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世界三大バレエのうちの1つ「ボリショイバレエ」とは?

世界三大バレエのうちの1つ「ボリショイバレエ」についてバレエ経験者が解説いたします。歴史から、過去のスキャンダルまでまとめておりますので是非ご覧ください。

ボリショイバレエは、世界三大バレエのうちの1つといわれているバレエ団です。「ボリショイ」というのは「大きい」という意味で、この「大きい」は劇場の大きさを示すとのことですが、私は、バレエそのものが「大きい」という印象を持っています。ダンサーたちの身体の大きさと、動きの大きさが様々なバレエ団の中ではピカイチで、「威風堂々」という言葉が似合うのです。爽快なまでにダイナミックなボリショイバレエについて、こちらではご紹介して参ります。
因みに世界三大バレエはパリ・オペラ座バレエ団、ロシアのボリショイ・バレエ団、そしてイギリスのロイヤル・バレエ団だとか。イギリスのロイヤル・バレエ団については下の記事でご紹介しています。

ボリショイバレエとは

大きいだけでなく美しいボリショイ劇場は、ロシアのモスクワにあります。この劇場を本拠地としているのがボリショイバレエ団。「ドン・キホーテ」や「白鳥の湖」といった有名なバレエ作品が初めて上演されたバレエ団としても有名で、ソビエト連邦時代には数百以上もあったといわれる多くのバレエ団の中でもひときわ輝いてきたバレエ団です。政治的に複雑であったロシアで、統制や規制を受けながらも芸術というものを存続をさせてきた功績は、偉大というほかありません。

ナタリー・ポートマン主演の映画「ブラック・スワン」でも有名となった「白鳥の湖」のラストは、実は大きく分けると2パターンあります。「王子が白鳥に変えられた姫を救い出しハッピーエンド」というパターンと「白鳥に変えられた姫が息絶え、王子が悲嘆にくれる」もしくは「白鳥に変えられた姫が命を捨て、その後を王子も追う」というパターン。ボリショイバレエ団では、
ソ連当局の圧力で、1900年代には、ハッピーエンドパターンのものしか上演できませんでした。ようやく悲劇の方のパターンを踊ることができるようになったのは2001年というのですから、「国」が「バレエ」に与える影響がいかに強いかが良くわかりますね。
「白鳥の湖」という作品については、下の記事で詳しくご紹介しています。

衣装などから、志村けんさんを思い出される方も多いかもしれませんね。

ボリショイバレエを襲ったスキャンダル

2013年1月17日深夜、ボリショイ・バレエ団の元トップダンサーで2年前から、芸術監督に就いていたセルゲイ・フィーリンが何者かに硫酸をかけられるという恐ろしい事件が起きました。犯人として逮捕されたのは、まさかの、ボリショイバレエ団のソリスト、パーヴェル・ドミトリチェンコ。自身の恋人である同バレエ団のダンサーがフィーリンにオデット(「白鳥の湖」の主役)を躍らせてもらえなかったことが原因だとされたが真実は、そんな単純なものではないとされている。

事件の真相を追ったドキュメンタリーが映画になっています。この映画とそしてボリショイバレエが素晴らしいのは、この凄惨な事件で終わってしまわないところ。この事件の間もダンサーたちは踊り続け、批判にさらされても舞台の上で輝き続けました。

ボリショイバレエのダイナミックさが味わえる動画

今は、そんなボリショイバレエが今、YouTubeで楽しめます。
そしてボリショイを語る上で欠かせないのが、Svetlana Zakharova(スヴェトラーナ・ザハロワ)!

長い手足をもてあますことなく優雅に使いこなしていて、あまりの美しさに目を奪われてしまいます。

「白鳥の湖」というプログラムは、彼女のために作られたのではないかと思ってしまうほどに、一挙手一投足が「白鳥」であり、一瞬も隙がありません。

まさに「女王」というべき風格!彼女が息を止めてみてしまう完璧な美しさは、動きをピタリと止めていても保たれています。何万人もの視線をうけても揺るがない気高さのようなものを感じてしまいますね。
もちろん、注目すべきは個人だけではありません。

「Spartacus」(スパルタクス)は、迫力のある音楽と演出で、ボリショイらしいダイナミックさとエネルギッシュさを存分に味わえるプログラム!ダンサーたちの躍動感がすざまじく、見ていると、ダンスをしない人でもうずうずと身体を動かしたくなるはず!

また、寸分の狂いもなく華やかなコールド(群舞)もボリショイの魅力。

男性ダンサーも女性ダンサー同様に手足が長く、その長さを効果的に使いこなしているところが魅力的です。「優雅」であり、「気品」を失わない姿がボリショイバレエのダンサーらしさだと言えるでしょう。

まとめ

どんな苦境にあっても、芸術は折れないという事実をボリショイバレエは教えてくれます。圧政のもとでも、凄惨な事件の後でも、ボリショイバレエはバレエであることを決してやめまないのです。その強さが、舞台そのものにも反映されているのではないでしょうか。

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