新宿スタイルを貫くリアルヒップホップ集団MSCのご紹介!
ストリートのリアルにこだわったスタイルが有名な伝説的ヒップホップクルーMSC(エム・エス・シー)のプロフィールや、活動内容、メンバーの楽曲など、幅広くご紹介します。
新宿アンダーグラウンド・シーンを代表するヒップホップクルーMSC。B-BOYパークのMCバトルで優勝した漢を中心として2000年に結成され、社会の矛盾を付く強烈なメッセージを発信し、その攻撃的なスタイルで多くのファンから支持を得ています。そんなMSCのプロフィールや楽曲などをご紹介していきます!
プロフィール
日本のヒップホップクルーMSC(エム・エス・シー)。2000年に結成され、新宿を拠点に活動しています。2003年からレーベルLibra Recordsに所属し、2014年からは中心メンバーの漢が設立した株式会社鎖グループ内のレーベル「BLACK SWAN」に所属しています。
元々は、MIC SPACEの漢とTABOO1、SIDE RIDEのPRIMAL、O2、GOの5人でMS CRU(エム・エス・クルー)と名乗っていました。北新宿にアジトを構え、テレビを見る事とゲームをやる事を禁止するなど、ストイックな姿勢で活動していたそうです。後に1st EP『帝都崩壊』や、フルアルバム『Matador』、『宿(ジュク)ノ斜塔』といった伝説的なアルバムを生み出します。正式なメンバー数や構成は分かっていません。
経歴
2000年
・MS CRU(エム・エス・クルー)名義で結成
2002年
・ミニアルバム『帝都崩壊』リリース
2003年
・MSCに改名
・関係者で有限会社libraを設立し、Libra Recordsに所属
・ミニアルバム『宿(ジュク)ノ斜塔』リリース
・アルバム『Matador』リリース
2006年
・アルバム『新宿 STREET LIFE』リリース
・アナログ『暴言』リリース
2015年
・アルバム『1号棟107』リリース
MSCの掟「リアル」
自由奔放なイメージを持たれやすいラッパーですが、結成当時のMSCは「活動中はテレビ禁止・ゲームも禁止」というルールを作ったと漢がインタビューで語っています。クルーで規律を作り、ある意味「会社」のように統率された環境で活動を行っていました。厳しいMSCの当時の活動を振り返り漢はこう言っていました。
「それはさ、いい年こいてんのにヒップホップやってるんだから、危なくなるでしょ、ある程度。俺らはそこに関しては、バカみたいに本気でやっていたと思うね、ピュアに。だから、俺は、趣味じゃなくて、まあ趣味だとしてもいいけど、本気でやろうぜって考えていたね。」
http://www.ele-king.net/interviews/003842/
その規律の中で最も彼らが重きを置いていると感じたのは「実際の出来事を表現する、嘘はつかない、~ぶらない」というルール「リアル」です。「つい出てしまった言葉は、後付けでもやっちまえばリアルだ」という恐ろしいルールも存在したそうです。つまり、軽はずみに何かを言ってしまったらそれをリアルにしないとならないという事です。MSCのメンバーとして活動していくには等身大で生きる事を余儀なくされました。「ラッパーはマイク持てば何言ってもいい訳じゃない」これを素で体現した超絶硬派なスタイルこそ、「新宿スタイル」なのです。
DABOとのビーフ
「リアル」、これがラッパーDABOとの大規模なビーフを起こすきっかけとなりました。2002年にDABOが「恋はオートマ」という曲をリリースし、そのMVのなかで車を運転しているように見えるシーンがありました。しかし、当時のDABOは運転免許を持っていませんでした。さらにアルバム『HITMAN』のジャケットではDABO自身がモデルガンを構えていました。この2つの行為が漢の逆鱗に触れ、曲中で痛烈にDABOをディスります。そのアンサーとしてDABOも「WANABEES CUP2002」や般若フィーチャリングの「おそうしき」などの曲で反撃しました。漢とDABOは後に般若が間に入る形で和解をしていますが、このビーフは漢がアルバム『導~みちしるべ~』をリリースするまでおよそ二年半繰り広げられました。
MSCの現在の活動
現在のMSCはというと、各メンバーのソロ活動が目立っていて、なかなか全員集まるような機会はないそうです。2015年にリリースされたミニアルバム『1号棟107』を最後に活動は止まっています。さらには2014年に漢が立ち上げた「9SARI GROUP」、および「BLACK SWAN」レーベルから再出発しました。