン踊る事に、限界がきてましたね。
踊る事だけに集中するならいいですけど、[自分が指揮を取り、振付、演出する立場]ともなると、大きなステージでは、まぁ厳しいです。

自分自身のパフォーマンスにも、色々と納得できなかったです。だから、いったん裏方に回ろうと思いました。けど、それが良かったですね。

「今まで見えてなかったものがいっぱいあった!」
「完全に見る側に回るとそう感じるんだ!」って発見がたくさんありました。
音や照明等、今まで以上にクリエイト・集中出来る事が増えましたし。

また、自分に代わった後輩のダンサー達もこの先に色々な事があるだろうし、現場によって違うと思いますけど…
どうすれば「フリーランスのダンサー」としてやっていけるのかっていう事を、自身の経験からですが、経験してきたことすべてを渡せていけたらと思っています。

k-enが見るダンスシーンの未来

k-en05

showgo
後輩もちゃんと育てながらなんですね。

k-en
「育てる」というか「育ってほしい。」の方が近いです。
後輩たちがさまざまな現場で花咲いてくれれば、それだけで十分恩返しされた気持ちです。

ダンサーは純粋で熱い。自分がやってきたからというのもあるんですけれど、ダンスの事を知らない人達と仕事として関わって行く時、その「純粋さや熱さ」をどれだけ理解してもらえるか。
他にも、一つのものをつくる時、プロフェッショナルの集まる場所でコミュニケーションがちゃんと取れてないと、良いものづくりが実現していかないと思います。誰かがそのつなぎになる必要がある。若い子たちは今「100%ダンス」だけど、いつか歳を取るから、そういったものも身につけながら、「自分の100%を増やしていく」みたいな形を今は理想にしています。

showgo
めちゃくちゃいい話じゃないですか。

k-en
少しずれますが、「生涯現役ダンスで食べていく!」ってなると、可能なのは本当に選ばれた人達だと思います。
ハートが強くてアグレッシブ、かつ磨かれたセンスがないと。人間性といった部分も大いに必要となります。
40歳を超えて第一線で活躍しているダンサーは「本当に凄い!」と思います。
「Big Respect!」しかないですね。

また、(日本最大規模のダンスバトルイベント)DANCE@LIVEを主宰する[カリスマカンタロー]の様な立場の人は、シーンのために相当の経験や視野を広く持つ必要も有りますし、そこから、たくさんの「欲求」が産まれるんじゃないかと思います。

それこそ昔みたいに「先輩ぶっ倒してやる!」みたいな若手に出てきてほしいはずですし、先輩も「なに!ふざけんなよ!」みたいな態度でいてほしいだろうし…その衝突がダンスシーンに「熱量」を産むところですよね。

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