勇気と感動を、車いすでダンスバトルに参戦した大学生「さっきま」インタビュー

大学生の頂点を決める3on3ダンスバトルRIZEの中部予選にて、審査員、STAFFはもちろんのこと会場全体に衝撃と感動を与えた1人の大学生がいた。 なんと、車いすでダンスバトルに参戦したのだ。

大学生の頂点を決める3on3ダンスバトルRIZEの中部予選にて、審査員、STAFFはもちろんのこと会場全体に衝撃と感動を与えた1人の大学生がいた。
なんと、車いすでダンスバトルに参戦したのだ。

彼の名前は榊間悠太君(ダンサーネーム:さっきま)。高校生二年生の時に、アクロバット練習中に首から落下し、脊髄を損傷。胸から下が不自由になり、車いす生活を余儀なくされた。
現在は愛知県立大学のダンスサークルFreeStyle (フリースタイル)に所属し、仲間と共にダンスを楽しんでいるとのこと。
今回RIZEに初めてMar’zというチームで参戦し、パッション全開の踊りをみせつけ会場を盛り上げた。

marz

ダンスバトルにまで出られるようになった経緯とは?
今回、Dewsでは様々な葛藤や障害との戦いを乗り越え、人々に勇気を与える大学生ダンサー「さっきま」にインタビューを行った。

STAFF
ダンスを始めたきっかけは?

さっきま
小学校三年生から中学一年生くらいまでダンススクールに通っていて、ダンスはやっていてすごいダンスが好きだったんですが、中学でハンドボール部に入ってから、そっちが忙しくなってしばらく踊ってはいなかったんです。それで、高校二年生の時に高校の文化祭の出し物でダンスをやろうって言う企画があって、そこからまたダンス熱に火がついていったんです。
そんな時に、高校二年生の一学期が終わる2日前くらいにアクロバットを練習していたら首から落ちてしまって脊髄損傷してしまったんですね。IMG_3754今も胸から下は動かなくて、首も指先もよく見ると曲がってたりとか体幹が弱いとかじゃなくて、ないんですよね。椅子も背もたれが無いと座れなかったり本当はグラグラなんですよね。
怪我をしてから半年間入院して留年みたいな形で、もう一度高校二年生の夏を過ごしていたんですけど、体の外部も足が動かなかったりとつらい部分はあるのですが、実は内面の方がきつくて学校に行くだけで大変だったんですよ。
二回目の高校二年生から三年生が本当に人生でつまらなくて、人とも喋れなくなちゃって、対人恐怖症みたいになって、何の為に生きてるかわからなくなってしまったんです。そんな時に昔撮っていた「少年チャンプルー」とかその時やっていた「DANCE@TV」とか見たりとかしていて、見ていたら自然とノっている自分がいて、やっぱりダンスが好きだなって思ったんですね。ハンドボールもやりたいと思ったんですけどボールは握れないので出来ないなと思っていて、音楽を聴いたら自然にノっていたのでダンスなら出来るんじゃないかって思ったんですね。

STAFF
そうなんですね。実際にダンスを始めてどうでしたか?

さっきま
大学入ってから、ダメ元で愛知県立大学の「FREESTYLE」っというダンスサークルの一年生歓迎の紹介発表を見に行ったんですね。そしたら会場に入ったら「なにこの人?」みたいになるじゃないですか?そんな空気を感じながら見ていて、終わったらサークル長さんに入りたいですって踊りをみせにいこうと思っていたので、もうその時はめっちゃドキドキでした!笑
正直無理だと思っていたんですが、実際に行ってみると当時のサークル長さんが「あ、いいよ」とさらっといったんですよ。わからないですけど、多分治る怪我だと思ってた気がするんですね。いつか松葉杖になって戻るんだろうなって。
それでサークルに入ってから一ヶ月後くらいに発表の機会があったんですね。それに向けて練習していて、車いすではありましたが、ダンス経験もあったので、自分の中では俺上手いよっていう気で踊っていたんですね。ある日、ビデオで確認した時に衝撃を受けて、本当に車いすに乗った障がい者だ、こんな動けないんだってめちゃくちゃ落ち込んだんです。
同期とかは大学から始めたのにぐんぐん伸びるんですよ。だから最初は俺のが本当は上手いのにって言う葛藤がめちゃくちゃありました。でも、ひとりだけその葛藤に気づいてくれていた子がいたんです。その子がそこに気づいてくてれいたことが本当にうれしくて、そのおかげでここまでこれたといっても過言じゃないんです。でもやっぱり好きでダンスがあるから頑張れたというのがすごいありますね。

STAFF
サークルに入ってからはどうでした?

