本番で緊張せずに「ゾーン」に入る!ダンス部「セルフ」コーチングマニュアル#3
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第5ステップ
本番への挑み方
本番までのコンディションの作り方、当日の不安や緊張への対処法などを、マインドフルネスの手法を取り入れてクリアしていこう。
01:コンディション作り
本番へ向けての心身の管理は大事だ。体調管理に大事な3大要素は、食事・運動・睡眠。運動は部活で充分にしているとして、食事はインスタントやコンビニ食ではなく、質の高いものをバランスよく摂りたい。
本番の前日に炭水化物を抑え、本番直前に摂取することで反発の力を利用する「カーボローディング」もぜひ試してほしい方法の1つだ。睡眠の質にはスマホ視聴が大いに関係し
ている。
睡眠直前までスマホを見ていることは、ブルーライトの悪影響もあるが、膨大な情報を脳にインプットしている状態なわけで、脳内がやや混乱したまま睡眠に入ることになる。これでは質の高い睡眠が取れない。就寝の2~3時間前にはスマホをなるべく見ずに穏やかに過ごすことで、深い睡眠につながり、疲れも取れ、早起き時間を有効に使えるようになるだろう。
強い体を作るには菜食がオススメだ。現代人には野菜の栄養素が不足しがち。まずは食事というインプットでライバルと差をつけるべし!
02:不安と緊張の正体
本番の会場内に入れば、当然緊張は高まるだろう。強い学校の姿を見れば、いろんな不安やネガティブな想像も増してくる。
不安や緊張の原因にはいろいろあるが、1つは準備不足。しっかりと練習をやり切れば、どんな状況だろうと腹を括れる。
そして、もうひとつは、「自分以外のことを考えすぎること」。
自分以外のこと、周りのことやライバルのことなどをああでもないこうでもない、と当日に考えることははっきり言って無駄なのだ。
まずは自分を信じること、仲間を信じること。その上でやってきたことをそのままブツければいい。不安や緊張の正体がわかれば、怖いものはいない。戦うべき相手は自分の心だけだ。
大きな会場ではやはり気後れしてしまうもの。ただ、いろんなことに気を取られすぎると、集中に注げるエネルギーは削がれていく。他校の演舞を見ていても、大事なのは「不動心」だ!
03:呼吸と脱力(マインドフルネス)
緊張状態になると呼吸が浅くなる。そして筋肉が硬直し、動きも硬くなる。同じ振り付けなのに、やたらと息が上がったり、うまく踊れなくなるのは、突き詰めれば呼吸に原因があるのだ。
だからこそ本番前の深呼吸が有効なのだが、深い呼吸には実は、強い呼吸筋が必要で、それは普段から鍛えておかなければならない。試しに息を止めてみよう。
1分以上もつならば呼吸が強い証拠。全くもたないという人は呼吸筋が弱いのかもしれない。
詳しくはここでは触れないが、腹式呼吸、胸式呼吸、完全呼吸など、ヨガの呼吸法などが参考になるはずだ。
また深い呼吸には瞑想効果があり、精神の安定にもつながる(マインドフルネス)。
筆者も朝晩の瞑想を日課にして効果を実感しているが、呼吸や瞑想は、いい意味での脱力にも繋がる。パフォーマンスでは、鍛え上げたカラダをどう脱力するかが重要。一流のダンサーは皆、体幹に力を入れることで、四肢の力を抜いているのだ。
『ダンスク!』で実施した高校ダンス部向けのヨガWS。参加者は呼吸によるリラックス効果に驚いていた!>>レポート記事
04:本番でのゾーン状態
スポーツ界で言われる超集中のゾーン状態。ダンスで言うならば、ステージで踊りながらも自分がまるで踊っていないような感覚、メンバーの位置を感じることができたり、自分たちをステージの外から客観視できているような状態だろう。
「よく覚えていないけど、とにかく楽しかった!」など、渾身のパフォーマンスを終えたダンサーからこういった感想をよく聞く。
これは思考よりも感覚が優位になっている、いわば「無心」の状態。
あらゆる欲やエゴが消えて、練習してきたことを素直にカラダが楽しんでいる状態と言える。
なかなか意図して入れる状態ではないと思うが、ここまで述べている、「準備」「自負」「集中」「瞑想」などの要素が揃って初めて「降りてくる」状態と言えるだろう。
全国大会出場をかけた品川エトワール女子の動画より。予選での演舞後には「楽しかった。でも記憶がない」というコメントはまさにゾーン状態と言える。