さっきま
体のことが合ってデリケートな所もあるから全部打ち明けられないんですよ。だから最初はすごい気を使ってました。踊れる場所があるからその場にいたと言う感じだったんですが、大学二年生くらいからそういったこともいえるようになったんです。
それで友達が沢山出来て、踊りを見てくれた人がすごい勇気をもらえたとか声をかけてくれて。自分がすごいというわけではなく、そういうのも自分の使命な気がして、僕にしか出来ないことだと思ったんですよね。車イスでストリートダンスをやっている人をぼくは見たことがないですし、自分はやりたくてやっているので。
とにかく「FREESTYLE」は本当にいいサークルで暖かくて、、、、あ、宣伝とかではないですよ。笑
ある日サークルの奴から「お前って車いすだったんだ!なんか一緒に踊ってたら忘れてたわ!」とか言われたりして、その言葉が本当に嬉しくて。もう今は普通なんですよね。そういう支えがある御陰で今日のRIZEも出れたし、恵まれているなって思います。

STAFF
こういうふうに取り上げられることに関してはどう思いますか?

さっきま
めちゃくちゃ取り上げられたいです!みんなに知ってもらいたくて、踊ってくださいとか話してくださいとか逆にこっちから探してるくらいですね。
サークル内でのイベント以外は中々勇気が出なかったのですが、TDN主催の合同発表会にも県大の「FREESTYLE」として急に車いすで出て、その時たまた障害者施設の人も見に来ていて、ウチで踊ってくださいよとか声がかかったりとかもありました。

STAFF
そういえば、先ほど、さっきま君の動画を送ったらカリスマカンタローから「鳥肌が立った」というLINEがきていましたよ!

さっきま
ほんとうですか!?やばい泣きそう!ついにここまできたか、、、。笑
めちゃくちゃ嬉しいです。
本当にチャンプルー世代なんですよね。小さい頃から見ていて、怪我してからは、DANCE@TVを見ていました。何回も見返してます!そういう人いっぱいいると思います!

STAFF
カリスマカンタロー本人も自分が頑張っていたことにに勇気づけられた人がいるというのが、すごいエネルギーになると思います。
ではさっきま君にとって、ダンスが与えてくれたものとは?

さっきま
ダンスが無いと生きていけないと思います。与えてくれたものってもちろん仲間だったり、色々あるんですが、僕にとってはダンスをするなって言われても音楽がなったらノっちゃうし、ダンスがないのは考えられないです。だから抽象的ですがすべてを貰っていると思います。
生きる意味とかそういう感じですね。かっこいい?笑
本当に思っていて、ダンスをやっていなかったらこんなに明るく話せていないですし、ダンスってこんなに人を変えるんだって言うのを実感しています。

STAFF
今後、何かしていきたいこととかはありますか?

さっきま
使命感とかもあるんですけど、言い方変ですが、人の為に与えると言うよりは僕がやっていて勝手に勇気づけられてくれればいいと言う考えですね。俺は楽しむんだ!みたいな。笑
めっちゃリハビリして、怪我と戦って、「俺すごいでしょ?君も出来るよ!」とかではなくて。ナチュラルに踊っているのが、僕らしいのかなと思います。
僕の中では言うほど大変じゃないっていうか、みんなと同じように楽しんでて、みんなに出来ない気持ちで踊る部分とか、みんなより絶対上だと思っていて、そう考えると動けない部分と他のみんなが気持ちで踊れない部分を差し引いた時に同じくらいかなと思っています。

STAFF
何より自信を持って踊っているのが伝わりました。
では、伝えたいメッセージはありますか?

さっきま
本当にまわりに恵まれてて、もちろん努力はしましたが、ここまでこれたのはサークルの友達や、看護師さんや周りの御陰だと思っています。
怪我する前、友達関係で悩んでいて、上辺だけの付き合いが多かったんですよ。こういうキャラだから友達は多かったんですが浅くて広かったんですよね。けど怪我して、どん底を知って人の痛みもわかるようになったんです。
それでこのサークルで普通に扱ってくれて、例えば僕が入ることで制限される部分も出てきますし、こっちは気を使うんですけど、気にせず絡んでくれて。
だからフリースタイルのサークルの仲間に心の底からのありがとうと大好きを伝えたいです。

STAFF
今日はありがとうございました!!


さっきま
愛知県立大学 FreeStyle (フリースタイル) 所属 副サークル長
DANCE@LIVE RIZE CHUBUに【Mar’z】というチームで参戦中
Twitter:@kimakimakio

関連記事